にゃんころりんのすっとんとん

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メアリと魔女の花

2018-09-03 11:26:59 | タマには映画



映画「メアリと魔女の花」予告編



メアリと魔女の花 公式サイト
金曜ロードショーで放送されたので、初めてみました。
スタジオジブリのオマージュがそこかしこに散りばめられていて、ジブリ好きにはそれを探すのが面白くて終わった感じ(笑)

監督さんは、スタジオジブリから独立した米林宏昌さんだもの。
ジブリの集大成みたいな、キャンディーズのラストシングル「微笑がえし」みたいな、そんな感じの作品なのであった。

ヒロインは、赤毛の女の子だけど、「トトロ」のめいちゃんがおっきくなったら、こんな髪型?
ヒロインが訪ねた家の大叔母さんとお手伝いさんの女性は、「魔女の宅急便」に出てくるあの二人だし、
ほうきと黒猫も、そのまんまだし、
「ラピュタ」の雲の中に天空の魔法大学、飛行石みたいな夜間飛行という青い花。
一瞬出てきた、「紅の豚」も私は見逃さなかった(笑)
「もののけ姫」のヤックルにも再会した。
色とりどりの花の咲くイングリッシュガーデンや、霧が立ち込めてくる森の描写なども素晴らしくて、ジブリそのもののホーッとするような映像の美しさに見惚れる。

監督と観客の「ジブリ愛」でつながったマニアな共有がそこにある。

 

ただ、どうしても宮崎駿の作品と比べてしまうと・・・って、そんな大御所と比べること自体、気の毒な話だと重々わかるんですけども。

宮崎作品の凄さって、トトロにしても、ナウシカにしても、千と千尋にしても、もののけ姫にしても、エンターテイメントの中に、メッセージ性や哲学が感じられ、いつまでも不思議に心に残る。見えない背骨みたいなの。
それがいまいち、感じられない。
ジブリ出身の監督だから、もう一つなにかある、というようなこちらが勝手な期待を持ってしまって、その部分で物足りなさが出てきてしまう。

 

しかし、だからといって、エンターテイメントに無理やり哲学だの精神性だの入れるのってどうなのよ、という意見もある。
娯楽としての映画なら、説教臭くなったら興ざめになるわけだから、諸刃の刃だ。
ハリウッドのおおかたの映画だって、勧善懲悪が第一で、「あー面白かった」で良しとするもののほうが多い。
(だからこそ、宮崎駿さんの凄さが並大抵ではないとわかるし、宮崎さん自身ですら過去の宮崎作品を超えるのが並大抵ではないこともわかる)

「魔法なんかいらない」と最後にメアリに言わせたのは、米林監督自身のなにかからの決別宣言だったのか。
ジブリにいたことはステータスにもなるけど、重圧もあるんだろうなと思う。

もともとアニメは子供のものだという前提なら、夏休みの最後に、お子さんたちと見るには最適なハラハラ・ドキドキの楽しい映画だったと思いました。


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2 コメント

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ジブリのアリエッティは (Cakeater)
2018-09-04 20:30:35
たしか宮崎が米林に初めて監督を任せた作品で、原作が The Burrows. (借りる一族) 目下アマゾンで注文中。米林って人は、「戦後民主主義」が破綻したあとの世代ですから「戦後民主主義の挫折」プロセスの中にはいなかった世代なんで、小市民主義みたいな雰囲気があって今ひとつと感じてます。理想はあった。信じた。でも、それは虚妄だったけど、「方向性」は間違っていなかったと信じてる世代と代わりの方向性を見出しえないから足元を見つめてから顔を上げる世代の違いを感じるんですね。
「なんか変わりつつある。いい方向へ変えられる」という幻想が日本の戦後民主主義の理想派の背骨なんだと思いますが、いい方向って何?変わるの?そんな不確かなものより目の前の心の誠実・真実を追いかけるべきなんじゃないのかという世代が確かに続いているのだと思いますね。理想なんて背骨はいらないという世代。で、ABみたいな想像力皆無の思考停止した過去をなぞるだけのアナクロニズムをもいいじゃないか、現実はそれで・・・・アニメで見るのは嫌だけど・・・という消極的共犯者になりかねない。
エンタテインメントですから、客に受けてなんぼ。年寄りは、目をそらさずに見続けていくだけ。
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Cakeaterさんへ (にゃんころりん)
2018-09-04 22:20:01
まさか、この記事にコメントいただけるとは。ありがとうございます。
「借りぐらしのアリエッティ」Cakeaterさんは、英語の原作読まれるのですね。さすが。
うんと若い頃、日本語の「床下の小人たち」を読んだ記憶はあるのですが、映画のような話だったのか、ぜんぜん覚えてなくて。
あれも、「アリエッティ」も絵はきれいで、かわいかったけど・・もう一つなにか足りない、っていう同じ感想でした。

>理想はあった。信じた。でも、それは虚妄だったけど、「方向性」は間違っていなかったと信じてる世代と代わりの方向性を見出しえないから足元を見つめてから顔を上げる世代の違いを感じるんですね。

うわぁ!!!腑に落ちたー。なるほどー。
全部腑に落ちた。
そこだったんだ、物足りなさって。
なんか、社会全体、とみに閉塞感もあってうんざりすることも多くて、それでも未来を信じられた世代と、気づいたら最初からそんなものなかったから、理想なんかより今の暮らしを守ることが大事、みたいな世代なんでしょうかね。
宮崎さんも歯がゆいだろうなと思います。
ナウシカみたいな「ガツン」とくるような作品を作る人、出てきてほしいです。
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