さて前回につづき小林恭二さんと井川遥さんがパリの女子高のフランス文学クラスの女生徒25名と俳句をつくる・・・「地球俳句」のつづきです。前回は教室で開いた「句会」、今回はパリの街に出て俳句を詠む「吟行」の様子をご紹介します。番組では特に小林さんのコメントはありませんでしたが、私なりに読み解き、書きしるしました。
葉の扇 マザリンの小道で陽気な思い出
サンジェルマン地区のアパルトマン、画廊、レストランなどを見ながらわいわいと吟行、否、おしゃべり女生徒たち。写真(上左)中央の子が手にもっているのは人の胸の大きさほどもある大きな扇形の葉。なにもかもが思い出の1ページに・・・。
サンジェルマンからリュクサンブール歩行者は夢見る想いは飛び去る
なにもかも18才の女子高生とは思えないオトナの彼女たち。それでもパリの如何にもパリらしいこの街をリュクサンブール公園へと歩きながら、様々な想いと夢を胸に描いては消え、消え去ってはまた甦る想いと夢・・・やっぱり18才の少女たち。
夢見がちに街が姿を現す無数の神秘
パリの子といえども、そうそうセーヌをわたる船に乗る機会はないのでしょう。川にかかる幾つもの橋をくぐると、そのたびに眼前に「新しい街」が広がって見えるようです、まるで「神秘の街」を見るように・・・。まだまだ少女の彼女たちが愛おしい。
水切るカモメ香りに感じる涼しい風
この句を詠んだクレア(フランス語で書かれた俳句の最後に、詠み人の名が記してあります)は、しばしば家族といっしょにここへ来るそうで、「ここは海に近くていつも海の匂いがするので好き」と。小林さんが教えた「五感で詠む」句、見事な吸収力です。
鉄の貴婦人は空を抱く天国に軽く触れながら
「鉄の貴婦人」とはエッフェル塔を指します。塔が造られた当時、石造りの建築物が立ち並ぶパリに鉄骨剥き出しの塔は「異様で醜悪」と言われていたそうですが、いつの頃からか貴婦人に・・・。「空を抱く姿」はまさに貴婦人!ですねぇ。
風の波 水に差しこむ秋さわやか
風に波立つ水面にきらきら輝く光。そこに「秋らしさ」を発見したバレンティンの句です。平凡と言えば平凡な句かな(笑)。かなり深くて重厚な句が多い中で、如何にも「じょしこ~せ~」っぽい句を発見して、私、ちょっと安心しました。
詩人は夢の変革者 秋の朝 魂は飛び立つ
前記バレンティンの句とは好対称に、ぐっ!と大人びたマルゴの句です。「夢」は現実を超えがちですが、詩人はその夢を変革する!と・・・。「魂は飛び立つ」とは、あるいは天国に向かう光景なのでしょうか。句に、私の想像力が追いつきません。
建築の谷間に生き抜く自然 木々の枝
欧州の街は何処も緑の木々と色彩豊かな花々が建物に調和しています。東京はまだ!マシですが、大阪はまだ!まだ!ですね。ジュリエットは「生きぬく自然」と詠みましたが、やはりその地の人々が営々と育んだ自然であり、景観の一つだと思います。
詩人たちの広場で 鳩は飛び立つ 自由に
鳩は何処にあっても平和の象徴であり自由への体現と映るようです。中島みゆき「この空を飛べたら」を思います。「ああ人は昔々/鳥だったのかもしれないね/こんなにもこんなにも/空が恋しい」。この句を詠んだタチアナに聴かせたい。
知の階段に知識のかけらを風は播く
パンテオンの巨大な石柱の前で詠んだ句です。「知識のかけら」・・・まだまだ断片の知識を、ジュリアは「いつの日か学問の体系として究めたい」と思ったのでしょうか。こうした志で学問に取り組めば、やがて大きな花を咲かせることでしょう。
『詩人たちの広場で鳩は飛び立つ自由に』を詠んだタチアナに「この空を飛べたら」を!
