読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

奥田英明著「リバー」

2024-06-06 | 奥田英朗
同一犯か? 模倣犯か?群馬県桐生市と栃木県足利市を流れる渡良瀬川の河川敷で相次いで女性の死体が発見される。十年前の未解決連続殺人事件と酷似した手口が、街全体を凍らせていく。かつて容疑をかけられた男、池田清。取り調べを担当した元刑事滝本誠司。娘を殺され、執念深く犯人捜しを続ける父親松岡芳邦。若手新聞記者千野今日子。一風変わった犯罪心理学者篠田。スナックのママ吉田明菜。そして新たな容疑者たち期間工の刈谷と引き籠りの平塚健太郎。十年分の苦悩と悔恨は、真実を暴き出せるのか?人間の業と情を抉る群像劇の犯罪小説。河川敷で起きた連続殺人事件に容疑者が3人に絞られます。それぞれに、暗い背景を持ちながら、なかなか決定打となるような証拠が出ない。警察の所管が分かれていると情報共有がされにくい点もある、被害者遺族にしても、犯人が逮捕されないことで悶々とするし、知られたくないことをマスコミに書かれて一方的に傷けられたりと、警察・マスコミ・被害者側遺族の心理描写が丁寧に書かれ展開される648ページ。そして第5の殺人が起きてしまう。犯人はミステリー小説A・クリスティーの「オリエント急行殺人事件」「そして誰もいなくなった」タイプか?予想を超えて読み応えのある長編ミステリーでした。
2022年9月集英社刊


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奥田英明著「コロナと潜水服」

2022-07-03 | 奥田英朗
5つのファンタジック短編集。5歳の息子には、新型コロナウイルスが感知できる? パパがとった究極の対応策とは・・・「表題作・コロナと潜水服」。家庭内に勃発したあることがきっかけで、主人公は葉山の古民家を借り、しばらく一人暮らしをすることに。ところが一人のはずなのに、家の中で子どもの足音が聞こえる。実はその家には・・・「海の家」。早期退職リストラ勧告に従わず、閑職に追いやられた男たちが、暇を持て余して始めた「部活」に「コーチ」が現れます。家族を養うため、会社の仕打ちに耐えてやりがいのない職場にしがみついていた男たちがどんどん強くなっていく・・・「ファィトクラブ」。プロ野球選手の恋人が、入団三年目にしてブレイクした。恋人の予想以上の活躍がうれしい反面、フリーアナウンサーの麻衣子は心配のほうが大きくなっている。彼の態度もそっけない。事務所の社長に紹介してもらった原宿の雑居ビル。道に迷ってたどり着いた先には同年代で鏡子と名乗る占い師が、ため口で語りかけてくるアドバイスとは・・・「占い師」。小さな会社を起こして、長年頑張ってきた直樹は、自分へのご褒美にセカンドカーを買うことにした。イタリアの自動車メーカー,フィアットの初代パンダ、しかも赤色を。フィアットの初代パンダは1980年代に世界で流行した人気モデルで、直樹は、若い頃に欲しくてたまらなかったのだ。ようやく新潟の中古車販売会社が所有していることがわかり、契約。わざわざ新潟まで取りに行き、ドライブしながら東京に帰ってくることにした。ところがカーナビが、当初の目的地とは全然違う場所に案内し・・・「パンダに乗って」。どの短編もホッコリ感があるがロードムービーなミステリーの「パンダに乗って」が面白かった。表題作はコロナ渦ならではの作品。
2020年12月光文社刊

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奥田英明著「罪の轍」

2021-03-20 | 奥田英朗
刑事たちの執念の捜査×容疑者の壮絶な孤独を描いた犯罪小説。東京オリンピックを翌年に控えた昭和38年。北海道の礼文島に暮らす漁師手伝いの青年宇野寛治は、窃盗事件の捜査から逃れるために島から逃亡する。彼はサロベツで無人の林野庁詰め所から作業服と腕章を盗み出した。その1カ月後。東京の南千住で殺人事件が起きる。捜査する刑事の耳に、怪しい男の情報が入ってきた。下町には似つかわしくない、林野庁の腕章をつけた男がうろついていたというのだ。捜査本部はその男を捜そうとするが、隣接する浅草署管内で小学生男児の誘拐事件が発生し、捜査員を割かれてしまう。一方警視庁捜査一課強行班係に所属する刑事・落合昌夫は、南千住で起きた強盗殺人事件の捜査中に、子供たちから「莫迦」と呼ばれていた北国訛りの青年の噂を聞きつけるのだが・・・。浅草の男児誘拐事件の発生は、日本中を恐怖と怒りの渦に叩き込んだ。ところがこのふたつの事件は無関係ではなさそうで・・・。礼文島の昆布漁、幼小期に継父から強いられた当たり屋、その結果としての脳機能障害とトラウマ、窃盗、幼児誘拐、山谷、暴力団など当時の世相がよく調べられていてある意味懐かしい。・・・前回の五輪前年と今回の五輪前年(震災復興、2020年のコロナ禍時代)を対比して考えてしまった。オリンピック開催に沸く世間に取り残された孤独な魂の彷徨を、緻密な心理描写と圧倒的なリアルで描いた物語をじっくり楽しめた傑作ミステリー小説でした。
2019年8月新潮社刊
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奥田英朗著「向田理髪店」

