読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

東野圭吾著「マスカレード・ナイト」

2024-04-22 | 東野圭吾
マスカレードシリーズ第3弾。練馬のマンションの一室で若い女性の他殺体が発見された。ホテル・コルテシア東京のカウントダウン・パーティに犯人が現れるという密告状が警視庁に届く。新田浩介は潜入捜査のため、再びフロントに立つ。コンシェルジュに抜擢された山岸尚美は様々な要求のお客様への対応に追われていた。華麗なる仮面舞踏会が迫るなか、捜査本部が立ち上り厳重な警戒態勢の中、顔も分からない犯人を捕まえることができるのか・・・ホテル最大の危機に名コンビが挑む展開。ホテルのコンシェルジュの仕事って大変。自分だったらとても出来そうもない。個性豊かな登場人物たちの人物描写も面白いし、誰もが怪しい動きをするなかクライマックスを迎えるが犯人が・・・。キムタク・長澤で実写映画化もされているそうだから見てみるかなぁ~
2017年9月集英社刊


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東野圭吾著「素敵な日本人」

2024-03-17 | 東野圭吾
9つのミステリー短編集。元旦に起きたドタバタ事件・・・「正月の決意」。10年ぶりの再会痛快な復讐劇・・・「十年目のバレンタインデー」。一人娘の結婚を案じる父に、娘は雛人形を指差して大丈夫という。そこには亡き妻の秘密が・・・。「今夜は一人で雛祭り」。独身女性のエリーが疑似子育て体験用赤ちゃんロボットを借りたところ、近未来SF作品。オチがいい・・・「レンタルベビー」。世にも珍しい青色の猫。多くの人間が繁殖を目論むのだが、猫の脳の移植がテーマだが・・・「サファイアの奇跡」。刑事と指名手配犯の女。2人を唯一結びつけたものはアニメだったのだが、切ないストーリーです・・・「君の瞳に乾杯」。時計を修理したばかりに、主人公が迂闊すぎですし、さすが警察・・・「壊れた時計」。俳優の男よりも脚本家の女の方が何枚も上手だった。・・・「クリスマスミステリ」。我が子を想う親の愛・・・「水晶の数珠」。日本人に馴染み深い四季折々の行事を題材にした4編と、異色のミステリー5編。ウィットに富んだ作品集でした。
2017年4月光文社刊

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東野圭吾著「希望の糸」

2023-03-27 | 東野圭吾
加賀の新参者シリーズ「家族の物語」。
バツイチ独身、自由が丘で喫茶店を営む女性「花塚弥生」が店で殺された。加賀恭一郎と従弟の松宮脩平が捜査しても被害者に関する手がかりは「あんないい人が」という善人情報だけ。捜査線上に浮上した常連客だったひとりの男。災害で二人の子供を失った彼は、深い悩みを抱えていた。容疑者たちの複雑な運命に、若き松宮刑事が挑む。一方、金沢で一人の男性が息を引き取ろうとしていた。彼の遺言書には松宮の名前があった。彼女や彼が追い求めた希望とは何だったのか。勘違い「がんばったらいいじゃない。きっと巡り合えるから」(P311)読んでいるうちに、次から次と新たな謎が生まれ出てストリーに引き込まれる展開で面白かった。絶望から立ち直るために不妊治療の末に得た娘の秘密、血縁、親子、家族…いろんなことを考えさせられる物語でした。加賀よりも松宮刑事が主人公の物語です。
2019年7月講談社刊
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東野圭吾著「危険なビーナス」

2022-09-11 | 東野圭吾
医者の家系の資産家である矢神家の遺産相続、主人公手島伯郎の母親の不審死の真相を探る内容を重ねて、拓郎と突然現れた異父弟・矢神明人が失踪したと嫁を自称する楓を中心に展開される。弟の妻と名乗る・楓は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である夫の家族に近づく。兄である獣医手島伯朗は楓に頼まれ協力するが、やがて時が経てばたつほど彼女に惹かれていく。医学・獣医や数学の薀蓄や、獣医伯朗の生活と推理を中心に、愉しいミステリーが繰り広げられる。謎が解けていく展開が巧い。ヒロインや女性の描写が楽しい。意外な結末などさすが東野ワールドは面白い。読後、ネット検索してしらべていたら獣医伯朗には妻夫木、動物病院の知的でクールなナース蔭山元実役中村アン、楓に吉高由里子TVドラマ化されていると知ったが思い描いていたイメージと違ったので、原作を先に読んでおいてよかったと思った。
2016年9月講談社刊 