小野リサさんの「この空を飛べたら」も
https://www.youtube.com/watch?v=3_zXCpXimEA
【過去ログ目次一覧】
かんわきゅうだい http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/a0b140d3616d89f2b5ea42346a7d80f0
腎がんのメモリー http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/bee90bf51656b2d38e95ee9c0a8dd9d2
ごあいさつ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/7de1dfba556d627571b3a76d739e5d8c
旅行記 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/23d5db550b4853853d7e1a59dbea4b8e
閑話休題 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/c859a3480d132510c809d930cb326dfb
吾輩も猫である~40 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/58089c94db4126a1a491cd041749d5d4
吾輩も猫である~80 http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/dce7073c79b759aa9bc0707e4cf68e12
吾輩も猫である81~ http://blog.goo.ne.jp/00003193/e/f9672339825ecefa5d005066d046646f
えぞをと俳句について話すとき
決まって六花の言った言葉
「俳句は芭蕉に始まって芭蕉に終わった」って。
何て憎たらしいこと言ったのだろう・・
えぞをは一言もなく そうだねと・・
フランス語で俳句とは・・
僭越を承知で言うなら どだい無理。
詩が似合うーー言葉だと。
六花はいつも俳句は自分には無理と
言っていた。
一つ選ぶなら
詩人は夢の変革者 秋の朝 魂は飛び立つ
それは 見上げる暁に 魂を奪われる
情景を旅の中で幾度も見たから。
孤独の極みに立った時。
魂が飛び立ったのは死ではない。
土曜俳句 ありがとうね。したっけネ~
貴重なコメントありがとうございました
> 二日分の更新読みました。
写真も文も私なりに大変な労作ですが(笑)予想通り?殆ど反応ナシです
これがブログ世界・・・或る意味 ブログの醍醐味(大ゴミ?)でしょうか
> えぞをと俳句について話すとき 決まって六花の言った言葉
> 「俳句は芭蕉に始まって芭蕉に終わった」って。
私は俳句にはまるで!と言っていいくらい造詣がありません
そんな私の正直な(いい加減な?)感想ですが、
芭蕉の句で お気に入りの句はありません。
『五月雨をあつめて早し最上川(芭蕉)』
『さみだれや大河を前に家二軒(蕪村)』
私は 断然!蕪村の句に惹かれます。
芭蕉の句は頭の中で創られた理屈っぽい句に思われ、
蕪村の句は 見たままの情景を「一幅の水墨画」のように描いたと・・・。
> 何て憎たらしいこと言ったのだろう・・・
> えぞをは一言もなく そうだねと・・・
私こそ 天下の芭蕉さんになんて憎たらしい感想を・・・
えぞをさん、さすが!でいらっしゃいますね(笑) かないません。
> フランス語で俳句とは・・・
> 僭越を承知で言うなら どだい無理。 詩が似合うーー言葉だと。
イタリア人、フランス人・・・ラテン系の人々は歌うことで愛を囁き愛を語ります
かくしてカンツォーネやシャンソンが生まれたのでしょう。
勿論、そこでは詩と歌が一体・・・なのだと思います。
そして俳句のような「短詩型」芸術は、
緊張感のある感性に訴えるにおいて寧ろフランス語にピッタリかもしれません。
> 六花はいつも俳句は自分には無理と 言っていた。
私 いつも思っていましたけど
そのことは えぞをさん唯一の「悲しみ」だったのではないでしょうか?
難解なえぞをさんの句を私が必死に(笑)読み解こうとしているのに
六花さんはいつも 傍らを澄ましてとおり過ぎていらっしゃった感じ・・・(笑)
一度 えぞをさんに「本音」をお訊きになってくださいね
> 一つ選ぶなら
> 詩人は夢の変革者 秋の朝 魂は飛び立つ
> 見上げる暁に 魂を奪われる情景を
> 旅の中で幾度も見たから。孤独の極みに立った時。
私も その句は選びますね
本文にも書きましたように 意外にその意味は掴みかねますが、
いろいろに想像力をめぐらす醍醐味がある句ですから。
> 魂が飛び立ったのは死ではない。
魂が肉体を飛び去る瞬間、肉体は数グラム減る・・・と言われています
魂もまた唯物論的な存在の証しだ、と仰る方も・・・。
はい。「死」ではなく ただ魂は肉体を「飛び去る(離れる)」だけなのだと・・・。
> 土曜俳句 ありがとうね。したっけネ~
反応がなかったらもうやめようかなぁと思っていましたから(笑)救われました
こちらこそ ありがとうございました。したっけネ~
セーヌ川の辺や空に向かう大聖堂だけじゃなくて、
街角や花の咲くアパルトマンの窓、カフェも歩く人々もすべてが…
つくづく一人で訪ねて良かったと思いました!
