成馬零一(なりまれいいち @nariyamada) とかいうチンパンヅラの中年節穴ライターが東京ブレイド編メルトの活躍を「邪魔な要素」呼ばわり
しアマプラの実写版 推しの子 ヨイショのリアルサウンドの記事。虫唾が走るな
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なぜ“理想の実写化”になったのか 原作の芸能界描写に正面から回答
https://news.yahoo.co.jp/articles/17631ddd1c200a690c799f5f9db715ebf7db60c7?page=1
最終回が話題となった赤坂アカ(原作)、横槍メンゴ(作画)の漫画『【推しの子】』だが、11月28日からはPrime Videoで実写ドラマの配信が始まり、12月20日からは映画『【推しの子】-The Final Act-』が公開され、こちらも話題になっている。
【写真】あのちゃん 実写『【推しの子】』の再現力がすごい!
本作は、人気アイドル・アイ(齋藤飛鳥)の死の真相をめぐる物語。アイはアイドルグループ・B小町のセンターとして活躍していた完璧で究極のアイドルだったが、悲願だったドーム公演の当日に彼女に隠し子がいることを知った熱狂的なファンに刺されて命を落とす。犯人はその後、自殺したが、アイの息子・アクア(櫻井海音)はアイに隠し子がいることと住所をバラした真犯人が別にいて、それは正体不明の実の父親だと推察。高校生に成長したアクアは、生前にアイと交流のあった芸能関係者に接触するためにタレントとしてデビュー。一方、アクアと双子の兄妹であるルビー(齊藤なぎさ)は、母の後を継ぐかのようにアイドルを目指し、元天才子役の有馬かな(原菜乃華)とYouTuberのMEMちょ(あの)とともにB小町を再結成する。
劇中ではアクアの復讐譚、ルビーのアイドルとしてのサクセスストーリー、そしてアクアを中心とした恋愛模様が同時進行で描かれるのだが、実写化されたことでより際立ったのが、芸能界地獄巡りとでも言うような、ドラマやバラエティの内幕描写だ。
アイの関係者に接触する過程でアクアは俳優としてドラマに出演し、恋愛リアリティショーやバラエティ番組にも出演するようになる。一方、ルビーは新生・B小町としてデビューする中でYouTuberとコラボしたり、アイドルライブに出演したりする。
『【推しの子】』には、2020年以降のSNSの影響力が強くなった芸能界の内幕が生々しいタッチで刻印されており、それが本作の現代性を支えていた。舞台が芸能界ということもあってか、実写版ではWEBドラマや恋愛リアリティショーの撮影場面の解像度がより高まっている。
中でも唸らされたのが、アイドル周辺の描写。演出を担当しているスミスと松本花奈はアイドルのMVも多数手がけていることもあり、ライブシーンやMVの映像の完成度は圧倒的で、B小町という架空のアイドルグループが現実に実在しているかのような説得力を与えている。同時に本作の映像はとてもスタイリッシュで、まるでMVで全話を構成したかのような作り込まれた映像となっていた。
また、北川亜矢子の脚本も実に見事だ。漫画の実写化が難しいのは、絵で描かれたキャラクターなら成立する言葉遣いや行動を、生身の役者が演じると必ず齟齬が生まれるからだ。同時に尺が限られているドラマや映画に、原作漫画の全要素を入れることはできない。そのため、どこを残し、どこを削るかという取捨選択が求められるのだが、『【推しの子】』の場合は、実写化に向かない要素をバッサリとカット。同時にキャラクターの数も減らし、各登場人物のバックボーンを描くエピソードも最小限に止め、役者の演技で魅せることに尽力している。
たとえばアクアとルビーの育ての親で二人が所属する芸能事務所の社長・斉藤ミヤコのバックボーンは劇中ではほとんど描かれないが、倉科カナの演技が見事だったため、魅力的な大人の女性に仕上がっている。
また、本作ではアイドルのアイを乃木坂46のアイドルだった齋藤飛鳥が演じるといった、役者とキャラクターのバックボーンを重ねるドキュメンタリー的なキャスティングがおこなわれており、その結果、役者のポテンシャルを極限まで引き出すことに成功している。
物語のテンポを良くするために、無駄な要素を省き、内面描写は役者の演技と映像表現に丸投げ。『【推しの子】』はそういうアプローチの作品なのだが、実はこれは『【推しの子】』の2.5次元舞台編で展開された人気漫画『東京ブレイド』の舞台劇化におけるアプローチそのもののである。
実写版『【推しの子】』は原作の「2.5次元舞台編」をなぞる展開に
2.5次元舞台編は恋愛リアリティショー編と並ぶ『【推しの子】』の人気エピソードだが、原作者の漫画家・鮫島アビ子(志田未来)が脚本家のGOA(戸塚純貴)に抗議する場面を通して、漫画の実写化に伴うトラブルを描いた回でもある。
今回のドラマ版では『東京ブレイド』をテレビドラマ化するという展開に改変している。その結果『【推しの子】』を実写ドラマ化することに対する作り手の態度表明とでも言うような回に仕上がっており、漫画をドラマ化することの意味が強く打ち出されたエピソードに仕上がっていた。
同じことはアイの事件の真相を実録映画「15年の嘘」として制作することで真犯人を告発しようとする「映画編」を劇場映画『【推しの子】 -The Final Act-』で展開するスタンスにも表れている。
つまり本作は原作漫画がおこなった問題定義を真正面から受け止め、ドラマや映画といった実写映像作品として打ち返した批評的な作品なのだ。
何かと物議を呼ぶ「漫画の実写化」だが、実写化に伴う齟齬や混乱自体を受け止め、映像にフィードバックしているという意味において、本作は理想の実写化である。
しアマプラの実写版 推しの子 ヨイショのリアルサウンドの記事。虫唾が走るな
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なぜ“理想の実写化”になったのか 原作の芸能界描写に正面から回答
https://news.yahoo.co.jp/articles/17631ddd1c200a690c799f5f9db715ebf7db60c7?page=1
最終回が話題となった赤坂アカ(原作)、横槍メンゴ(作画)の漫画『【推しの子】』だが、11月28日からはPrime Videoで実写ドラマの配信が始まり、12月20日からは映画『【推しの子】-The Final Act-』が公開され、こちらも話題になっている。
【写真】あのちゃん 実写『【推しの子】』の再現力がすごい!
