今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが四周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。
四周目はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。
四周目の第五回目は「か」「よ」「た」の三つです。
『か』・・・亀がわちゃわちゃ
漫画風に亀をたくさん描いてみました。わちゃわちゃしています。新年らしくおめでたい感じに描きました。鶴もいます。松竹梅や鯛もあしらってあります。文字は「龜壽」と書き添えました。「亀寿」という字を旧字体で書いたものです。「鶴は千年 亀は万年」といって長寿をことほぐ意味があります。亀は俳句の季語になっていないようですが、「亀鳴く」という春の季語があります。亀は発声器官をもたないのですが、「心で聞く」ということでしょうか。
・亀鳴けり人老いて去り富みて去り 鷹羽 狩行
・亀鳴くや心の流転とめどなし 鈴木 真砂女
・亀鳴くや身体のなかのくらがりに 桂 信子
『よ』・・・葉柄痕
今から何年も前、冬から春に向かうまだ寒い日に、我が家のアジサイにナナホシテントウが這っているのを見つけ、フィルムカメラで接写しました。わざわざフィルムカメラと言わなくても、デジタルカメラがこの世に存在しない頃の話です。フィルム一巻を撮り終えて町の写真屋さん(D.P.E.と書いてありました)にもっていって現像してもらうのです。用紙に焼き付けてもらった写真を後日受け取りに行くと、「こちらのお写真で間違いございませんか?」と見せながら確認してくれます。ナナホシテントウを撮ったはずの写真に写っていてびっくりしたのがこの顔です。葉柄痕(ようへいこん)といって、ここに葉っぱがついていたというしるしの部分です。顔に見えます。というか顔にしか見えません。「萌」という字をデザインして書き添えておきました。
葉柄痕は俳句の季語にはなっていないようですが、季節感のあるものなので、葉柄痕を読んだ名句がたくさん作られればそのうち季語として定着するかもしれません。
『た』・・・タイツリソウ
キンポウゲ目ケマンソウ亜科ケマンソウ属ケマンソウは別名を「タイツリソウ」といいます。花茎がアーチ状に湾曲し、花がぶら下がって咲く様子が、鯛が釣り竿にぶら下がっているように見えるので、この名があるのでしょう。かわいらしい花です。今調べてみて毒があるのだということを知りました。ひと竿でこんなに釣れたらかなりの大漁なので「漁」という字を書き添えてみました。
「華鬘草」は晩春の季語になっています。「鯛釣草」も傍題にちゃんと載っていました。
・鯛釣草たのしき影を吊り下げて 山田 みづえ
・鯛釣草片身づつ散る夕まぐれ 中野 冬太
・鯛釣草うらはらの世を明るうし 高澤 良一