2018-04-20 | 奥田英朗

財政破綻した北海道の寂れてしまった元炭鉱の町・苫沢町。そこにある理髪店の店主が主人公。家業を継ぐと帰って来る息子の将来のこと。年老いた親のこと。通りにひと気はないけれど、中ではみんな、侃々諤々。心配性の理髪店の店主向田康彦の住む北の町で起こる出来事は、他人事ではありません。次々起こるから騒ぎ。

過疎の町は、一歩入れば案外にぎやかで可笑しくて身にしみて心がほぐれるドラマがいっぱい。都会と真逆の濃密な関係の中で生きる人間模様を描いていて温かみのあるとぼけた世界が心地好い。少子高齢化や地方の過疎化の問題、農家の嫁不足等2013年から3年間掛って書かれた連作集続編が期待できそうな出来で面白かった。

20164月光文社刊

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奥田英朗著「ナオミとカナコ」

2015-07-28 | 奥田英朗
「わたしたちは親友で、共犯者」ナオミとカナコの祈りにも似た決断に、やがて読でいて自分も二人の“共犯者”になったような・・・。
望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美。DV夫の酷い暴力に耐える専業主婦の加奈子。三十歳を目前にして、受け入れがたい現実に追いつめられた二人が下した究極の選択
「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」復讐か、サバイバルか、自己実現か。前代未聞の殺人劇。
前半はナオミの視点で後半殺人実行後はカナコの視点で語られるサスペンス。
殺人という排除の仕方意外に他に方法はなかったのだろうか。優秀な日本の警察を欺いて逃げおおせるのかモラルが邪魔して物語に入り込めず引っ掛かりを感じながら読み終えた。
後半の追いつめられるハラハラドキドキ感は流石。2人の心理描写はいいが偶然やご都合主義的展開が気になった。
最近のマスコミで報道される日常茶飯事におきる様々な殺人トラブルが多すぎてなんか2人が逃げおおせるかとも思えてくる。
2014年11月幻冬舎刊
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奥田英朗著「我が家の問題」

2013-04-23 | 奥田英朗
夫・妻・娘など其々の家庭の持つ悩みを綴った5つの短編集。
完璧すぎる妻のおかげで帰宅拒否症になった夫。・・・「甘い生活」
両親が離婚するらしいと気づいてしまった娘・・・「絵里のエイプリル」。
どうやら夫は仕事ができないらしい。・・・「ハズバンド」
里帰りのしきたりに戸惑う新婚夫婦。・・・「里帰り」
突然UFOを見たと言い出した・・・職場でこき使われるサラリーマンの悲哀「夫とUFO」
作家の妻が東京マラソンに・・・「妻とマラソン」
誰の家にも何かきっと問題はある、ささやかだけれど悩ましい日常のひとこまを切り取った、
暖かい眼差しで共感できる、6つのドラマ。
ユーモアもありましたがほろりと泣けるシーンも著者らしい作品でした。

 2011年7月集英社刊
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奥田英朗著「純平、考え直せ」

2012-05-27 | 奥田英朗
主人公の坂本純平、21歳。新宿・歌舞伎町のチンピラにして人気者。心酔する気風のいい兄貴分の北島の命令は何でも聞くし、しゃべり方の真似もする。女は苦手だが、困っている人はほうっておけない。
そんな純平が組長から受けた指令、それは鉄砲玉(暗殺)。決行までの三日間、純平は小遣いを貰い自由時間を与えられ、
羽を伸ばし、様々な人びとと出会う。
しかしその間、携帯サイトのネット掲示板ではなんと「純平」に関するスレッドが立ち、純平ネタで盛り上がる連中が
勝手に様々なことを書き込んでくるのだった・・・。
テンポのよい展開感情移入しやすいキャラの主人公、一見ハチャメチャな話しだけど「純平考え直せ!」と叫びたくなる。
結末にもうひとひねり有るべきと思うけれどこんな終り方も余韻が残っていいのかも。
途中出会うジイサンのセリフがいいのだが何故か残らない。
再読して確認
「殺し屋よりも、殺される人間のほうが価値が上」(P240)
「若者が死を恐れないのは、人生を知らないからである。知らないのは、ないのと同じだから惜しいとも思わない。・・・
ろくな経験がないから、今燃え尽きてもいいなどと平気で言う。・・・
おまけにやっかいなのは、渦中にいる者はその価値がわからないということだ。」(P241)「
「若いと大変だなあ。成功体験が乏しいから、待つことを知らない。今しか見えない。待った先に何があるかわからない。ああ青春は面倒だ。」(P242)