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東野圭吾著「ブラックショーマンと名もなき町の殺人」

2022-09-05 | 東野圭吾
主人公は、被害者の一人娘で進行役の神尾真世と、被害者の弟で探偵役の神尾武史。武史は以前有名なブラックショーマン・手品師だ。名もなき町。ほとんどの人が訪れたこともなく、訪れようともしない町。けれど、この町は寂れてはいても観光地で、再び客を呼ぶための華々しい計画が進行中だったのだが、多くの住民の期待を集めていた計画は、世界中を襲ったコロナウイルスの蔓延により頓挫。町は望みを絶たれてしまう。そんなタイミングで殺人事件が発生。犯人はもちろん、犯行の流れも謎だらけ。当然だが、警察は、被害者遺族にも関係者にも捜査過程を教えてくれない。いったい、何が起こったのか。「俺は自分の手で、警察より先に真相を突き止めたいと思っている」。颯爽とあらわれた〝黒い魔術師〟が人を喰ったような知恵と仕掛けを駆使して、犯人と警察に挑む。そう「謎を解くためなら、手段を選ばない!」のだ。キャラも面白くストーリーは軽快でテンポよく進み、飽きずに一気読みできたが犯人は途中で予想が付いたが・・・。人には表面と違った意外な裏側があるものですね。
2020年11月光文社刊


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東野圭吾著「クスノキの番人」

2022-07-08 | 東野圭吾
その木に祈れば、願いが叶うと言われている今ではパワースポットになっているのクスノキ。その番人を任された青年と、クスノキのもとへ祈念に訪れる人々の織りなすファンタジー。不当な理由で職場を解雇され、その腹いせに罪を犯し逮捕されてしまった玲斗。同情を買おうと取調官に訴えるが、その甲斐もなく送検、起訴を待つ身となってしまった。そこへ突然弁護士が現れて依頼人の命令を聞くなら釈放してくれるというのだ。依頼人に心当たりはないが、このままでは間違いなく刑務所だ。そこで賭けに出た玲斗は従うことに。解放され依頼人の待つ場所へ向かうと、年配の女性が待っていた。千舟と名乗るその女性は驚くことに伯母でもあるというのだ。あまり褒められた生き方をせず、将来の展望もないと言う玲斗に彼女が命令をする。「あなたにしてもらいたいこと――それはクスノキの番人です」と・・・。クスノキを訪れる人々は満月と新月の日に神社にやってきてお参りして行く。玲斗はクスノキに祈念する意味を知らされぬまま番人を務めるのだが、そこにくる人々を見ているうちにクスノキの木に秘められた力の正体に気づく。いい事ばかりではなく悪い事も含めて念じる事で通じ得ることができると信じて我々は神仏に祈りを捧げる。物を忘れる怖さ、忘れたことさえ忘れる怖さ、ファンタジー過ぎない展開、クスノキの謎が解ける過程で、主人公が成長しつつ、様々な登場人物の思いや魂が伝わる、主人公の番人としての成長がしっかり感じられるほっこりした読後感でした。「念とは元来、到底言葉だけで表しきれるものではないんです。念とは魂であり、生き様です。」(P425)
2020年3月実業之日本社刊


