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アートベース・リサーチ(ABR)を用いた慶應義塾式研究方法

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2024-10-07 | 日記

三田文學 新人賞に応募する予定で、小説の原稿を書いています。

締切 2024年10月31日 

枚数 400字詰原稿用紙100枚以内

小説のタイトルは、『ハート・デザイナー』

 

 「アンナさんは、ロシアとの関係が深い人なのかもしれない」

「だから、銀行取引には、経済制裁や規制の遵守など、考慮事項があるのよ、きっと。」

精神科医の滝川玲はそう思いました。

「すると、ロシア人父子とは、知り合いの可能性がありますね。でも、なぜ、本当のことを何も話そうとしないのでしょうか。

心理カウンセラーのココロ♡アイは、ここに何か深刻な闇があると感じました。

「とにかく何かの理由で、アンナさんを付け狙っている男が二人、いいえ、ことによるともっといるかもしれない。少なくとも二人いる、と云うことは確かね」

「私は、最初の時もそれから二度目の時にも、ロシア人の息子のほうがアンナさんの部屋に忍び込んだに違いないと思っている。そして、その間、片方では、共謀者が、すなわち、ロシア人の父親のほうが、実に巧みな計略で、私を診察室のなかへ閉じ込めていたのよ。」

精神科医の滝川玲は、彼らのトリックに欺かれていたのです。

「でも、彼は癲癇病の患者だったのでしょう?」

「いいえ、違う。あれは演技、仮病。癲癇の発作を真似して仮病をつかったのだわ。」

「そうだったのですね。前後二回とも、アンナさんが外出中のことだったのは、偶然にそうなったのよ。つまり診察してもらうのに、わざと夕方の遅い時間を選んだと云うのは、そんな時間なら待合室には誰もいないと考えたからで、ところが、それが偶然にも、アンナさんの毎日の習慣である散歩の時間と重なってしまったという訳。あの二人の男はアンナさんが毎日夕方になると散歩に出ることなどは知らなかったのよ。もちろん、もし、彼らが何かを奪う目的でやって来たのだとしたら、アンナさんの部屋に少なくともその辺を探し回ったらしい形跡がなくてはならない。すると、こんなふうに見当をつけられるわ。彼らは、アンナさんに敵討ちをねらっているに違いない。と云うことは、彼らが何者だか、アンナさんは知っていなければならないはずだし、だからこそ、アンナさんはそれを隠して知らないような顔をしているのに違いないわ。」

「なるほど、それは確かにそうかもしれません」

ココロ♡アイも、肯いた。

精神科医の滝川玲の心理分析は、たちまち見事にあたってしまった。

老婆が自殺をしてしまったのです。

「思いがけないことになってしまった!」

滝川玲はそう云いながら、自分の手で自分の額を押さえました。

老婆の自殺を見つけたのは給仕でした。

老婆は毎朝早く、決まって紅茶を一杯飲むのが習慣でしたが、今朝も7時に給仕がお茶を持って部屋に入っていくと、その時には既に、老婆は部屋の真ん中にぶら下がっていたのです。天井の梁に、ロープを結び付けて、昨日見せてくれた家具のような大きな金庫の上から飛んでぶら下がったようなのです。給仕の悲鳴に驚いて、滝川玲が自分の部屋から出て来て、老婆の寝室で見た光景は、実に恐ろしい眺めでした。

「これが、アンナさんかしら?」と思われるように、グニャリとして垂れ下がっている様子は、どうしても人間だとは思われなかったと云っても、少しも誇張ではありませんでした。

その首は、ひねられた鶏の首のように伸びて、余計にからだ全体を太っているように見せ、その対象の奇妙さと云ったら、どうでしょう。それは老婆の長い寝巻を纏った粘土細工で、その下から脹れ上がった踵と不格好な足とがニョキッと丸出しになっているのに過ぎないのでした。

精神科医の滝川玲が見た限りでは、老婆は何かの恐怖のために精神に異常を来たしたものではないかと思えます。よくよく観察してみると、ベッドには寝ていたらしい形跡があり、しかも老婆のからだの形がそのまま深く残っています。普通、自殺というものは、朝の5時頃に行われるのが多いのですが、老婆の自殺もやはりその頃に行われたのではないかと推定されます。

筋肉の固まりから見ると、死んでから3時間ぐらい経過しています。しかし、いずれにしてもこれは不審な事件として、慎重に取り扱うべき事件なのでした。


https://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/business/20241005-567-OYT1T50162



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