小さな街では
雪が少し続くと
人通りも少なく
店は早仕舞である
わたしも日が暮れる前に
帰路に付く
夕食のとき妻が
子供の心配事を話す
風を引いていないか
しっかり食べているか
雪道でころんだりしないか
一つだいじょうぶと言えば
次の問題を・・
単なる心配性ではない
幼いときの小さなことまで
昨日のように覚えている
その延長にある心配事・・
可愛くて仕方ないのだ
私はそのようなとき
妻の記憶力や母性の深さが
少し羨ましくなる
忙しすぎるとお互いに
心配ごとさえ出ないことがある
「忙しいほうが余分なこと考えないからいいよ」
誰かが言っていたが
わたしには負け惜しみに聞こえる
夕餉のひととき
その余分なことを
心配できる時間と記憶に
幸せが宿る
外はまだ小雪が舞っていたが
いつのまにか
みぞれになった