天空海闊

ヘッセ『デーミアン』より

僕はおもてへ出ると、家並みと町を離れ、
山の方へ向かって走った。
霧雨が横殴りに吹きつけ、雲は重いものに
おさえつけられたように、低いところを
おびえたように走りすぎて行った。

・・・そのとき、空を横ぎって、ふんわりした
黄色い雲が一つ流れてきた。
それが灰色の雲の壁にせきとめられると、
ほんの何秒かのうちに、風がその黄色と
青から一つの形をつくりだした。
一羽の巨大な鳥の形であった。
鳥は青い乱雲から身をもぎはなすと、
大きく羽ばたきながら、
空のなかへ消えていった。

それから嵐の音が聞こえはじめ・・

・・・数時間後、びしょぬれになり、
風に吹きさらされてもどってみると、
デーミアンが自分でドアをあけてくれた。





*雲は芸術品で嵐の時でさえ独特の
 美を見せてくれる。
  
 反して、人がもたらす風雲の
 醜いこと。
 
 新たな誕生と飛翔を
 『平穏』は既に迎えようとしている。
 
 大嵐の準備を・・・

 
 

コメント一覧

辻風
伸びやかな、弾力のある心
が若さを保つ秘訣だと
聞いたことがあります。
私もそうありたいと
願います。
今回も匿名で・・
辻風さん、こんにちは。ここを訪れては
>新たな誕生と飛翔・・
への予感と期待に支えられました。
私自身も、鳥のように伸びやかに空を羽ばたく広い懐を持ちたいものです。小心者の願望ですが^_^;
辻風
私も日々、風雲にさらされていますが・・
生きている間に自分の中に『変わらないもの』
を見出すことができたことを
親に深く感謝しています。
それは赤子を無条件に愛するかの様な
大きな懐かしい存在に個人的に気づいた
ことに寄ります。
goya
現代人が不安なのは、
現代人が一度だって自分自身に忠実であろうとしなかったことから来ている・・・と、
でもどのようにして、
自分自身に忠実に生きられるのでしょうか。
私自身は、どうしようもない日々の中にあって、
辻風さんがおっしゃる「人がもたらす風雲の醜いこと」の中で、
右往左往して、多分生きているのだろうなと・・・。
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