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東野圭吾著「魔力の胎動」

2019-11-22 | 東野圭吾

自然現象を見事に言い当てる不思議な力。スーパー高校生羽原円華、君はいったい何者なんだ・・・彼女によって、悩める人たちが救われて行く原作・映画『ラプラスの魔女』にもなった前日譚の短編集。主人公的存在の工藤ナユタとラプラスの魔女のキーマン円華がメインのストーリーが4つに、最後は過去の事件のお話。鍼灸師のナユタは、ベテランスキージャンパーの坂屋を患者として抱えていました。坂屋は昔は活躍していたものの、近年は思うような結果が出せず、まだ小さい自分の息子に胸を張って自分の職業を言えていませんでした。そんな状態で迎える大事な大会。ひょんなことから坂屋の手伝いをすることになった羽原円華。実は彼女はある特殊な能力をもっています。その能力でジャンパーの復帰を目論みます・・・「あの風に向かって翔べ」他「この手で魔球を」「その流れの行方は」「どの道で迷っていようとも」と表題作。ミステリーやサスペンスというより、ヒューマンドラマって感じです。女子高校生円華と大人たちの対話が面白い。

2018年3月KADOKAWA刊

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東野圭吾著「素敵な日本人」

2018-08-21 | 東野圭吾

SFありファンタジーありの多彩な短編ミステリーが9つ。初詣に出かけた夫婦が元日事件に巻き込まれる・・・「正月の決意」、10年前に一方的に振られた女からの連絡・・・「10年目のバレンタイデー」、愛娘の結婚を控えて苦悩する父親が、雛人形を巡る、ささやかな謎へ挑むミステリー・・・「今夜は一人で雛祭り」、合コンで知り合ったキャバ嬢の・・・「君の瞳に乾杯」、近未来SF・・・「レンタルベビー」、闇のアルバイト・・・「壊れた時計」、少女と猫の時を経ても変わらぬ友情が幸福を呼ぶ、神社で出会う猫との物語、・・・「サファイアの奇跡」、ツリーに十字架ってタブー・・・「クリスマスミステリ」、夢を追う息子と反対する父の物語、親の子への情愛を描いたファンタジー・・・「水晶の数珠」。つい思い浮かべてしまう妄想の具現化だったり、似ている誰かだったり読み心地はさまざま、日常の倦怠をほぐします。意外性と機知に富み、四季折々の風物を織り込んだ、極上の短編集。たった一度の奇跡、私なら何に使うかなぁ~。短い話の中での意外な結末に驚かされます。さすがでした。20174月光文社刊

 

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東野圭吾著「危険なビーナス」

2018-07-16 | 東野圭吾

動物病院の雇われ院長代理手島伯朗の弟の明人が失踪した。彼の妻・楓は、明るくしたたかで魅力的な女性だった。楓は夫の失踪の原因を探るため、資産家である夫の家族に近付こうと義兄伯朗に協力を依頼してきた。楓に頼まれ協力するのだが、時が経てばたつほど彼女に惹かれていく。楓は美しく魅力的で頭が良いうえに思いがけない俊敏さと力持ちのビーナス。2人は遺産相続問題の謎を解きつつ、義理の親である脳科学研究者が、脳に電気刺激を与える医療の実験を人間で行うという違法な医療行為を行った結果、被験者が予想外の多様な発達障害のタイプのひとつサヴァン症候群を発症し、その結果偶然に、世界で初めて素数の規則性を人が描いたものとは思えぬ緻密で精密な絵を描いてしまった、というミステリーの謎にも挑む。

安ぽい2時間ドラマのような展開で後半の展開も何となく予想出来て残念。「何事にも手順が必要です・・・どんなことが起きても、決して後悔しないための手順です。・・・今、あたしにできることを精一杯やっています。もしかすると・・・繋がってないかもしれない。でも立ち止まっているより、ただ待っているより何かにぶつかっていく方が・・・。(P280」

