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Civilizations and Impressions

首都圏の再編成と第二太平洋ベルトの建設について3

2022-10-29 10:10:26 | 論文

第二太平洋ベルト構想

 

 第二太平洋ベルト構想とはどういう構想か。太平洋ベルトとは北九州工業地帯、阪神工業地帯、中京工業地帯、京浜工業地帯を結んだ工業地帯であったが、東京から西へ伸びていく「工業地帯」であった。第二太平洋ベルトは東京から、千葉、茨城、福島県を経て仙台に至る「産業地帯」を形成する構想である。

 

 どのような産業地帯を建設していくのか。

 

 1 分散型都市圏である郡山市、水戸市の都市圏のポテンシャルを活かしてデジタル田園都市構想を活用しながら、千葉市、つくば市、水戸  市、いわき市、郡山市、仙台市へとつなぎ、新産業革命に合わせた形での「産業地帯」を形成する。

 

 2 首都圏の再編成で述べた「首都圏における第二軸」は第二太平洋ベルト構想の中の一角をしめることになる。筑波研究学園都市もあるが、水戸市がひたちなか、大洗、常陸太田、笠間とゆったりとした分散型都市圏を伝統的に形成してきたところに着目している。ハブアンドスポークによる自動運転バス、タクシーによる交通システムの設置をはじめ、ハブアンドスポークに基づいて医療、教育産業を育成していく。新たな空間、時間の活用方法によって、出生率にもいい影響を与えるようにしていく。

 

 3 2と同様なことは郡山市にもいえる。郡山は須賀川、田村、二本松、福島、会津若松といった都市に囲まれ、ゆったりとした都市圏を形成してきた。旧産業革命に対して新産業革命は頭脳労働の機械化といわれる。そしてそれを支える土台の部分はハブアンドスポークである。頭脳の機械化とハブアンドスポークの結合こそが第二太平洋ベルト構想の中心にくるテーマであろう。千葉、つくば、水戸、郡山、仙台でそういうエリアをつくり、それらをつなげていくことが太平洋ベルト構想とは異なる新しいベルト構想といえるところだろう。

 

 4 福島県海岸部には津波被害を受けて、莫大な費用をかけて造成された広大な土地がある。新産業が必要とする無人工場プラントが建設できる。今までに支出した費用を生産に活かし、投資財としていく。しばらくは東北(中通り)に人が住み、太平洋岸には無人工場が立ち並ぶイメージである。誘致で特区構想を活用すればいいかもしれない。税金が地元に落ちるようにもする。

 

 5 東京圏への人口の流入(特に日本北部からの)を活性化される水戸都市圏、郡山都市圏が中心に吸収できるようにして、抑えるようにする。それにより、東京圏への人口流入を抑制して、東京圏の賃金が上がるようにする。また東京圏から流出する人口を迎えうる受け皿にする。

 

 6 東海道レベルということで、東京名古屋間程度(349.4㎞)を考え、まずは東京仙台間(369.5㎞)を第二太平洋ベルトとしてみた。郡山であれば日本海と太平洋のアクセス拠点ともなりえるだろう(現時点では日本海経済の活性化は難しいが)。高度成長時代ではないので、それほどお金があるわけではないから、計画は小ぶりにし、今までに建設したインフラ(高速道路や新幹線)を活かすことが重要になる。

 

 7 分散して成立してきた既存都市圏の潜在的メリットと新産業(新エネルギー、バイオ、健康、医療、情報、知財、教育)がマッチングするかという問題があるが、知能の機械化(センター)と分散配置(ハブアンドスポーク)の結合がそれぞれのジャンルで重要な意味を持ってくるだろう。

 

  今後はエネルギー、食料が自給できる土地に我が国の知財を集中することも重要になってくるのではないだろうか。また首都圏における千葉県のありかたでも述べたが、外国の資金、人、モノを活かす新しいスタイルを採り上げる上で観光産業の発展も重要になるかもしれない。第二太平洋ベルトの場合では、その観光の中心はいわき、郡山、会津若松、新潟を結ぶジオグラフィックな横軸ということになるだろう。地球観光的な観光地にめぐまれた土地であるからだ。頭脳労働の機械化、新技術、ハブアンドスポーク、建設した造成地・インフラの活用、外部資本・人材・モノの活用。これらの結合の仕方によって第二太平洋ベルトの可能性はさまざまになるだろう。太平洋ベルト建設の時代と比べて、質素でなければならない状況を考えると、第二太平洋ベルトの建設理念はシンプルなものになるのかもしれない。しかしシンプルイズベストではないだろうか。

 

