見出し画像

お山にお宮がたちました

人生山あり谷あり 10.治っても治らなくても

心ある医師に巡り会えて、私は治っても、治らなくても、悪化しても、この先生に感謝しようと心から思いました。

今はその病院で脳外科部長をされ、学会でもこの病気の発表をしたりと活躍されているようです。
私がその後治って、社会復帰をし、独立し頑張って自営業を営んでいる事をとても喜んでくれています。

この病気は治っていく過程も大変でした。
退院しても、高知へ帰る力が無くて、3ヶ月姉の家でお世話になる事になりました。
落ちてしまった体力もさる事ながら、身体に起こる症状も凄まじかったです。

干上がって傷だらけになった脳は髄液が少しずつ満たされ始めたのか、まさに傷口に塩を塗られるように痛く、余りの痛さに自然と涙がこぼれます。

因幡の白兎が皮を剥がされ、意地悪をされ塩水を塗られた感じを想像しました。

頭は痛くて熱を持ち熱くて沸騰しているのに、足は氷のように冷たくて、全身が痛く毛布すら身体に当たるのが怖かったのです。

今となっては、どんなに痛かったのか、痛みそのものはすっかり忘れてしまったけど、あの時の感情は思い出すことができます。

余りの苦しみに、私は悪化の10%に入ってしまったのかも知れないと思ったりもしました。

姉も私をみているのが辛くて、泣いてたみたいですね。SOSを高知から呼び、次々と高知から家族がやって来ました。
私は横になって2週間は動けませんでした。

やって来た母は、泣いてる私に、笑えと言います。
笑えるか!と思ったのですが、もの凄く可笑しな出来事があったと話して大笑いするのです。
その話のアホさ加減に、笑えるか!と思ってた私もあまりに可笑しくて笑ってしまいました。

暫くの安静期間を経て、リハビリと言って家の周りを散歩に連れてってくれたのですが、少し歩いたらもう無理と言って座り込む私に、80歳のお婆さんより弱ったねと母は言いました。
あの頃は、どうしようもなく狭まってしまった行動する力に、私自身辛過ぎて、全身で哀しみを抱えていた気がします。

そして、
何にも出来んなってもかまん。
ご飯食べて息して笑いよってくれたらそれでえいき。。。
と母は言いました。

夫は深々と姉に頭を下げて帰ったと言います。
あの時は、自分の無力さに打ちひしがれたと話してくれました。
娘の参観日に私の代理で行った母は、娘の担任の先生の前で、私の話をして泣いていたと後に先生から聞きました。

両親が氏神様に、お百度参りではなく百日詣りをしてくれたのもその頃です。

家族はそれぞれ、家族らしい愛で、私を心底心配し、応援してくれたんだと思います。


続く


コメント一覧

スーさん

こんにちは。
お優しいコメントありがとうございます。
飛行機に乗るのは気圧の関係できつかったけど、行くしかなかったから気合い入れて乗りましたよ。。。笑

台風なんかは発生前から身体が反応して、それはそれはきつかったです。梅雨時期もつらくてね、特に雨が降る前。降ってしまうと少し大丈夫になるのですが、気圧の谷ができる時、体調は地に落ちていました。

人の身体は気圧に、もの凄く影響を受けていて、今じゃ晴れも雨も何にも感知しないけど、あの頃は天気にとても敏感でした。

あの時の苦しみは人の苦しみを理解するための試練だったのかもしれません。。。
私は幸運にも治ったけど、この病気は、手遅れになればなるほど、治るのがなかなか難しくて、そういう方の事を思うと、元気になりましたなんて書く事にも戸惑いがあります。

こんな事があるよって、頭の片隅に知っておいて頂ければ、誰かが助かるかもしれないと思って記憶を辿って書いてます。

お兄さんも、幼少期からの難病がおありとの事、わかるまで家族皆様、大変お辛かったと思います。
心あるお医者様に巡り会えて良かったですね。
病と共にではありますが、ゆっくりゆっくり歩んでいってくださいね。

いつも有難うございます。
スー
こんにちは。
お姉さんのブログで、過去に和さんに大変なことがあったのを存じ上げていましたが、
ご本人のお話で、想像を超えた苦しさ、辛さを乗り越えられたのが分かりました。
ただ涙、涙です。
そのような病気なのに、気圧で脳に負担がかかる飛行機に乗っただなんて、信じられません。
我が家も兄が幼少期より、難病を抱えており、
病名が分かるまで、分かってからも大変でしたが、和さんと同じように良きドクターと巡りあえて、今は病気と共存しながら、社会生活を送っています。
和さん、苦痛から解放され、元気になられて本当に良かった(T_T)
うまく文章にできませんが、安堵の気持ちを送ります。
びこさん

おはようございます。
本当によく治ったと思います。
家族には、本当に心配をかけました。
私しか高知にいないのに、私が一番心配をかけてしまいました。
この病、完治は難しいのですが、有難いご縁が繋がって、よい治療を辿れたから、完治して元気になれたと思います。

いつも応援有難うございます。
この事を記事にすることに、少し葛藤があったのですが、書きはじめたからには最後まで書いてみようと思います。
元気になっていく過程なので、ゆる〜く読んで、お付き合い頂ければ嬉しいです。

コメント有難うございました。
びこ
いいご家族をお持ちですね。それにしても、よく治られました。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

※ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「脳脊髄液減少症」カテゴリーもっと見る