20168月講談社刊

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東野圭吾著『ラプラスの魔女』

2018-01-18 | 東野圭吾

超能力を扱った空想科学小説。羽原円華という若い女性のボディーガードを依頼された元警官の武尾は、行動を共にするにつれ彼女には不思議な能力が備わっているのではと、疑いはじめる。同じ頃、遠く離れた2つの温泉地で硫化水素による死亡事故が起きていた。検証に赴いた地球化学の研究者・青江は、双方の現場で謎の娘・円華を目撃する。・・・仏国のピエール・シモン・ラプラスという数学者の仮設=ラプラスの悪魔「自然界を貫く法則を熟知し,自然の全構成要素について初期条件と束縛条件を認識すれば,自然界のあらゆる現象を計算・予測できる。未来の状態を完全に予知できる」連続して起きた2つの不審死。それぞれの事件現場が遠く離れているにもかかわらず、死因はどちらも同じ自然現象下での「硫化水素中毒死」そして、死亡した二人は知人同士であった。もし一連の事件が事故ではなく、他殺と仮定するならば、犯人は「完全無風状態になる一瞬」をあらかじめ知っていて、「その瞬間、致死量の硫化水素が発生する場所」へと「ピンポイントで被害者を誘導した」ことになる。“ラプラスの悪魔”でもない限りそんなことは絶対に不可能だ。青江は、自然科学的見地から事件性を否定。封鎖された事件現場の地形や地質、気象などを念入りに検証していくのだが。・・・展開は面白くてある程度予想がつきやすく引き込まれて読み進めたが空想科学小説はどうもご都合主義に見えてきて苦手だ。今年、三池監督・櫻井翔・広瀬すず等で映画化がされているとか出来が楽しみです。

「世界は一部の天才や狂った人間たちだけで動かされているわけじゃない。一見何の変哲もなく、価値もなさそうな人々こそが重要な構成要素だ。人間は原子だ。一つ一つは凡庸で、無自覚に生きているだけだとしても、集合体となった時、劇的な物理法則を実現していく。この世に存在意義のない個体などない。ただ一つとして」(P436)2015年5月角川書店刊

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東野圭吾著「祈りの幕が下りる時」

2017-03-18 | 東野圭吾

加賀恭一郎シリーズ10作目。今回はこれまで謎だった加賀の母親が蒸発した理由が明らかになります。仙台で小料理屋とスナックを営む宮本康代は、当時36歳だった田島百合子という女性を従業員として雇います。この人がのちに加賀の母親と解る過程が描かれます。

数年後、東京では、女性演出家浅居博美が日本橋の明治座で「異聞・曽根崎心中」という芝居の幕開けを迎えています。しかし彼女を訪ねた幼なじみが、数日後、遺体となって発見されて事件が動き出します。警視庁捜査一課に勤務している、加賀の従弟の松宮修平が捜査を開始します。数々の人生が絡み合い謎が謎を呼び、捜査は混迷を極めるが・・・「悲劇なんかじゃない これがわたしの人生。極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか」博美の辿った人生にも哀憐がありました。複雑なパズルを解く如く、人の人生に思いを馳せ楽しく読めました。 

2013年9月講談社刊

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東野圭吾著「ナミヤ雑貨店の奇蹟」

2015-06-11 | 東野圭吾
過去と未来が手紙でつながるナミヤ雑貨店という、どんな相談にも乗ってくれる雑貨店をめぐる物語。
空き巣どろぼうの悪事を働いた3人が逃げ込んだ古い廃屋。そこはかつて悩み相談を請け負っていた雑貨店だった。
廃業しているはずの店内に、突然シャッターの郵便口から悩み相談の手紙が落ちてきた。時空を超えて過去から投函された手紙。
偶然見つけた過去の週刊誌の記事で悩み相談の事を知った3人は戸惑いながらも当時の店主・浪矢雄治に代わって返事を書くことに
。次第に明らかになる雑貨店の秘密と、ある児童養護施設との関係。悩める人々を救ってきた雑貨店は、最後に再び奇蹟を起こす。
何人もの相談者達の人生と今は亡きかつての老店主、最初は面白半分で店主の代わりに相談へ返信していた3人。
読み進めるうちに、各々が微妙に繋がっておりそれらがパズルの断片のように嵌っていく。
児童養護施設・丸光園とナミヤ雑貨店が、見えない縁で結ばれていたとは・・・。
映画「イルマーレ」だったか未来と過去が時空を超えてポストで繋がっていたという話を思いだしたがこの物語は独自の視点で人の思いの繋がりを感じさせてくれた感動小説でした。
2012年3月角川書店刊
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東野圭吾著「マスカレードホテル」

