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和貴の『 以 和 為 貴 』

【憲法】 聖徳太子の十七条憲法 ② 〔 現代語訳してみました 〕


十二年春正月戊戌朔。始賜冠位於諸臣。各有差。夏四月丙寅朔戊辰。皇太子親聿作憲法 十七条。

聖徳太子の十七条憲法



七曰。人各有任掌。宜不濫。其賢哲任官。頌音則起。  者有官。禍乱則繁。世少生知。尅念作聖。事無大少。得人必治。時無急緩。遇賢自寛。因此国家永久。社稷勿危。故古聖

七に曰わく、人おのおの任あり。掌ること宜く濫れざるべし。それ賢哲官に任ずるときは、頌音すなわち起こり、奸者官をたもつときは、禍乱すなわち繁し、世に生まれながら知るもの少なし、克くおもいて聖を作る。事大少とな、人を得て必ず治まり、時急緩となく、賢に遇えば自から寛なり。これによって、国家永久にして社稷危きことなし、故に古の聖王は官のために人を求め、人のために官を求めず。

七つ目の申し渡しは、政を司る人それぞれに任務あり。任務遂行に当たっては誠実に務めよ。任務を誠実で率直な臣下に任じれば、他の臣下にも良い影響を与えるが、誠実さも率直さもない臣下を用いれば、他の臣下の心をも乱れさせてしまう。この世に生まれながらにして全てを知る人などなく、逞しい精神でもって道理・真理を知る人となる。仕事が出来るか出来ないかを問うのではなく、そうした道理・真理を知る人が集まることで世は安泰となり、時急がずとも、誠実さのない人でさえも心豊かな人に変わりゆくであろう。これによって、国家は永久に続き、つまらなき争い事もなくなる。故に古の聖王は、誠実に任務を遂行する人だけを求め、誠実さの欠ける人には任務を与えなかった。



八曰。群卿百寮。早朝晏退。公事靡  。終日難盡。是以遅朝。不逮于急。早退必事不盡。

八に曰わく、群卿百寮、早くまいりておそくまかでよ。公事もろきことなし、終日にも尽くしがたし。ここを以て、遅く朝(まい)れば急なることに逮(およ)ばず、早く退るときは必ず事尽さず。

八つ目の申し渡しは、政を司る人全ては、 朝早く出仕して遅く退出すること。公務の遂行は容易ではなく、陽が沈んでも及ばぬほどである。よって、遅く出仕すれば焦りが生じてしまい公務に害が及んでしまう。早く退出してしまえば公務はいつまでたっても果たせぬ。



九曰。信是義本。毎事有信。其善悪成敗。要在于信。群臣共信。何事不成。群臣无信。万事悉敗。

九に曰わく、信はこれ義の本なり。事毎に信あれ。それ善悪成敗はかならず信にあり。群臣共に信あるときは、何事か成らざらん。群臣信なきときは、万事悉く敗れん。

九つ目の申し渡しは、嘘偽りがないこと、これぞ信義の基本であり、いつ如何なるときであっても誠実さを保たねばならない。臣下同士が共に誠実であれば、どんな難しい問題も解決することができる。 臣下同士が共に誠実でなければ、何事も問題を解決することはできない。



十曰。絶忿棄瞋。不怒人違。人皆有心。心各有執。彼是則我非。我是則彼非。我必非聖。彼必非愚。共是凡夫耳。是非之理 能可定。相共賢愚。如鐶无端。是以彼人雖瞋。還恐我失。我獨雖得。従衆同擧。

十に曰わく、こころのいかりを絶ちおもてのいかりを棄て、人の違うを怒らざれ。人みな心あり、心おのおの執るところあり。彼是とすれば則ち我は非とす。我是とすれば則ち彼は非とす。我必ず聖なるにあらず。彼必ず愚なるにあらず。共にこれ凡夫のみ。是非の理、なんぞよく定むべき。相共に賢愚なること、みみがねの端なきが如し。ここを以て、彼の人いかるといえども、還ってわが失を恐れよ。われ独り得たりといえども、衆に従いて同じくおこなえ。

十の申し渡しは、念(イカ)りを絶ち、瞋(イカリ)を棄て、人の相違を怒ってはならない。人には皆それぞれの心が有り、心はそれぞれ人によって相違がある。彼は我では無く、我は彼では無い。我も必ずしも物事の道理・真理に通じた者でも無い。彼も必ずしも愚者では無く、共に凡夫でしかない。これぞ道理・真理といわずして、なんの定めが出来ようか。互いに道理・真理に通じた者でもあり、愚者でもある。まるで金輪に端が無いように。よって、彼が人を怒る事が有ったとしても、顧みて我がしくじりが無いかを心配せよ。我一人が適任と考えても、皆に合わせて同じ様に振る舞うこと。 



十一曰。明察功過。罰賞必當。日者賞不在功。罰不在罪。執事群卿。宜明賞罰。

十一に曰わく、明らかに功と過とを察して、賞を罰とを必ず当てよ。このごろ、賞は功においてせず、罰は罪においてせず、事を執る群卿、よろしく賞と罰とを明らかにすべし。

十一の申し渡しは、公明正大にして功績と罪過を見極め、恩賞と罰則をきちんと割り当てすること。近頃は、恩賞が功績と値せず、罰則が罪過と合致しない。裁可を下す臣下にあっては、皆が納得するよう公明正大に恩賞と罰則を裁定すべし。



十二曰。国司国造。勿斂百姓。国非二君。民無兩主。率土兆民。以王為主。所任官司。皆是王臣。何敢與公。賦斂百姓。

十二に曰わく、国司・国造、百姓におさめとることなかれ。国に二君なく、民に両主なし。率土の兆民は王をもって主となす。任ずる所の官司はみなこれ王の臣なり、何ぞ公とともに百姓に賦斂せんや。

十二の申し渡しは、国司・国造は、民百姓からむやみに税を取り立ててはならない。国に二人の天子無し、民百姓に二人の主君無し。国中の総ての民百姓は、天子を主君としている。赴任する役所の役人は、皆な天子の臣下でもある。如何なる理由があろうとも公務遂行の妨げになるような租税を割り当て取り立てることはあってはならない。 



つづく…


※ 参考資料① 三瓶精二氏の「眞實一路の旅なれば 聖徳太子十七条憲法」より
       http://home.c07.itscom.net/sampei/17ken/17ken.html
※ 参考資料② 四天王寺編「聖徳太子と四天王寺」の訳文より
       http://kjs.nagaokaut.ac.jp/mikami/slide/17joukenpou.htm


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