物語が進むに連れ、登場人物達の悲しい過去の傷口がばっくり開いて、血の涙が湧き出すような映画です。
話題作で順調に動員数を伸ばしています。ロングラン間違いなしなので、あえて、ネタバレは控えます。
松坂桃李演じる史と広瀬すず演じる更紗。二人の出会いは15年前。引きこもりだった史と従兄弟の家で性DVを受けていた更紗は、惹かれ合うように自然な成り行きで雨の中、史のアパートへ。そこでの暮らしは互いを癒やし合う純粋なものだったが、世間的には少女誘拐とみなされ、史は逮捕される。15年が過ぎ、更紗には横浜流星演じる亮、史には多部未華子演じる谷という恋人がいた。
コーヒー専門喫茶を営み静かに暮らしていた史の店に偶然更紗が客として訪れ、止まっていた二人の時計が動き出す。
過去に社会を騒がせたような監禁事件とは違い、傷を抱える青年と少女の、運命に翻弄された出会いと別れ、そして再会の物語だけど、物語でなければ受付られない内容だと思う。
流浪の月。タイトルがきれいです。そして物悲しい。太陽の光から遠ざかり、生きる二人にふさわしいのが雲に隠れ、そして時折顔を出す月なのでしょう。
時間的には少し長い印象かな。横浜流星も単なるDV男ではなく、幼少期からの孤独を抱えている、崩れ方が痛々しい。
全体的には優れていますが、少し距離を置くと、やっぱフィクションだなあとしみじみ。
少し冷めてしまう感ありですが、マイノリティな世界を優しい視点で描いている秀作でした。
写真はスーパーで買ったお弁当。盛り付けきれい、コスパ良く、お味も確かでした。