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首都圏の再編成と第二太平洋ベルトの建設について2

2022-10-23 10:29:03 | 論文

解決の糸口

 こうした問題を解決するためにはどうしたらいいか。二つの視点があるだろう。一つは首都圏を再編成すること。北関東から東京圏への流入がかなり多い※1からである。もう一つは可能性のある地方を選び、そこを活性化すること。この地方の活性化はもっと前であれば、他に方法があったかもしれない。しかしあまり残された時間がないので、次第に限定されてきたかと思われる。東京圏への流入人口が多い関西圏、中京圏※2はそれぞれ独自に活性化することは可能であろう。しかし東日本大震災に遠因をなす、北日本からの流入も多かった※3。北日本を活性化するためには、復興ではなく新しいビジョンが必要だと思われる。第二太平洋ベルト構想がそれである。第二太平洋ベルト構想は東日本大震災の復興と重なるテーマでもあるが、復興でなく未来を見据え、前向きにとらえるためのビジョンである。

※1、※2、※3地方創生第1期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に関する検証会(第1回)H31.1.28配布資料4

 

首都圏の再編成

 首都圏の再編成とは具体的には何をするのか。北関東から東京圏への人口流入を止め、むしろ戻す流れを作り出す。そのためには以下の問題を考えていく必要があるだろう。それぞれ個別の問題であり、それを結合していく中で首都圏の再編成というテーマが浮かび上がってくるだろう。

1 東京の下町一帯を元の広大な緑地(江戸時代)に戻していくこと。かつこのエリアに東京西部の住宅を移設していく。全体としての東京の防災力を高める。

2 幕張と水戸を軸とした首都圏の第二軸を形成する。横浜、東京、さいたま(京浜東北線経済)を第一軸とすれば、これらは自国の資金、人、物で成立したかっての経済圏の軸といえるかもしれない。それに対して第二軸はシンガポールのように他国の資金、人、物※1で成立するようにする。

3 第二軸をシンガポール型にするために、千葉県においてまずは観光に力を入れる。東京湾観光※2と北総四都市江戸紀行※3を中心として、外国人にアピールする地区を形成する。幕張が第二軸の一つの起点になるのは東京湾観光と北総四都市江戸紀行が重なる交点となるからである。

4 第二軸では花見川、印旛沼、利根川、霞が浦、涸沼などの水路の上空を活用する。東京湾、成田空港、筑波研究学園都市を結合しドーロン等を最大限に活用※4した都市、住宅地を建設。

5 こうした都市住宅モデルの下、東京下町の住民を第二軸に分散して住むようにしていく。東京の下町を広大な緑地兼西部住宅の移転地とするわけである。

6 千葉県と茨城県を首都圏の第二軸にするのは、首都圏全体では国全体に対する比重を変えることにはならないかもしれない。しかし神奈川、東京、埼玉を中心とした第一軸に対して新しい経済産業モデルを提起すると同時に、東京の防災力を高める百年の計ともなりえるだろう。北関東への人口シフトにも影響があるかもしれないが(つくばエクスプレスのように)、それは第二太平洋ベルト構想との関連性があるだろう。

 

※1 シンガポールのように他国の資金、人、物

シンガポールはよその国から、資本、物、人を調達して発展してきた。そうせざるをえない事情があったこともあるし、多民族であり、地理的にハブであったこともあるだろう。ロンドン、ニューヨークもそういうところがあるが、日本の場合、そういう場所を創るのならば特区構想なりで意識的にやる必要があるのではないか。新東京としてハブ機能を狙うわけであるが、太平洋経済のハブということになるだろうか。

※2 東京湾観光

シンガポールはマリーナ湾の昔の写真を見ればわかるが、汚い港だった。海外から観光で人を呼び込むことで経済を発展させてきた。東京湾にはすでにディズニーランドから木更津のアウトレットモールまでさまざまな観光施設ができている。ただこれらを結び付けたり、外国人にパッキングして売り込む力は弱いのかもしれない。

※3 北総四都市江戸紀行

千葉県で日本遺産として認められた佐倉(城下町)、成田(門前町)、佐原(商人町)、銚子(産業町)の四つの江戸のまちの観光のことだが、京都、奈良と比べて、武士文化、江戸文化を濃厚に学べるエリアだろう。霞ケ浦でやっているようなサイクリングコースを作れば四国のような巡礼地になる可能性もあるかもしれない。

※4 ドーロン等を最大限に活用

新しい都市、住宅地がどのようになっていくか考えた時、ドローン、無人自動車の活用が重要になってくるだろう。その際、重要になってくるのはいずれも「道」ということになる。既存の市街地では規制も高くなるだろう。このエリアの水路帯を活用し、ある程度ドローンで運び、小さいコンビニエンスなコミュニティを無人化した自動車で移動するような都市、住宅地が望まれるのかもしれない。

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首都圏の再編成と第二太平洋ベルトの建設について1

2022-10-15 13:09:19 | 論文

これから少し、国土について考えてみたいと思っています。

 

