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2024-10-04 | 日記

三田文學 新人賞に応募する予定で、小説の原稿を書いています。

締切 2024年10月31日 

枚数 400字詰原稿用紙100枚以内

小説のタイトルは、『ハート・デザイナー』

 

 「私の部屋に入った奴は誰なのさ?」

老婆は怒鳴りました。

「誰も入りませんよ」

精神科医も、給仕も答えました。

「いいや、嘘だね」

老婆は呻るように言うのでした。

「上がって来てごらんよ!」

精神科医は、老婆が強迫観念に襲われて、半分正気を失っている時に使う、乱暴な粗野な言葉遣いは、平気で聞き流すことに慣れていました。精神科医が老婆に急かされるまま、二階の部屋に入ってみますと、老婆の指さすカーペットの上に、ありありと人の足跡が3つ4つ記されているのでした。

「これを私の足跡だと云うのかい?」

老婆はなお、怒鳴り続けました。

それは確かに老婆の足跡より、はるかに大きい紳士靴のようでした。おまけに極めて新しく鮮やかについていました。それに今日の午後は雨降りでした。そして午後にやって来た患者は、ロシア人父子より他にはなかったのです。とすると、事実はこう思うしかありません。

 精神科医が患者を診察している間に、待合室にいた彼の息子が、老婆の部屋に侵入したに違いないと。事実、そこには何の手掛かりも証拠も見当たりはしませんでした。けれど、この足跡が何よりもはっきり、ロシア人の息子のほうが老婆の部屋に闖入してことを物語っているのでした。

 老婆はすっかり興奮していました。何だか訳の分からないことを叫びながら椅子に腰をおろすと、めちゃくちゃなことを口走り始めて、どうにも手がつけられないのです。

 ともかく警察に通報しようとしたのですが、老婆が激しく拒むのです。

「警察には報せてくれるな」というのが、老婆の強い意思なのです。

警察に届ければ、空き巣事件ということで、すぐ解決のつくことだと精神科医は思ったのですが。ところが、老婆にとっては、非常な重大問題のように迷妄している様子でした。

 しかし、本当はごく単純な出来事なのです。

老婆が、普通の人間とは違う特異な体験をしていないとすれば。

言い換えれば、老婆は、普通の人間とは違う特異な体験をしているので、単純な出来事を非常な重大問題のように迷妄していると推論されます。

 こうなれば、老婆の強迫観念のおおもとにある体験を浮き彫りに出来なければ、この事件は解決できません。確かに、警察に通報しても迷宮入りになるでしょう。

ゆえに、精神科医の滝川玲は、心理カウンセラーのココロ♡愛と協力して、事件や事象の原因や隠れた事情を明らかにして、真実を突き止めようと決意したのです。


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