天空海闊

みすゞ 2篇

くれがた

にいさん
口ぶえ
ふきだした。

わたしは
たもとを
かんでいた。

にいさん
口ぶえ
すぐやめた。

おもてに
こっそり
夜がきた。




人の営みの真の意味は
常に内側にある。

その言動一つ一つ、
懐かしくも秘められたもの

それも忘却の彼方へ
飛んで行く。

こっそりと忍び寄る
時節の移ろいこそ、

私たちの真の姿を
永遠に写す。

彼岸花の色も褪せ
いよいよ
物寂しい季節となった。




 秋

電灯(でんき)がてんでに
ひかってて、
てんでにかげを
こさえてて、
町はきれいな
縞(しま)になる。

縞の明るい所には、
ゆかたの人が
三五人。
縞の小暗い所には、
秋がこっそり
かくれてる。
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