本作は、人気アイドル・アイ(齋藤飛鳥)の死の真相をめぐる物語。アイはアイドルグループ・B小町のセンターとして活躍していた完璧で究極のアイドルだったが、悲願だったドーム公演の当日に彼女に隠し子がいることを知った熱狂的なファンに刺されて命を落とす。犯人はその後、自殺したが、アイの息子・アクア(櫻井海音)はアイに隠し子がいることと住所をバラした真犯人が別にいて、それは正体不明の実の父親だと推察。高校生に成長したアクアは、生前にアイと交流のあった芸能関係者に接触するためにタレントとしてデビュー。一方、アクアと双子の兄妹であるルビー(齊藤なぎさ)は、母の後を継ぐかのようにアイドルを目指し、元天才子役の有馬かな(原菜乃華)とYouTuberのMEMちょ(あの)とともにB小町を再結成する。
劇中ではアクアの復讐譚、ルビーのアイドルとしてのサクセスストーリー、そしてアクアを中心とした恋愛模様が同時進行で描かれるのだが、実写化されたことでより際立ったのが、芸能界地獄巡りとでも言うような、ドラマやバラエティの内幕描写だ。
アイの関係者に接触する過程でアクアは俳優としてドラマに出演し、恋愛リアリティショーやバラエティ番組にも出演するようになる。一方、ルビーは新生・B小町としてデビューする中でYouTuberとコラボしたり、アイドルライブに出演したりする。
『【推しの子】』には、2020年以降のSNSの影響力が強くなった芸能界の内幕が生々しいタッチで刻印されており、それが本作の現代性を支えていた。舞台が芸能界ということもあってか、実写版ではWEBドラマや恋愛リアリティショーの撮影場面の解像度がより高まっている。
中でも唸らされたのが、アイドル周辺の描写。演出を担当しているスミスと松本花奈はアイドルのMVも多数手がけていることもあり、ライブシーンやMVの映像の完成度は圧倒的で、B小町という架空のアイドルグループが現実に実在しているかのような説得力を与えている。同時に本作の映像はとてもスタイリッシュで、まるでMVで全話を構成したかのような作り込まれた映像となっていた。
また、北川亜矢子の脚本も実に見事だ。漫画の実写化が難しいのは、絵で描かれたキャラクターなら成立する言葉遣いや行動を、生身の役者が演じると必ず齟齬が生まれるからだ。同時に尺が限られているドラマや映画に、原作漫画の全要素を入れることはできない。そのため、どこを残し、どこを削るかという取捨選択が求められるのだが、『【推しの子】』の場合は、実写化に向かない要素をバッサリとカット。同時にキャラクターの数も減らし、各登場人物のバックボーンを描くエピソードも最小限に止め、役者の演技で魅せることに尽力している。
たとえばアクアとルビーの育ての親で二人が所属する芸能事務所の社長・斉藤ミヤコのバックボーンは劇中ではほとんど描かれないが、倉科カナの演技が見事だったため、魅力的な大人の女性に仕上がっている。
また、本作ではアイドルのアイを乃木坂46のアイドルだった齋藤飛鳥が演じるといった、役者とキャラクターのバックボーンを重ねるドキュメンタリー的なキャスティングがおこなわれており、その結果、役者のポテンシャルを極限まで引き出すことに成功している。
物語のテンポを良くするために、無駄な要素を省き、内面描写は役者の演技と映像表現に丸投げ。『【推しの子】』はそういうアプローチの作品なのだが、実はこれは『【推しの子】』の2.5次元舞台編で展開された人気漫画『東京ブレイド』の舞台劇化におけるアプローチそのもののである。
実写版『【推しの子】』は原作の「2.5次元舞台編」をなぞる展開に
2.5次元舞台編は恋愛リアリティショー編と並ぶ『【推しの子】』の人気エピソードだが、原作者の漫画家・鮫島アビ子(志田未来)が脚本家のGOA(戸塚純貴)に抗議する場面を通して、漫画の実写化に伴うトラブルを描いた回でもある。
今回のドラマ版では『東京ブレイド』をテレビドラマ化するという展開に改変している。その結果『【推しの子】』を実写ドラマ化することに対する作り手の態度表明とでも言うような回に仕上がっており、漫画をドラマ化することの意味が強く打ち出されたエピソードに仕上がっていた。
同じことはアイの事件の真相を実録映画「15年の嘘」として制作することで真犯人を告発しようとする「映画編」を劇場映画『【推しの子】 -The Final Act-』で展開するスタンスにも表れている。
つまり本作は原作漫画がおこなった問題定義を真正面から受け止め、ドラマや映画といった実写映像作品として打ち返した批評的な作品なのだ。
何かと物議を呼ぶ「漫画の実写化」だが、実写化に伴う齟齬や混乱自体を受け止め、映像にフィードバックしているという意味において、本作は理想の実写化である。