書院の天井を杉の無垢の板で竿天井(稲子)
青森ヒバ(アオモリヒバ)
今も多くの林が残る国産材の青森ヒバには殺菌・防虫成分などの効能があります
木曽ヒノキ、秋田スギと並び日本三大美林のひとつである国産材・青森ヒバは、幕政の時代に厳しく統治・保護されたヒバ山にあったために、今もそのままの美しい姿を遺しています。
ヒバ林のほとんどは青森県内に生育し、下北半島、津軽半島の山間部では、濃い緑色のヒバ林を随所に見ることが出来ます。
ヒバは「明日はヒノキになろう」の意味で「アスナロ(翌檜)」の名でも親しまれる樹木です。その樹脂には、殺菌性の強い精油成分「ヒノキチオール」が含まれ、特有の匂いがあります。ヒノキチオールには殺菌成分の他に防虫効果もあり、シロアリ、ゴキブリ、ダニ、蚊などを寄せ付けない効果があるとされているほか、近年ではアトピー性皮膚炎の治療にも、青森ヒバの成分が役立てられています。
900年前に建立された中尊寺の金色堂がヒバづくりであることからも分かるように、耐久性、耐朽性にも優れた木材です。さらに水湿への耐性が優れており、カビの発生を抑制する作用もあることから、湯船をはじめ水廻りで使用されることが多い木材です。高温多湿な日本住宅の土台として適し、構造材や造作材としても利用されています。
弊社では柱・化粧材・造作材・板材(自然乾燥材を倉庫に保管)を使用します。
私の40年以上木材を扱う経験から
伝統的な木造建築が発達した日本では、昔ながらの天然乾燥がずっと行われていました。
天然乾燥とは、桟積し、風通しによって乾かしていくものです。
天然乾燥した木材は、人工乾燥と違って木が本来もつ粘りや香り、美しさや色艶を残しつつ、もっとも大切な油分を保つことが最大のメリットです。
高温で乾燥させると、木材が本来持っている脂分や防虫成分などもいっしょに揮発してしまうので、木材の美しい艶がなくなり、耐久性を損なうこともある。
天然乾燥のために木によっては、年単位の時間がかかるというデメリットがあるものの、木材を理想的な形で乾かすことができます。
また、天然乾燥の方が油分や木の香りが揮発しにくいですし、天然乾燥では、平衡含水率である15%程度の水分量に落ち着つきますが、現代の住宅は冬場のエアコンの使用により、さらに室内が乾燥するので、十分に乾燥させた材でも微妙に乾燥は進みます。
しかしその乾燥もわずかなものであり、1年程度で落ち着きます。
木の香り豊かな住まいを、天然乾燥で、木造住宅を作りたいです。
乾燥時の木材のヒビ
家を作るには大量の木材が必要となりますが、天然乾燥や中温乾燥は乾燥期間を長く過度な供給には追いつかなくなってしまいます。
特に天然乾燥の場合は資材として利用できるように乾燥をするには数ヶ月程度かかってしまうため、大量に供給することは不可能です。
そこで登場したのが高温乾燥です。120度程度で乾燥させるため乾燥期間は非常に短く、大量供給に向いています。
そこで登場したのが高温乾燥です。120度程度で乾燥させるため乾燥期間は非常に短く、大量供給に向いています。
現在ハウスメーカー などでは、特定の乾燥機械を通した部材しか使用しないというところも多くあるようですが、大量消費の時代に対応するには仕方のないことなのかもしれません。
天然乾燥の場合は、自然に乾燥していく過程でどうしても表面にヒビ割れなどが入るおそれがあります。
実は木を短期間で乾燥させる、つまり高温乾燥を行うと条件によっは「内部割れ」というものを起こします。
内部割れというのは木の中心付近で起こりますので、外側の見た目だけでは判断はできません。
ただ、内部割れが起こってしまうと、木自体の耐久性は著しく低下していくため、強度の問題が発生してしまいます、「耐久性」という点に関しては天然乾燥、に軍配があがります。
一方、天然乾燥は、表面にヒビが入る恐れがあります、しかし、乾 燥と同時に内部の強度は増していっており、長期間にわたって耐久性を保持できるのが特徴です。
人工乾燥には、「高温式」「高周波式」「低温除湿式」などの方法があります。高温式は庫内温度を100~130℃まで上昇させ、木材の細胞を破裂させて水分を抜く仕組みで、高周波式は電子レンジのような仕組みで乾燥させるそうです。
これらは天然乾燥や低温除湿式に比べると、高い乾燥効果が得られますが、内部割れや変色などのマイナス面もあり、人工乾燥の場合には木の樹液が抜けやすく、天然乾燥に比べてツヤや、木の香りも少なくなり、耐久性も多少落ちると思われます。
また、大きな材は人工乾燥では中まで乾燥は進まず、じっくりと時間をかけて天然乾燥をする必要があります。
天然乾燥
天然乾燥は、まず基本となるのが、「桟積み(さんづみ)」で、木材と桟を交互に積み上げます。
桟の種類は木材の大きさによって変えます。
風の通り道を邪魔しないように整然と積み上げていく事が重要です。
この桟積みは人工乾燥でも同様に重要な工程です。
桟の位置がずれると、風が通りにくいだけでなく、荷重により木材が曲ってしまったりします。
桟積みをした状態で、屋外で乾燥をさせていきます。
乾燥場所に向いているのは、風がよく通る場所です。
屋外での乾燥では、風の通りや日当たりが良いのですが、雨に濡れてしまいます。
木材を雨水に濡らす事は乾燥と反対のような気もするのですが、これまでの経験では、適度な湿気を加えながら乾燥させた方がよく乾くように感じます。
また杉の場合は、雨水に濡らした方が、赤味の色合いが綺麗に仕上がるように思います。
雨水には濡らさずに、風通しの良い屋内で乾燥させる方がよい、という考え方もあり、様々な自然乾燥方法があるようです。
天然乾燥は乾燥にかかる時間が長く、平均して半年から一年くらいが目安となります。
断面の大きな材は2年も3年も必要なものもあります。
逆に、木材は自然の素材なので個体差が大きく、1~3ヶ月で水分が抜けてしまうものもあります。