第二太平洋ベルト構想
第二太平洋ベルト構想とはどういう構想か。太平洋ベルトとは北九州工業地帯、阪神工業地帯、中京工業地帯、京浜工業地帯を結んだ工業地帯であったが、東京から西へ伸びていく「工業地帯」であった。第二太平洋ベルトは東京から、千葉、茨城、福島県を経て仙台に至る「産業地帯」を形成する構想である。
どのような産業地帯を建設していくのか。
1 分散型都市圏である郡山市、水戸市の都市圏のポテンシャルを活かしてデジタル田園都市構想を活用しながら、千葉市、つくば市、水戸 市、いわき市、郡山市、仙台市へとつなぎ、新産業革命に合わせた形での「産業地帯」を形成する。
2 首都圏の再編成で述べた「首都圏における第二軸」は第二太平洋ベルト構想の中の一角をしめることになる。筑波研究学園都市もあるが、水戸市がひたちなか、大洗、常陸太田、笠間とゆったりとした分散型都市圏を伝統的に形成してきたところに着目している。ハブアンドスポークによる自動運転バス、タクシーによる交通システムの設置をはじめ、ハブアンドスポークに基づいて医療、教育産業を育成していく。新たな空間、時間の活用方法によって、出生率にもいい影響を与えるようにしていく。
3 2と同様なことは郡山市にもいえる。郡山は須賀川、田村、二本松、福島、会津若松といった都市に囲まれ、ゆったりとした都市圏を形成してきた。旧産業革命に対して新産業革命は頭脳労働の機械化といわれる。そしてそれを支える土台の部分はハブアンドスポークである。頭脳の機械化とハブアンドスポークの結合こそが第二太平洋ベルト構想の中心にくるテーマであろう。千葉、つくば、水戸、郡山、仙台でそういうエリアをつくり、それらをつなげていくことが太平洋ベルト構想とは異なる新しいベルト構想といえるところだろう。
4 福島県海岸部には津波被害を受けて、莫大な費用をかけて造成された広大な土地がある。新産業が必要とする無人工場プラントが建設できる。今までに支出した費用を生産に活かし、投資財としていく。しばらくは東北(中通り)に人が住み、太平洋岸には無人工場が立ち並ぶイメージである。誘致で特区構想を活用すればいいかもしれない。税金が地元に落ちるようにもする。
5 東京圏への人口の流入(特に日本北部からの)を活性化される水戸都市圏、郡山都市圏が中心に吸収できるようにして、抑えるようにする。それにより、東京圏への人口流入を抑制して、東京圏の賃金が上がるようにする。また東京圏から流出する人口を迎えうる受け皿にする。
6 東海道レベルということで、東京名古屋間程度(349.4㎞)を考え、まずは東京仙台間(369.5㎞)を第二太平洋ベルトとしてみた。郡山であれば日本海と太平洋のアクセス拠点ともなりえるだろう(現時点では日本海経済の活性化は難しいが)。高度成長時代ではないので、それほどお金があるわけではないから、計画は小ぶりにし、今までに建設したインフラ(高速道路や新幹線)を活かすことが重要になる。
7 分散して成立してきた既存都市圏の潜在的メリットと新産業(新エネルギー、バイオ、健康、医療、情報、知財、教育)がマッチングするかという問題があるが、知能の機械化(センター)と分散配置(ハブアンドスポーク)の結合がそれぞれのジャンルで重要な意味を持ってくるだろう。
今後はエネルギー、食料が自給できる土地に我が国の知財を集中することも重要になってくるのではないだろうか。また首都圏における千葉県のありかたでも述べたが、外国の資金、人、モノを活かす新しいスタイルを採り上げる上で観光産業の発展も重要になるかもしれない。第二太平洋ベルトの場合では、その観光の中心はいわき、郡山、会津若松、新潟を結ぶジオグラフィックな横軸ということになるだろう。地球観光的な観光地にめぐまれた土地であるからだ。頭脳労働の機械化、新技術、ハブアンドスポーク、建設した造成地・インフラの活用、外部資本・人材・モノの活用。これらの結合の仕方によって第二太平洋ベルトの可能性はさまざまになるだろう。太平洋ベルト建設の時代と比べて、質素でなければならない状況を考えると、第二太平洋ベルトの建設理念はシンプルなものになるのかもしれない。しかしシンプルイズベストではないだろうか。
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