孫と遊ぶのが
これほど楽しみになるとは
夢にも想わなかった。
責任が軽くなったからなのか?
良くわからない。
ボールと滑り台で遊んでいる最中、
わたしを見ながら思い出したように
「ジイジ、すっぱいイチゴ食べにいこう」
それは梅雨ごろ散歩している時、
近所の坂の頂上辺りで野イチゴを
見つけたのである。
わたしが小さな粒を摘んで手のひらに乗せると
それを小さな指でつまむと
ぎごちなく口にふくむとにっこり。
次は自分で摘むと
わたしが止めるまで、次々と口に運んだ。
さしずめ 秘密の花園ならぬ果樹園である。
「ねぇ いこうよ」
「あれはね、もうなくなった。今度は来年」
すると、さびしそうな顔をする。
「そーら、ボール投げるよ、上手に蹴られるかな?」
気を取り直して再び大遊び。
このジイジの顔で
野イチゴを思い出すなんて
そうあることじゃあない、
と一人悦に入る。
困ったもんだ。