 日本の賃金が上がらない背景には将来を不安視して消費が増えず、経済が活性化しないだとか、日本の人口が減少するので、市場が縮小するので企業が投資を控えるからなどという原因が挙げられています。いずれも長期的要因であり、コントロールが難しい要因かと思います。

 他方で、もっと具体的に人口が首都圏に影響を及ぼしたかもしれない要因がある。2011年に発生した東日本大震災が首都圏にどのような影響を及ぼしたかということです。北日本から首都圏へ人口流入があり、それが果たして戻れたかという問題設定です。

 この論文は戻れなかったのではないかという設定で書かれています。そうするといじりにくい社会保障制度や人口政策とは別に国土、産業政策から賃金上昇を図るためには何ができるか考える視点も生まれてくるかと思います。

 

 「首都圏の再編と第二太平洋ベルト建設」がテーマとなっていますが、日本の将来を脅かす二つの問題点として高齢少子化、賃金上昇がないことが挙げられています。今はウクライナ情勢などで物価があがっていますが、デフレ状況の改善ということでしょう。ただ先の条件は有名ですが、私はより具体的な状況として、首都圏問題、東日本大震災問題があり、これらの問題は東京オリンピックという間違ったアプローチによって改善を図ろうとしたのではないかと考えはじめております。これらを改善するためには東京一極集中を是正することが重要であり、そのために首都圏の再編成と第二太平洋ベルトの建設というアプローチを提起してみたわけです。

 

 本題に入る前にさまざま問題点を見ていきましょう。高齢少子化とは医療の発展によって高齢者の死亡率が低下し、女性の社会進出や晩婚化によって出生率が低下することによって引き起こされるさまざまな問題(特に労働力の減少)が挙げられます。賃金上昇の停滞とは、賃金が低い状態で推移し、所得が伸びず、需要が高まらない状態が続いて経済が活性化しない状態が挙げられます。労働力が減少すれば賃金は上昇するはずだが、そうはならないという問題が続いてきました。

 

 高齢者の死亡率の低下、女性の社会進出、晩婚化は変更が難しい、コントロールが難しい要因でしょう。しかしそれ以外の要素、住宅の狭さ、教育費の高さ、保育所幼稚園の入所待機、時間外保育などの問題は東京一極集中の問題が回避されれば、改善の可能性の余地はあるのかもしれません。また賃金の上昇についても、東京圏への一極集中が大きく影響しているかと思われます。東京圏で労働需要と労働供給がひっ迫して賃金が上昇しそうになっても地方から人口が流入し、かつ地方にリターンできる産業がなくなっていれば、逆に東京から地方に戻る流れもないということになります。

 

 2021年に開催された東京オリンピックに合わせて、東京のリニューアルがなされてきた半面、東京の足元を見れば、江戸川区、葛飾区といった下町地区の防災状況はあまり改善されているようでもありません。また城南や西部の密集地帯の改善もなされてこなかったのではないでしょうか。これらのことはなされなかったというよりも(本質的には)不可能だと思われてきたからでしょう。

 

 収益力のある東京に投資が行われ、ますます魅力が増すが、東京の防災の問題は根本的には解決されず、高齢少子化も賃金上昇の問題も解決されない、東京のブラックホール化と呼んでもいいかもしれません。

 

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Nigata cities serenade3

2022-10-02 09:20:08 | 旅行

新発田の町は新潟県の中でも歴史的風格が漂う町だ。

年々そうなっているような感じがする。

その中でも私がお気に入りなのが清水園。

なぜならこの庭園の一角に私なりのパワースポットがあるからだ。

今回は「老後行動百選」ということで、老後にやることを、手帳に100個書くことを試みた。

かろうじて書きこめた。

雨が降ってきたこともあり、雨音とせせらぎが心地よい。

頭の中のもやもやも100個の煩悩?を出し尽くしたおかげで、身軽な感じになった。

半ば今回の旅は達成されたという気分である。

 

雨足が強まり、人影消えた清水園にお別れを告げる。

そして村上に向かい、前回、行列で食べそこなった念願の鮭ランチを食べる。

昨夜の新潟での不完全燃焼が少し解消されつつある。

村上駅前。時間があればもっと見るところがあるのだが。天気も悪くなってきた。

雨の新潟駅前で高速バスに乗り換え、長岡へ向かう。

行きとは異なり、雨の越後平野。

長岡のホテルに入り、行きつけの居酒屋へ。

そして今更のように思うのだった。

新潟のお酒、海鮮、米の中軸は長岡なのではないかと。

寺泊にも、出雲崎にもここからバスが出ているのだし。

しかし温泉と庭園は(近くには)ない。

今日行った新発田、村上は温泉も庭園もあるといっていいだろう。

明日は謙信祭の上越市。

 

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