翌朝、7時。隣からの生活音はない。私も8時過ぎには家を出なくてはならない。どうしよう。声をかけるべきか。
もし、寝ていたら迷惑な事だろう。だが、そうではなく、大変なことが起きていたら、、、。
迷いに迷ってTさんの家のドアを開けた。昨日と同様、鍵はかかっていなかった。名前を呼ぶが返事はない。
悪いとは思ったが家にあがる。するとトイレに通じる廊下で左肩を下にして倒れておられた。
意識はあった。が、言葉がハッキリ私にはわからない。救急車を呼ぶため自宅に携帯を取りに帰り自分の家の鍵をかけ、Tさんの家に戻る。何かしきりに訴えられておられるが、、、なんだろう。ああ、保険証のことだろうか、保険証は何処。近くにバックがあった。これ持っていくのと聞くとうなずかれた。
でも、さらに何かを訴えておられるように見えるが、、、。
ああそうだ。鍵は何処。家に鍵をかけなければ、、、。返事がハッキリわからない。
そうこうしている内に救急車がきた。一緒に乗り込む。
救急車の中で救命士と共にバックを開けて保険証を探す。ない。だが2冊の通帳と5万円が出てきた。バックと中身は私が預かる。
到着した病院にTさんのカルテがあったらしく、Tさんのご主人のお孫さんに連絡がついたようでこられていた。
昼近くに、私とお孫さんとで医師の話を聞く。脳梗塞であり、片麻痺が出るかもしれないとのこと。その時、お孫さんから他人の前で個人情報をペラペラと話して欲しくないと発言があった。
えっ、今それを言う?医師は昨日から今朝の状況を発見者の私に聞きたかっただろうから、私は仕事を休んでここにいるのに、、、。「失礼しました。」とそこで席をはずす。
叶わぬことだが、私はTさんに聞きかった、「このバックをこのお孫さんに渡してもいいか」と。
イヤイヤ、血縁である親戚の方にこそ渡した方が良いと思いそのまま家に帰った。
そして、ここからが、一騒動なのだが、、、。
(長い話 その3に続く)