代書屋 （１）

ひきこもり ： ごめんやす。

代書屋 : はい。

ひ（以下略 ひきこもりのこと）： ここに来れば、履歴図っていうのを書いてもらえる、って聞いたんやが。

代： 履歴図？ 履歴書のことでっか？

ひ： ああ、そうそう。まあどっちでもエエさかい。書いてえな。
別にワテ、会社に行くわけやないんですわ。でもどうせ暇やさかい、ものの試しにちゅうことで。

代： けったいでんな。まあええわ。
こっち来なはれ。

ひ： へえ。

代： で、あなたのお名前は？

ひ： 名前が無いとあきまへんか？

代： 当然でんがな。

ひ： へえ。家中引治朗ちぃまんねん。
ちょっと粋な名前。

代： まあ粋であるとか、粋でないとか、そういうもんやおまへんのやが、
じろうのじ、という字は、次ぐちゅう字でっか、治めるちゅう字でっか？

ひ： まあ、そういうことは全てあなたにお任せ。

代： アホなこというたらいかん。え、治めるっていう字。
で、生年月日は？

ひ： １９XX年○月△日ですわ。

代： お宅、年寄り若う見えなんあ。

ひ： へえ。よう人にそう言われま。よう寝て、風邪もひかずノンキやなて。
なんとかは風邪ひかんなんて。 ハッハッハ。

代： 結構でんな。

ひ： （ボソッと）どうせ年誤魔化してても、まともな会社でもないとロクに調べんさかい。

代： なんか、言いましたかいな？

ひ： いや、こっちゃのはなし。



続く・・・たぶん。