となりにいるのに 逢いたくて
酔っているのに もう一杯
満腹なのに おかわりねだり
愛されてるのに 不貞腐れ
たいそうな でっかい紙
硯に墨 擦りつけ
神妙な面持ち 覚悟を決めて
一筆 入魂！！！
“ にんげんだもの ”
開き直って 大見えきって
下手な字 騙して売りつける
“ しょうばいだもの ”
いやだ いやだ もう いやだ
雨が降ってる ぴちぴち ちゃぷちゃぷ
水が 空から 落ちてくる
大気の汚れ 抱き込んで
汚水になって 酸性雨
頭皮濡らして 毛根いじめる
手荷物 傘が わずらわしい
肩が濡れるの 気持ちわるい
靴下 ぐっしょり 乾くと 臭い
跳ねた泥水 裾 汚す
カメハメハに憧れて 拗ねて 捩れて
天気予報 睨んでる
下の町の おっさんは
その名も ただの営業マン
貧乏自慢の おっさんで
酒をのんでは 彼の唄
酔いがまわって 涙する
ハメハメハ ハメハメハ
ハメハメハメハメ はぁ
風が吹いたら 遅刻して
雨が降ったら おやすみで
こそを口実 首になる
ハメハメハ ハメハメハ
ハメハメハメハメ はぁ
はい
出勤っ
俯いて 傘さして 真下ながめて
ぽく ぽく 歩く 雨の中
水たまり 跨いで 蹴躓き
ため息 落として
カギ 拾う
真っ赤なポスト そのうえに
そっと 置いて おきますよ
落とし物
花金 そして 給料日
ほんの ちょとだけ
うれしい