誰かと会話することも勿体ない…
一人、ただただパリを感じていました。
フランス語は分からないけれど、響きは凄く幸せにしてくれます!
ステキな男性にマドモワゼルなんて呼ばれて、
それだけで心ウキウキo(^o^)o
今、自分のブログでも紹介したモンマルトルで出会ったPresteej!
メジャーデビューを知って、アルバムをダウンロードして、朝起きた時から就寝まで、通勤も入浴も彼らのアルバムを聴いています。
歌詞にマドモワゼルやアンドゥトロアなんて聞こえて来るだけで蕩けそう!
Facebookではメンバーからダイレクトメッセージが来たり( ´艸`)
多分、漢字名の私が目立つから?
毎日が心はパリに飛んでます!
俳句はよく分からないので自分のことばかりで済みませんm(_ _)m
ヘッドホンして、頭振ってひとり幸せそうな人を見たら私です(≧∇≦*)
この話題に乗ってくださり(笑)ありがとうございます
> パリは街すべてが俳句になりますね!
> つくづく一人で訪ねて良かったと思いました!
> 一人、ただただパリを感じていました。
私は「旅はいつもツァー」派、まことに意気地なしにござります
なのに・・・「フリータイムが少ない」ツァーにいつもププンプン
Anneさんの一人旅記は、まみむMEMOの記録が傑出していますね。
それも 一人旅ゆえでしょうか・・・。
> フランス語は分からないけれど、響きは凄く幸せにしてくれます!
私の耳には「コマンタレブ(comment allez-vous?)」も
「コンバンヘコクトブッ」って聴こえるんです
ですから 「コンバンヘコクトブッ?」 「ケツクセ!」なんてことに・・・
> ステキな男性にマドモワゼルなんて呼ばれて、それだけで心ウキウキ
パリのオトコたちって Anneさんの心をマドワセール?
> 自分のブログでも紹介したモンマルトルで出会ったPresteej!
> 朝起きた時から就寝まで、通勤も入浴も彼らのアルバムを聴いています。
> 歌詞にマドモワゼルやアンドゥトロアなんて聞こえて来るだけで蕩けそう!
Presteejはん、あかんやん! Anneさんを蕩けさせてしもて・・・
https://www.youtube.com/watch?v=-fZ_4Miw1Eg
> Facebookではメンバーからダイレクトメッセージが来たり
> 毎日が心はパリに飛んでます!
あまり こころアチコチ飛ばれませんように!
圭佑くんもいてはりますからね
> 俳句はよく分からないので自分のことばかりで済みません。
「真なる民族性は真なる国際性に通ず」ですよ
俳句(短詩)など日本語的感性で大いに異文化交流なさってください
> ヘッドホンして、頭振ってひとり幸せそうな人を見たら私です(≧∇≦*)
そんな目で 街行く人を見ていたら、其処此処にAnneさんを発見しました
寂しさがとても伝わってきます。
ところで、「この空を飛べたら」が好きで、加藤登紀子のCDを買ったのが、20年以上前でしょうか。「ああ、人は、むかしむかし、鳥だったのかもしれないね」のところが好きで、ずっと聞いてたらたまたま遊びに来ていた義母(そのころは別居をしていました)に「エライモン買ったね」と言われ(大阪弁で大変な失敗をさす)しゅん太郎になってしまった事があります。
今、紹介してもらったyoutubeと一緒にオカリナで吹いてみました。懐かしいです。
演奏に向かって練習でオカリナを毎日吹いてますが、こうして気ままに吹くのもいいもんですね。
ところで6月18日2時から中央図書館で朗読会があります。来てくださると嬉しいです。少し私も出ます。
17日は服部図書館ですが、そちらは出ませんが、聴きに行きます。
こんなところで、宣伝してすみません。
コメントありがとうございました
> 「咳をしてもひとり」いいですね。
> 寂しさがとても伝わってきます。
自由律俳句にして究極の寂寥感・・・。
『てふてふが一匹韃靼海峡を渡っていった』(安西冬衛)と並び
短詩型文学の中でも特筆されますね。
