まだ自分が生まれる前の時代背景だけど、白人社会の人種差別がこれほどまでに酷かったのかと改めて愕然とした。
物語は美しい貴婦人ローラが幼い娘のスージーと海辺に来ていて、娘を見失い探しているシーンから始まる。
スージーは黒人女性アニーに保護され、アニーの娘サラジェーンと意気投合し母とはぐれた事も忘れたかのように仲良く遊ぶ。
そこに写真家のスティーブが登場し、その後の物語への関わりを予感させる。
サラジェーンは、アニーと白人男性との間に生まれた娘で、一見白人にしか見えない容姿がかえって生きづらさに発展する。
ローラも未亡人であり、アニーも家を持たず仕事を探していた。シングルマザーの2人
は娘達同様意気投合し、アニーはローラの家で住み込みの家政婦となる。
アニーが来てからローラの生活は潤いを増し、女優としての仕事への運も開け始めた。幼いスージーの面倒はアニーが手厚くサポートし、家の事も完璧にしてくれたからローラは仕事に没頭する事が出来た。
そして、2人の娘が成長した頃、ローラは有名な女優となり、アニーの娘サラジェーンは黒人の血を引いている事を隠し、母にも反抗する。
そんな娘の背徳行為に怒りではなく、慈愛に満ちた悲しげな眼差しを向けるアニー。
嘘をついたり酷い言葉でなじり、家出をしてダンサーとして成功を目指す。
随分身勝手な娘に映るけど、サラジェーンが悪いんじゃないんだよね。差別する社会が悪いのだと胸が痛む。
ローラは写真家スティーブと両思いで、10年越しに結婚を決意するが、なんと皮肉な事に娘のスージーもスティーブに恋をしていた。
スージーの痛みも察せず能天気にプロポーズを告白するローラにアニーが真実を語る。忙しいローラに代わって、アニーは母役も請け負ってくれていた。
アニーは次第にやつれて、自分の死を悟り
サラジェーンの舞台楽屋に別れを告げに行く。
これが本作の一番泣ける場面でしたね。
自分の葬式代を貯めていたアニー。通っていた教会に友達が沢山いるから知らせてほしいと話すアニー。
アニーはその数日後、親友のローラに看取られながら天に召される。
出棺の時にはサラジェーンが駆けつけて泣きじゃくりながら詫びるのですが、できれば危篤の時に会ってほしかった。
「悲しみは空の彼方に」
アニーへの追悼がタイトルで、主役はアニーなんだと感じました。