庭の金木犀が今年は少し遅くなって咲いている。
もくせい
もくせいのにおいが
庭いっぱい。
表の風が、
御門のとこで、
はいろか、やめよか、
相談してた。
日ごとに秋も深まり
ひィらいた
つゥぼんだ、
お寺の池で
れんげの花が。
ひィらいた
つゥぼんだ、
お寺の庭で
手つないだ子ども。
ひィらいた
つゥぼんだ、
お寺のそとで
お家が、町が。
桜が散ると畑一面のれんげ。
最近失われつつある風景である。
ここでも、みすヾの詩は実写的ではない。
家や町さえ開いたり閉じたりすると感じている。
美しい自然に囲まれながらも、
みすヾの心眼は何を捉えていたのだろう?
自分にとって明るく開かれたり、
あるいは暗く閉じたりする世界(人間社会)
私たちの刻々変化する心象風景を、
さらりとだが見事に描き出している。