インターネット選挙運動を解禁する公職選挙法改正案が、与党と野党のそれぞれから議員立法で衆議院に提出された。
法案内容は、衆議院のホームページで見ることができる。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm
インターネット選挙運動を解禁するのは喜ばしいことだが、法案の内容には疑問点もある。その一つが落選運動に対する規制に関する規定である。
与党案
(インターネット等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者の表示義務)
第百四十二条の五 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、ウェブサイト等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、その者の電子メールアドレス等が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならない。
2 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、電子メールを利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、当該文書図画にその者の電子メールアドレス及び氏名又は名称を正しく表示しなければならない。
野党案
(インターネット等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者の表示義務)
第百四十二条の五 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、ウェブサイト等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、その者の電子メールアドレス等が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならない。
2 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、ウェブサイト等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、その者の氏名又は名称が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるように努めなければならない。
3 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、電子メールを利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、当該文書図画にその者の電子メールアドレス及び氏名又は名称を正しく表示しなければならない。
与野党案ともに、「ウェブサイト等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布」する場合は、電子メールアドレスの表示を義務づけている(1項)。野党案では、さらに「氏名又は名称が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示される」ようにする努力義務を課している(野党案2項)。
また電子メールを利用して落選運動をする場合には、与野党案共に電子メールアドレス及び氏名又は名称の表示を義務づけている(与党案2項、野党案3項)。
与党案では2項、野党案では3項となる電子メールアドレス及び氏名又は名称の表示義務の違反について、罰則もある。選挙運動に関する各種制限違反に対して「二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」ことを定めている職選挙法243条を改正し、「二の三 第百四十二条の五第二項の規定に違反して同項に規定する事項を表示しなかつた者」(与党案)、「二の三 第百四十二条の五第三項の規定に違反して同項に規定する事項を表示しなかつた者」(野党案)を追加することとしている。
しかし、「当選を得させないための活動」である落選運動については、公職選挙法には明文規定がない。上述したように、電子メールを利用した落選運動の電子メールアドレス及び氏名又は名称の表示義務の違反に対しては、禁錮刑を含む重い罰則が科せられる可能性があるから、構成要件の明確化が求められる。このため、今後は「当選を得させないための活動」の範囲が問題になると思われる。
なお、本条に限らないが、「ウェブサイト等を利用する方法」と「電子メール」との違いも、必ずしも明確とはなっていない。G-mailやYahoo!メールをブラウザ上だけで送受信する場合は、前者に該当しないのか、という問題点も出てこよう。
法案内容は、衆議院のホームページで見ることができる。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm
インターネット選挙運動を解禁するのは喜ばしいことだが、法案の内容には疑問点もある。その一つが落選運動に対する規制に関する規定である。
与党案
(インターネット等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者の表示義務)
第百四十二条の五 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、ウェブサイト等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、その者の電子メールアドレス等が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならない。
2 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、電子メールを利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、当該文書図画にその者の電子メールアドレス及び氏名又は名称を正しく表示しなければならない。
野党案
(インターネット等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者の表示義務)
第百四十二条の五 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、ウェブサイト等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、その者の電子メールアドレス等が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるようにしなければならない。
2 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、ウェブサイト等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、その者の氏名又は名称が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示されるように努めなければならない。
3 選挙の期日の公示又は告示の日からその選挙の当日までの間に、電子メールを利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布する者は、当該文書図画にその者の電子メールアドレス及び氏名又は名称を正しく表示しなければならない。
与野党案ともに、「ウェブサイト等を利用する方法により当選を得させないための活動に使用する文書図画を頒布」する場合は、電子メールアドレスの表示を義務づけている(1項)。野党案では、さらに「氏名又は名称が、当該文書図画に係る電気通信の受信をする者が使用する通信端末機器の映像面に正しく表示される」ようにする努力義務を課している(野党案2項)。
また電子メールを利用して落選運動をする場合には、与野党案共に電子メールアドレス及び氏名又は名称の表示を義務づけている(与党案2項、野党案3項)。
与党案では2項、野党案では3項となる電子メールアドレス及び氏名又は名称の表示義務の違反について、罰則もある。選挙運動に関する各種制限違反に対して「二年以下の禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。」ことを定めている職選挙法243条を改正し、「二の三 第百四十二条の五第二項の規定に違反して同項に規定する事項を表示しなかつた者」(与党案)、「二の三 第百四十二条の五第三項の規定に違反して同項に規定する事項を表示しなかつた者」(野党案)を追加することとしている。
しかし、「当選を得させないための活動」である落選運動については、公職選挙法には明文規定がない。上述したように、電子メールを利用した落選運動の電子メールアドレス及び氏名又は名称の表示義務の違反に対しては、禁錮刑を含む重い罰則が科せられる可能性があるから、構成要件の明確化が求められる。このため、今後は「当選を得させないための活動」の範囲が問題になると思われる。
なお、本条に限らないが、「ウェブサイト等を利用する方法」と「電子メール」との違いも、必ずしも明確とはなっていない。G-mailやYahoo!メールをブラウザ上だけで送受信する場合は、前者に該当しないのか、という問題点も出てこよう。