金色の 稲穂の波も わびしけれ 移ろふ背なに 秋風ぞ吹く <殿>
楊貴妃の 恋の香りか 金木犀 <殿>
ざわめきは 月夜烏の ラプソディ <殿> Rhapsody of the moonlit crow.
江ノ電は 秋夜の海を 目指し過ぐ <殿>
アドリブを 紡ぐピアノに 秋日和 <殿>
パオといふ 蒙古にねむる *良夜かな <殿>
鳥となり 信濃見えるか 秋の飛騨 <殿>
霧といふ 昭和の玻璃に 秋日影 <殿>
まんまるの 果ての果てまで 秋夕焼 <殿>
小春日は 君まっすぐに 背伸びする <殿>
終電車 まぎれ乗りこむ 虫の声 <殿>
秋されて さるぼぼ眠る 飛騨の宿 <殿>
歌舞伎町 聖女になれぬ 秋夕焼 <殿>
山小屋に 迫る静けさ 秋の闇 <殿>
突然の 別離告げられ 秋驟雨 <殿>
澄みはじめ 冷涼翔ける 秋の空 <殿>
英文詩 まるめる舌に 秋夜過ぐ <殿>
侘び住まい 秋影の妙 興と成す <殿>