ホイッスルバード あいざわぶん

小旅島旅独り旅 伊吹島編(その3)

島に旅して水を気にするようになったのは、
30年ほど前に鹿児島県の屋久島に行って
からである。

屋久島の水は、かつて私が味わった各地
の水とは違って格段に美味しかったのだ。
屋久島は大きな島で、標高の高い山もあり、
雨量も多いから、水が豊富なのは当然では
あるけれど、驚くほど味が違ったのだ。

小さな島にも旅するようになって、(あれっ、
水はどうなってんの)と初めて気にするよう
になったのである。
水がふんだんにあって当たり前の生活だと、
気付くのも遅いんだな。

伊吹島は海岸の殆どが崖で、多くの民家は
高台の上に建っている。
比較的小さな島なので、昔の人は飲料水を
どうしていたのか、とても気になる島である。

すると、島の中央で井戸の跡地を見つけた。
フェンスで囲われた中が井戸だったようだ。
フェンスの隣に碑も建っている。
やはり、水で大変苦労した島なのである。

井戸には名があって「平井の泉」。
ヒライではなく、ヒラヤと読むのだそうな。
江戸時代に井戸職人を呼び寄せて掘らせた
露天堀りの井戸である。
島の資料館で昭和28年以前の井戸の写真
も観られたので、それも紹介したい。







井戸に頼らなくなったのは、船で水を運ぶよう
になってからである。
その後、水道パイプを海底に引き、船で運ぶ
必要もなくなったのである。
日本は「水の国」なのに、水で苦労した歴史を
長く持つ人たちも大勢居たのである。
連絡船待合室のトイレで立ちながら、惜しげも
なく流れる水を見ても、なんとなく自分ちの水
とは価値が違うような気がしたりして・・・。

今回は島独特の方言のことも書こうと予定して
いたが、長くなりそうなので、ここでお仕舞い。
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