Harumichi Yuasa's Blog

明治大学専門職大学院ガバナンス研究科(公共政策大学院)教授・湯淺墾道のウェブサイトです

韓国の在外投票 模擬投票

2010年11月12日 | 選挙制度
韓国では在外投票制度が導入されるが、それに先だって11月14日(日)、11月15日(月)の2日間にわたり模擬投票が実施されることになっています。

模擬投票についての詳細はこちら。
            ↓
http://ok.nec.go.kr/nec/servlet/Index.do?target=front.index_jap





韓国中央選挙管理委員会職員の金銀姫氏(東北大学大学院情報科学研究科の河村研究室に留学中)の案内により、韓国大使館で行われた在外投票の模擬投票を視察しました。
今回の在外投票の模擬投票は、正式の在外投票の導入に向けて行われたもので、模擬投票の広報は、主として中央選挙管理委員会のホームページ、大使館・領事館、および民団を通じて行われたとのことです。
今回の模擬投票では東京の大使館および大阪の総領事館が会場となりましたが、東京会場には約1,000人が事前に有権者登録を行い、11月14日(日)、11月15日(月)の2日間の投票期間中、14日は約550人、15日は私が視察した午後2時現在で約250人が投票したとのことですから、投票率は相当に高かったことになります。中には、青森からはるばる来場した有権者もいたとのことです。
模擬投票を実施していた関係者に話を聞きましたが、やはり想定していなかった問題点が発生したようです。
在外投票は在日韓国人も有権者となっているのですが、在日韓国人の中には全くハングルの読み書きができない人が少なくなく、ハングルの読み書きができない有権者の数は中央選挙管理委員会の想定していた以上に多かったそうです。
また、二世、三世の在日韓国人の中には、そもそも選挙というものに行った経験が全くないという有権者が少なくなかったので、投票の仕方などの説明に予想以上の手間を要したとのこと。外国に居住しているという理由で韓国では選挙権が無く、外国人であるという理由で日本でも選挙権が無いので、生まれてから一度も選挙というものを経験したことがないという人が少なくないのだそうです。日本も韓国も共に先進民主主義国家であるといって良いと思いますが、韓国籍をもち、日本で生まれて育ちながら、全く選挙に行ったことがないという人たちがいるという事実は、考えさせられるものがあります。外国人への選挙権付与がよいのか、外国人の母国の在外投票制度の拡充がよいのか、在外邦人の選挙権行使の問題を含めてあらためて考える必要がありそうです。
このため、投票ブースで職員がつきっきりで投票用紙の記入の仕方や投票の仕方を説明しなければならない場面が多かったようで、正式在外投票の実施の際には大きな問題点となりそうだという印象を受けました。
コメント
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