今までに描いたはがき絵をいろは歌に沿って紹介していくシリーズが五周目に突入です。現代仮名遣いにない「ゐ」と「ゑ」はとばします。「を」と「ん」で始まるはがき絵もありませんので、全部で四十四作品を紹介する予定です。
五周目もお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵を中心に紹介していきます。いわゆる「はがき絵」として描いたものではありませんが、新たに解説文を付けて紹介していきますのでお付き合いください。
それでは五周目の第一回目、「い」「ろ」「は」でスタートです。
『い』・・・漁火(いさりび)
夜、魚を獲るために漁船で焚くかがり火のことでしたが、松明からアセチレンランプへ、電気照明へと変わっています。現在ではLEDも使われているそうです。強い光を発しているこの絵はイカ釣り船でしょうか。文字も「漁火」と書き入れました。
「漁火」は素敵な言葉ですが、俳句の季語にはなっていません。他の季語と取り合わせて一句を成す必要があります。読みは「いさりび」ですが、「ぎょか」と音読みにした句もあります。
・烏賊釣りの漁火遠くよされ節 櫛田 と志子
・こほろぎの闇や漁り火高うして 山口 誓子
・聖夜またたく漁り火の消ゆるころ 鷹羽 狩行
・漁火もほつほつと夏料理かな 高野 素十
『ろ』・・・ロールケーキ
ロールケーキを描いて、ひらがなで「ふわ」と書き添えました。実は「はがき絵いろはうた」の一周目にもロールケーキが登場しています。一周目のロールケーキははがきに描いたもの、五周目の今回はお絵かきのチャットゲーム「あつまれ!おえかきの森」で「相方」なる人物と合作した投稿絵、という違いがあります。
「ロールケーキ」も「ケーキ」も季語ではないと思いますが、「クリスマスケーキ」なら季語になります。「苺ケーキ」とすれば「苺」が初夏の季語になります。
・住み込みの夜のケーキの苺かな IKKO
・ケーキ焼く子が厨占め春休 稲畑 汀子
・栃咲くや少女あふれるケーキ店 松本 照子
メイクアップアーティストのIKKOさんが「プレバト」という番組の中で発表された句を紹介しています。「才能あり第一位」だったと記憶しています。
『は』・・・バゲット
バゲットは「杖」という意味のフランス語。この絵のようなフランスパンの一種も表します。小麦粉と塩、水、イーストだけで作られるフランスの伝統的なパンです。「滋味がある」という言葉がありますが、その「滋」という字を書き添えてみました。
「バゲット」「フランスパン」ともに俳句の季語にはなっていませんので、他の季語と取り合わせて一句を成す必要があります。
・春一番フランスパンの長袋 塩田 博久
・バゲットのやうな二の腕夏来たる 山本 正幸
・春着の娘フランスパンを抱いて来る 柚口 満