独白

全くの独白

つい感動してしまった

2017-05-10 21:11:07 | 日記
石川県庁舎の高所では、毎年隼が営巣する。
通常は安全で食料の調達し易い海岸の崖に作るらしい。
変わっているのと国の絶滅危惧種に成っている事から、毎年TVなどで紹介される。
建物の中の職員達も刺戟しないように気を配って遣っているらしい。
その甲斐あって今年も雛五羽が無事に生まれ、ニュース番組で映し出されている。
親の顔と三羽の雛が見えている。二羽は積極的に首を伸ばし口を開けて肉片を受け取っている。
残る一羽は然程動かず、目も他の二羽より更に瞑りがちで在る。
「これが生存競争の落伍者になる訳だな」と、薄情な私もちょっと切なく思いながら、
こちらは食料を口に放り込んでから又画面に目を向けた。
すると、画面の外に出て、足元の肉塊から食い千切ったらしい肉片を咥えて、又現われた親鳥が
それをその三羽目の口に押し付けるようにして遣っている。
流石におとなしいその雛も、無表情にでは在るがモグモグと口を動かしている。
音声はこちらに届いていないが、親の声を聞いたような気がした。
「いっぱい食べないと、大きくなれないよ」
隼と雖も、親は子を見守っているのである。