これ、実話だけにすごく心打たれます。
時は1962年頃のアメリカ。この時代の人種差別って、結構グロくて陰湿なのですね。
黒人は白人の経営するレストランやホテルには泊まれない。黒人用のホテルガイド本がこの映画タイトルの「グリーンブック」だったとは。
物語の主人公は二人。天才ピアニストのドクター・シャーリーと妻子持ちの無骨なイタリア人、トニー。
トニーの働くクラブが改装のため2か月閉店となり、その間の仕事として、シャーリーの運転手&用心棒として雇われる事になる。
シャーリーはアメリカ南部の州を巡るコンサートツアーを2か月企画。クリスマスまでには戻るという約束で引き受ける事にしたが、最初は噛み合わないこの二人.孤独なオーラを纏い常に冷静沈着なシャーリーと、脳天気で礼儀知らずなトニーは旅先で口喧嘩を繰り返しながらもあらゆるトラブルに巻き込まれ、それが次第に友情を深めてゆく。
なんというか、人の心の描き方が素敵。育った国も環境も生き方も違う二人の男が互いに理解し合う工程が無理なくて、切なくてそして温かい。
トニーの破天荒さが憎めない。夜間に黒人は外出禁止とパトカーに止められ、シャーリーの事ばかりでなく、母国イタリアの事もけなされついつい殴ってしまい留置。
そりゃ腹立つよね。
道中二人でケンタッキーを食べ合い、その骨を窓からボイしろと見本を示すトニー。常にスーツを纏い、今まで食べた事のないケンタの美味さに表情を崩さずも感動するシャーリーがかわいい!
「勇気が人の心を変える」
素晴らしい名言。偏見を少しでも覆すためツアーに出たシャーリーの決意。これこそが作品のテーマなのでしょう。