1963年のユーロビジョンソングコンテストのフランス語で歌われたポップスの続き。フランス代表はアラン・バリエール(5位)、モナコ代表はフランソワーズ・アルディ(5位)、ルクセンブルグ代表はナナ・ムスクーリ(8位)、スイス・ロマンド放送局代表はエスター・オリファム(2位)。ナナ・ムスクーリの国籍はギリシア、エスター・オリファムの国籍はイスラエル。フランス語を公用語の一つとしている国の放送局を活用できるのがフランスのポップス界の強味だった。
しかし、世界全体としてみればイギリスやアメリカを発祥とする新たなポップスの流れは押しとどめようもなく、1950年代的な「歌」は若者たちから次第に遠くなってきていたように思う。もちろん、大衆音楽の世界は若者の特権ではなく大人たちのファンも多かったが、ドーナッツ盤、EP盤などそれまでに比べれば格段に安い価格で2~4曲単位のレコードが気軽に手に入るようになった。
高い金を出して、リサイタルや生の音楽を聞かせるライブハウスに行かなくても、本物のポップスが手軽に聞ける。しかも、トランジスタの普及でステレオ装置も学生のバイトで簡単に買えるような価格になった。
この年の曲は、私でもシングル盤を買えるようになっていた。
エスター・オリファムの曲を聞いた記憶はほとんどない。多分、フレンチポップスの枠ではなく、従来からの「シャンソン」に類別されたのだろうか?
曲としては美しい名曲と思うし、この年に2位となっただけのことはあると思うが、いわゆるヒットパレードに載ってくる曲ではなかったように思うがどうだろうか?
T'en vas pas - Esther Ofarim (Eurovision Song Contest 1963)