2002年アメリカ投票支援法(Help America Vote Act of 2002)の制定によって設立された
連邦選挙支援委員会から、
選挙用語集が公開されています。
しばらく委員会のサイトをチェックしていなかったのですが、日本語版の用語集が公開されているのを発見しました。
http://www.eac.gov/voter/language-accessibility-program-1/translation/pdfs-of-glossaries/EAC%20Japanese%20Glossary.pdf/attachment_download/file
スペイン語、中国語、英語、タガログ語、韓国語、ベトナム語の用語集も公開されています。
選挙関係の用語は日本語に訳するのに苦労することが多く、私も『自治用語辞典』、『法律用語対訳集』、『英米法辞典』、『ビジネス法律用語対訳集』などいろいろなツールを使っています。
もっともこの用語集、利用には多少の知識が必要でもあります。
たとえば
ballot access: 投票アクセス
Example: Ballot access refers to the
process by which candidates and
political parties qualify for the primary
and general election ballots. (例: 選挙
票アクセスとは候補者や政党が予備選挙や
総選挙資格を得るプロセスを指す)
とありますが、バロット・アクセスの権利は、投票用紙へのアクセスの権利=投票用紙に氏名や政党名が掲載される権利ということで、被選挙権のような性質を持つものなのです。
あるいは、疑問の残る項目もあって、たとえば、
undervote: 識別不能のため無効票になる
Definition: Occurs when the number
of choices selected by a voter in a
contest is less than the maximum
number allowed for that contest or
when no selection is made for a single
choice contest.
が、
選挙対象の論争項目で投票者が選ん
だ数がその論争項目の最大選択数より少な
かったり、単一選択の論争項目に対しなん
の選択もされなかったときに起こる。
と説明されていますが、これは「識別不能のために無効」というよりも、連記式投票の際に連記されている候補者の数が連記できる数よりも足りない、または単記式のときに有権者の選好が表示されていないということだと思うのですね。
そうだとすると、後者の場合は一種の白紙票ということでしょう。
しかし、このような用語集が公開されると選挙関係の研究者にとっては非常に重宝であることには違いありません。