雄一郎の半生
裏で2番目の女房のN子は
何をしているかが分らないままに、
自分は母のホテル業を手伝って
いたが景気にも段々と陰りが
見え始まってくると、以前よりは
客も減ってきた。自分たちと
お手伝いの人たちを雇っている
のもきつくなっていた様子が
見えてきた。そこで、
以前から興味のあった興信所に
電話帳の広告をみて連絡を
してみた。何軒かは断られたが
そのうちの1件が、会ってみたいと
言ってきた。そこで、日時を聞き
代表者と会ってみたのだが。
面接の当日は、意外にも会社の
前のホテルのロビーでの待ち合せ
だったが、これが時間を過ぎても
代表は来ない。会社に電話を
入れる、何と忘れていたらしい事が
後日分るのだが、何とも代表は
考えていた人とは、感じが全く
違っていた。何か頼りない感じ
なのであった。面接後は直ぐに
採用となり、翌日から事務所に
行くことになる。
すると、事務所には二人の
おばさんが、忙しそうに電話の
応対をしていた。挨拶をしても
一般の会社の事務員とは大差
がある。シカトとしているのだ。
そのうちに代表が入ってきて
「k君(自分の名前)明日は、
一人である人の尾行をして
もらうので資料を受け取ったら、
帰って良いよ。」と言うのである。
出社したばかりで、午前中なのに
帰れという。指示に従い
帰ってから、調査資料を見ると
その対象者は明日、早朝
ホテルから、車で一緒に来ている
参拝者と、神社に行くという内容
の素行調査だった。車がホテル
にあるのかの確認をしてからの
調査だったために、現場には
早めに行かないとならなかった。
早く帰させたのが、納得できたが
早朝と言っても、何時に出かける
のかは、分っていない。
この事を考えていると前夜は
眠れなかったので、深夜に車の
確認へ行くことにした。
この日はとても寒く、車の暖房を
最高にしても、足下がひんやりする
ほど冷えていたが、現場に着くと
車があった。近くで待機しょうと、
車を止めたが、エンジンを止めると
寒くて居られない。かと言って、
エンジかけたままにすると
怪しまれる。考えた末に対象者の
車の見える範囲に車を止めて
エンジンをかけて、待機すること
にした。午前3時頃に現場に着いて
からは、テレビや小説などの物語
とは全く違い、現場はかなり厳しい。
流石に、交代要員もいないため
しびれを切らしていた。
4時間後の7時頃に対象者は車に
乗ってみんなと一緒に出かけた。
尾行がはじまる。暫く間をおいて
つけていたが、時々怪しまれない
ように追い越して、対象車が
乗っているのかも確認する。
暫くして、神社に着き他の参拝者
と一緒に参拝が始まった。
歩いて、他の参拝者に混ざり
尾行した。対象者に女性の影は
無く。何ら問題はなさそうであった。
その後は、みんなと別れて自宅に
向かうようなので、代表に連絡し
交代要員と交代した。
この後も、調査員として様々な
依頼に対処していくことになる
のだが。
次回につづく。