土産品の海苔を食べ
石のようなものを噛み
歯が欠けた
尖ったところに
舌があたり傷むので
仕事場の近くの歯科を
検索
アットホームな雰囲気で評判とあった
歯科に予約して行く
えっ?と思うぐらい小さく
駐車場もよく分からない
予約時間より30分早く着いたが
「お待ちしていました」と若い受付嬢
患者は私だけであった
また え?となったが
感じよく対応したその受付兼助手さんが
歯のダメージが大きいので
X線撮影や金属の付け替えやら
なにやら色々必要だといわれたが
自宅と距離があるので返事を渋り
「尖ったところを削るだけではダメですか」
といったところ とつぜん
「倒します」
ゴリゴリの中年歯科医が現れ
欠けた付近をゴリゴリ削る
削りカスが頬の内側にあたり
痛い
「どうですか?」
まだ少し尖っていたが
「あ よくなりました」
「本当は治療が必要ですか?」
と聞くも
無言である
赤ら顔のマスクから
髭が数本伸びている
「舌が痛み食事ができなくて」
「お世話になりました」
支払い中も返事はなく
あの若い受付嬢は
すでに消えていた
ふたたびはわたらない橋のながいながい風
山頭火