若くして耳が聞こえにくくなった市内に住む従姉妹がいる。母はその姪の事をいつも気にかけていて、今度耳の神様のところに行く時にはその従姉妹を連れていがなきゃという。
週末、皆んなの予定が合ったので私と夫と母とその従姉妹で田舎に行くことになった。事前に母が従姉妹を呼んで力石のお山に神様がいらっしゃるお話をしていた。夢で道づくりを手伝いに来ていたという亡くなった母の姉はその従姉妹のお母さんにあたる。
耳の神様のところに到着して、お詣りに行こうとしていた丁度その時、恵比寿様の山の麓に住む身体の不自由な従兄弟が車でやって来た。前回、母と山をよじ登ろうとしていた時も今回も、耳の神様への道案内に一分もくるわずやって来る2人の従兄弟は神様のお遣いになっていると母と笑って話した。
その従兄弟が私達をみつけて車を停めてくれた。今から耳の神様にお詣りに行くと話したら、願をかけるなら穴があいた石を持っていくと良いと教えてくれ、探してこんといかんという。そんなこと言っても石に穴があいたのなんてあるかなと思って近くを探したけどなかなかない。仕方ないから今度海にでも行って探そうと穴のあいた石は諦めて、竹藪を抜けて耳の神様をお祀りしているところに行った。
前に母と行った時は哀しそうに泣いているようにみえた石のお堂だったけど、今日は光を取り戻したかのように少しだけ輝いてみえた。