2011年1月光文社刊
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奥田 英朗著「無 理」

2010-01-15 | 奥田英朗
『最悪』『邪魔』に続く群像劇。
町村合併で出来た人口12万人の寂れた地方都市・ゆめの市。
古くからある商店街はさびれ、国道沿いの「ドリームタウン」が唯一の盛り場。
この地で鬱屈を抱えながら生きる5人の人間が陥った思いがけない事態を描いた群像劇。
この街で暮らす5人の市民の日常が交互に語られる。
相原友則=離婚で一人暮らし、社会福祉事務所で生活保護支給業務に就いている。
久保史恵=東京の大学で東京生活を夢見る女子高生。
加藤裕也=離婚経験者、元暴走族上がりで今は詐欺まがいの商品を売りつけるセールスマン。
堀部妙子=離婚経験者で子供達は独立、スーパーの保安員をくびになり、新興宗教に救いを求めているが・・・。
山本順一=県議会に打って出る腹積もりの市議会議員。
それぞれが鬱屈を抱えたまま日々を送り、やがて思いがけない事態に陥っていく。
『それぞれのエピソードを積み重ねれば、ゆめのという町全体のことが描けるのじゃないかと思って書いたわけです。』(著者談)
個々人には特異な体験だがありそうなリアル感がある元気のない地方都市が浮かび上がってきてバラバラであった5人が終盤に向って
一つの時間場所に揃った時面白い展開が待ち受ける。
2009年9月文藝春秋社刊
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奥田 英朗著「オリンピックの身代金 」

2009-06-20 | 奥田英朗
昭和39年夏。10月に開催されるオリンピックに向け、先進国に仲間入りすべく世界に恥じない大都市に変貌を遂げつつある首都・東京を舞台に当時の理不尽な格差社会に疑問を抱いた一人の若者が国に挑んだ反逆の狼煙を描いた高度成長期の昭和史ドラマ。
この戦後最大のイベントオリンピックの成功を望まない日本国民は誰一人としていないだろうというそんな気運が高まるなか、警察を狙った爆破事件が発生。
同時に「東京オリンピックを妨害する」という脅迫状が当局に届けられ、やがて警視総監宛てに爆破を止めてほしければ8000万円を払えとの脅迫状が届く。国民の動揺や海外向け対面を重んじてこれらの一連の出来事はマスコミに公表されることなく国民に知らされることがなかった。
公安警察や警視庁の刑事たちが極秘裏に事件を追うと、一人の東大生の存在が捜査線上に浮かぶ。
「昭和」が最もエネルギーに満ち熱った時代、オリンピック直前に沸く60年代の東京の街並みが緻密な時代考証と圧倒的スケールで描写される。
若きテロリストの行動とそれを国家の威信をかけて追う側の警察取り組みが日付のタイムラグを保ちながら交互に展開されるという両者の攻防が、終盤の開会式当日のクライマックスを迎えるに連れて徐々に狭まりついに合致、対峙する物語の構成がとてもスリリング。
「空中ブランコ」や「町長選挙」「ララピポ」「サウスバンド」の作風とは違うのでそれを期待するとガッカリするが著者の「最悪」や「邪魔」の部類に属する作品で、人物描写や細やかな心理描写・人間関係等リアルで緻密な時代背景が書き込まれたサスペンスです。
中国での北京オリンピックの開催前にも表に出ない隠された裏事情がたくさんあったのではないかとフッ~と思った。

2008年11月角川書店刊
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奥田英朗著「ガール」

2008-12-30 | 奥田英朗
若い後輩の肌つやに見とれるようになった30代独身OLの奮戦記表題作「ガール」
「職場でナメられてる、と感じた」共働きのキャリアウーマンの「ヒロくん」
マンションを買おうか迷う30代独身OLの「マンション」
バツ一独身小一の息子を一人で育てながら久しぶりに営業第一線に復帰した話「ワーキング・マザー」。
いつも親に結婚を急かせられるOLが新人教育係に・・担当のイケメン君にひとめぼれする「ひと回り」5つの短編集。
結構シビアな状況なのに悲観的にならず、最後にはみんな前向きに生きていく女たちへの応援歌。
男性著者が働く30代女性の心理や生態、女性の立場で職場の状況をみた様子が面白い。
篠田節子氏の小説を読んでいる錯覚に!
著者の職場の男性視点から職場の女性について書かれた「マドンナ」も併読すると尚面白い。
2006年 講談社刊
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奥田英朗著「イン・ザ・プール」

