福島原発が事故を起こした二か月後(五月)の或る日、
中学時代の後輩から電話が来た。
「根曲がり竹を沢山採ったから食べに来て」とのこと。
根曲がり竹とは高地の竹藪の中に生えている細い筍の
ことで、絶大な人気がある旬の食べ物である。
で、私は、「はっ?・・・何処で採ってきたの?」と訊いた。
「吾妻山、あっはっは」
「なるほど・・・放射能筍だな。今から行くよ」と返事した。
吾妻山は福島県と山形県の界にある2.000mの山。
だから山形県は、吾妻山のお陰で放射能汚染から守ら
れたと考えて間違いがない。
なので、普通の感覚の人なら、吾妻山系では筍や茸は
採らない。
しかし、吾が後輩は採ってきた。
で、あまりに大量に採れたのでやっと気付いたのだろう。
・・・ 大丈夫かな、放射能 ・・・
遠出して、せっかく一杯採れた根曲がり竹を捨てるのも
もったいないし、そうだ!あいざわ先輩にも食べさせて
様子を観よう、と考えたに違いない。
20分もせぬうちに後輩宅に着くと、既に筍を焼いている
ところだった。
そこで、やっと、「大丈夫だよね?」と私に訊いてきたので、
「大丈夫じゃなくても食う。子無し54歳に怖いもんなんて
ある筈がないだろ」と笑った。
彼は再婚していて、まだ15歳の娘が居たのだが、生命
保険に入っているのを訊いたから、「最初は毛が抜ける
程度で、死ぬのは5年以上もあとのことだろう」と言って
「娘には食わせない方がいいんじゃない」と付け加えた。
中国では、「塩が無くなる」と誰かが言いふらしたせいか、
店先から塩が消えた。
吾が国でも、理屈を考えずに動く人が大勢居るけれど、
(どこも同じなんだなぁ)と笑えてくる。
私のように無謀なこと(危ない筍食)をしてはいけないが、
塩を買い漁るなんて「莫迦の骨頂」の典型である。
だから酒や煙草は無くならないんだ。
だから犯罪は無くならないのだ。
だから人種差別は無くならないのだ。
だから戦争は無くならないのだ。
科学・医学は成長したが、実は人間は成長をしていない。
人間に期待するのは基本的に絶望的であることを理解
するのに役に立つ「塩漁り」である。
その上で、それぞれが判断するのが良かろうな。
ちなみに、かつて香港で出された料理を私は気持ちが
悪いと思いつつ食べたのだった。
(日本よりも不衛生だろう)と想像しつつ食べたからだ。
それに比べりゃ、明日獲れる福島の魚の方が安心(笑)。
第一、60歳過ぎたらつべこべ言わず何でも食えって!
【競馬報告】
札幌で勝負馬が出走するので楽しみにしていた。
この日が来るまでジッと我慢していたのだ。
取って置いた軍資金は3万3千円。
ナムラクレアの複勝馬券3万円と単勝馬券3千円。
結果は①着。
複勝配当金は1.3倍で39.000円。
単勝配当金は2.4倍で7.200円。
合計46.200円になり、16.200円分が増えた。
次の勝負も頑張るどぉぉぉ!