> 「この空を飛べたら」が好きで、加藤登紀子のCDを買ったのが、20年以上前・・・
> 「ああ、人は、むかしむかし、鳥だったのかもしれないね」のところが好きで・・・
好きなところは・・・私もまったく同じです
えらいとこにはまっちゃいましたねぇ(笑)
> 紹介してもらったyoutubeと一緒にオカリナで吹いてみました。懐かしいです。
素敵な音を奏でるオカリナ・・・聴いてみたいです。
チェロの深い音、フルートの胸きゅん!の調べ・・・でも聴いてみたい曲です。
> 6月18日2時から中央図書館で朗読会があります。来てくださると嬉しいです。
その日は メイシアター「Great Jazz」とぴったり!重なります。
総勢47名のジャズメン(実は女性が6割)が大ホールに炸裂します
> 17日は服部図書館ですが、そちらは出ませんが、聴きに行きます。
そちらは特に予定がないので ウォーキング兼ねて出かけますか・・・
フランス語は分からないのですが、フランス語で俳句を聞いたらどんな感じかなと思いました。
ちょっと話がそれますが、高校の時習った漢文の詩。意味を読み解く学習だけで終わりました。
数年前にドラマで、中国の人が漢詩を朗々と吟じている場面に出くわしました。
それは朗々と伸びやかに美しく響きました。漢詩とはこういうものだったのかと、意味は分かりませんでしたが、衝撃を受けました。
「鉄の貴婦人は空を抱く天国に軽く触れながら」が好きです。天国に軽く触れられるといいなぁと思います。
去年逝ってしまった若い友人は短歌を作り、歌集を出しました。
「たれよりも近くてとほくなりし子のフルートを阿蘇の風が吹き過ぐ」
娘を喪って5年、今頃は天国で娘のフルートの耳を傾けているでしょうか。
コメントありがとうございました
> フランス語で俳句?と頭の中をクエスチョンマークでいっぱいにしながら・・・
音楽詩と言われるシャンソンもたくさん邦訳されていますし
ヴェルレーヌの詩の多くは、旧仮名遣い(文語調)で訳されています。
俳句における「形式=きまりごと」が言葉を凝縮、洗練させるように
奔放(豊穣?)な言葉を律して生まれるフランス語風の俳句世界、
なかなかに面白いと思いませんか?
> ドラマで、中国の人が漢詩を朗々と吟じている場面に出くわしました。
> 漢詩とはこういうものだったのかと・・・衝撃を受けました。
司馬遼太郎「坂の上の雲」を読むと、
明治の軍人達がしばしば心境を漢詩に託す場面があります。
漢詩の韻(リズム)が心の高揚感を表現するのに適しているのだと思います。
> 「鉄の貴婦人は空を抱く天国に軽く触れながら」が好きです。
> 天国に軽く触れられるといいなぁと思います。
フランスの高校生の「大人ぶり」に脱帽しますね
天国・・・私は幾度か「軽く触れ」ましたけど、いつも「まだ少し早い」と
> 去年逝ってしまった若い友人は短歌を作り、歌集を出しました。
> 「たれよりも近くてとほくなりし子のフルートを阿蘇の風が吹き過ぐ」
> 娘を喪って5年、今頃は天国で娘のフルートに耳を傾けているでしょうか。
大きくなるにつれ難しくなって行くお嬢さんの心は
寧ろ奏でられるフルートの音にこそ
心の故郷に吹きわたる風のように 愛しく優しく感じられたのでしょう。
遺された歌集・・・お嬢さんをしっかり支える重しであれと願います。
ものみな「わかりやすさ」に傾きがちな日々に
少し構えて・・・ 少し心をくだいて・・・ 少しチャレンジを試みて・・・
新しい発見をするのも いいなぁと 思います。
Sarah Brightman 「Stand Alone」
https://www.youtube.com/watch?v=yKZlngBgstQ
小さな光が歩んだ道を照らす 希望のつぼみが遠くを見つめていた
迷い悩むほど人は強さを掴むから 夢をみる 凛として旅立つ 一朶の雲を目指し
あなたと歩んだあの日の道を探す 一人の祈りが心を繋いでゆく
空に手を広げ降りそそぐ光あつめて 友にとどけと放てば
夢かなう 果てなき想いを明日の風に乗せて 私は・・・