2008-11-12 | 奥田英朗
著者は、2004年に第2弾の『空中ブランコ』で第131回直木賞受賞
これは「伊良部シリーズ」の第1弾
イン・ザ・プール、勃ちっ放し、コンパニオン、フレンズ、いてもたっても以上
5編の短編が集録されている。
いずれも、伊良部総合病院の地下にある神経科の太った色白の医師
「伊良部一郎」と若い肉感的看護婦マユミが登場して患者の治療にあたるが・・・
ケータイ依存症の高校生、強迫神経症のフリーライター、心身症の女性モデル、
陰茎強直症の会社員等現代社会で精神を病んだ患者の物語。
しかし治療する医者のほうがもっと変。
こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。
ユーモア小説。
2002年 文藝春秋  文春文庫 刊
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奥田英明著「真夜中のマーチ 」

2008-10-27 | 奥田英朗
学生崩れのイベント会社の社長横山健司ことヨコケンと、大手商社
ダメ会社員三田総一郎ことミタゾウ、がひょんな事からヤクザの
國風会系古谷哲永ことフルテツから賭場の売上金をくすねることに・・・
やがて、ヤクザ、台湾マフィア、詐欺師、詐欺師
の娘クロチェや弟が絡み10億円強奪計画に・・・
最後に、お金を手に入れるのは誰だ。
どの登場人物にも感情移入しにくく、女性の描き方も不満。
面白い筋立てでは有るが都会の虚無、生活感の感じないドタバタ劇。

2003年 集英社 刊
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奥田英朗 著「邪魔」

2008-09-29 | 奥田英朗
著者は、S34年岐阜市生まれ。このミステリ-が凄い2002年第2位作品。
因みにこの年の1位は、宮部みゆきの映画化された「摸倣犯」。
小説は、読み始めの最初が引き込まれる感じでなくては読み始める時に苦労する
が、この本は不良少年の「オヤジ狩り」から入っていく・・・
しかし、けっしてそんなことで終わる小説ではない。
主人公は、7年前交通事故で妻子を亡くした警察管と、夫が放火犯と疑われている妻。
企業、警察の内部対立、ヤクザ、丸暴の刑事、不良高校生、ス-パ-で働くパ-ト
の人々、市民運動家等々、マルチに物語が展開していく。
ドンパチや、殺しのシ-ンはないけれど、市民生活に根ざした家庭人間関係、
普通の崩壊の様子がリアル。結末まで一気に読める面白さ。
2002年 講談社 刊
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奥田英朗著「 最悪」

2008-09-19 | 奥田英朗
「・・・より岐阜がええわ」と、登場人物に語らせる岐阜生まれの著者
「そもそもこの世に生を受けたときから、配られたカードがひどすぎたのだ。
・・・ 全取っ替えでもしなけりゃ、俺の人生は永遠に負け続けるのだ。」と、
人生を恨み悪に転がり落ちる和也。
毎日が単調な日々と職場の人間関係でうんざりの女子銀行員の「みどり」。
高校を中退して異母姉や口煩い家族から逃げ出した「のぞみ」。
親会社からの無理難題、家庭問題、隣のマンション住人からの騒音を巡る
トラブル、 無断欠勤の従業員、融資を受けるための慣れない銀行交渉
・・・町工場鉄工所の経営者「信次郎」。
それぞれ、バラバラに生き存在した人間がやがて一つの人生の交差点で出合って
意外な事件へと展開していく様子を精緻な人間描写と犯罪心理を持って
描かれた犯罪小説です。
親会社担当者、下請け中小零細企業、地域住民、銀行、ヤクザ、
外国人労働者それぞれがどれもリアルに丁寧に描かれて物語に引き込まれました。
「腹を括って死をも覚悟した人間は強い。」
2003年 講談社刊
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奥田英朗著「マドンナ」

2008-06-15 | 奥田英朗
2000年~2002年に書かれた短編集。
部下の女性に恋心を描く課長の顛末を描いた表題作、
休日に行なわれる会社行事を扱っかった「ダンス」
女性の上司に戸惑う部下の心情を扱った「ボス」他
「総務は女房」「パティオ」を収録。
いずれも責任だらけ世代の40歳台の企業戦士達の日常を描いたユーモア小説。
読みを終わった後自分ならどうするだろうと自問自答の作品ばかりです。
2002年 講談社刊 
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