Tさんに会うのは十数年ぶりである
本来なら悠々自適の年金生活であるが
病気もあり清貧に甘んじているのか
とにかく歌がすきで
ギターと歌でわたしを歓迎
懐メロ
ポップス
フォーク
ベンチャーズ と
一緒に唄い
一息して
わるい癖が出た
『先のこと不安にならない?』
その人の本音を探り出したいのだ
「考えてもどうしょうもない」
『女性との出会いは無かった?』
「同棲はあれから3回したよ」
「・・・女はどうでもいい」
何があったのか聞きたい衝動を
辛うじて押さえた
わたしは彼をあることで傷つけていたのだが
それにはまったくふれてこない
境遇の違いや生き方の違い
見栄や虚構などは
どうでもよい
歌とギターさえあれば
あの青春がよみがえる
野暮な言葉や詮索は不要なのだ