2014-01-09 | 東野圭吾
マスカレードは英語で仮面舞踏会のこと。
東京都内で発生した連続予告殺人事件。3つの現場に残された不可解な暗号を解読し、高級ホテル「ホテルコルテシア東京」において次の殺人が起こると予想した警視庁の捜査本部は、捜査員を同ホテルに張り込ませるとともに、従業員として宿泊客の監視に当たらせることにする。捜査一課の刑事・新田浩介は、英語ができる帰国子女であることから、同ホテルのフロントスタッフに扮することになり、教育係となったホテル従業員の女性、山岸尚美とともに連続殺人事件の謎を探ることに。立場も職業倫理も異なることから、潜入捜査が始まった段階では衝突の多い2人だっつたが、共にホテルマンとして、時には捜査員としての目線を互いに共有しながら日常起こるホテル内での悲喜交々の出来事に対峙していくうち、二人の間には信頼と共闘意識が生まれてくる。・・・
「ホテルに来る人は、お客という仮面を被っている。ホテルマンはお客様の素顔を想像しつつもその仮面を尊重しなければなりません。・・・ある意味お客さんは、仮面舞踏会を楽しむためにホテルに来ておられるのだから」(P367)
リアル感があり久しぶりにワクワク面白く読めた。また登場するホテルマンの姿には感動した。同僚の刑事能勢が燻銀のようで良かった。

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東野圭吾著「真夏の方程式」

2013-11-21 | 東野圭吾
ガリレオシリーズ第6弾。この原作で2013年6月同名映画が公開された。
夏休みを玻璃ヶ浦にある伯母一家経営の旅館で過ごすことになった小学5年生の恭平。一方、手つかずの美しい海が残る玻璃ヶ浦。そこでは海底資源の開発計画を推進する企業側と、環境保護グループが意見を衝突させ、地元の住民も賛成派・反対派に分かれ、町全体がこの問題に大きく揺れ動いていた。開発計画の説明会にアドバイザーとして招聘された湯川は、川畑夫妻と、その一人娘・成実が細々と経営する旅館「緑岩荘」に滞在することになった。翌朝、もう1人の宿泊客が死体で見つる。その客は元刑事で、かつて玻璃ヶ浦に縁のある男を逮捕したことがあったという。美しい海を誇る町・玻璃(はり)ヶ浦で発見された男の変死体。当初単純な事故と思われたものが、やがて16年前のある事件との関係が浮かび上がってくる。「科学技術と環境保護」というテーマが物語に織り込まれていて、科学者の湯川が環境保護活動家との対立を通し、どのような考え方を持っているのかを描いているのが興味深い。
死んだものより生きている者の未来を重視?問題先送り、切ない幕切れで不満が残るが最後まで面白く読めた。「どんな問題も答えが必ずある・・・だけどそれをすぐ導き出せるとはかぎらない。人生においてもそうだ。・・・悩むことには価値がある。しかし焦る必要はない。答えを出すためには、自分自身の成長が求められている場合も少なくない。だから人間は学び、努力し、自分を磨かなきゃいけないいんだ」(P412)

2011年6月文藝春秋刊 /文春文庫
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東野圭吾著「ダイイング・アイ」

2013-03-13 | 東野圭吾
理不尽な交通事故で死んだはずの女が加害者に復讐するホラーサスペンス小説。
記憶を一部喪失したバーテンの雨村慎介は、自分が交通事故を起こした過去を知らされる。なぜ、そんな重要なことを忘れてしまったのだろうと、同棲相手の成美や警察担当者に事故の状況を聞き調べる慎介だが、以前の自分が何を考えて行動していたのか、思い出せない。
やがて、事故関係者が徐々に怪しい動きを見せ始める。
先が読めないストーリー展開とテンポのよさで最後まで読まされたが、死ぬ瞬間に激しい憎悪を加害者に向けて絶命する被害者の怨念を出だしに展開されるのだがリアル感に欠けて不明者も不明のまま完全決着でない結末で納得できなかった。
2007年11月  光文社文庫  光文社刊
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