文豪井上靖の自叙伝の映画化。故樹木希林が母役、役所広司が主人公。
キムラ緑子、南果穂が妹、三人の娘役には、長女ミムラ【なんと懐かしい】次女菊池亜希子、三女に宮崎あおいが出ています。
豪華だね!
主人公は幼い頃に一人預けられ甘えたい時期に養育されて来なかったという寂しさを抱えて大人になる。母との溝はなかなか埋まらず他人行儀。
そんな母が年老いたと同時に認知症。昭和40年代の設定のため、まだ介護保険も当然なし。たぶん呆け老人と揶揄され家族の負担が大きかった頃。
恍惚化していく母に苛立ちを覚えながらも見捨てられず、葛藤する様がいじらしい。
年をとっても親子は親子。自然足らないものを埋めようとしてしまうんだろうな。
風景の描き方がとても美しい。そして何気ない会話や表情から見とれる心の動き、なんて自然に描かれているのか。
樹木希林の演技が絶賛された作品で、アカデミー賞にもノミネート。
観賞後、美味しい湧水をいただいた気持ちになりました。
追記
この作品、担当患者さんの親子関係を見るようで切なかった。患者さんの息子さんも幼い頃預けられ、その時代の空白を埋められず、関係が途絶えたまま。近くて遠いのが親子なんでしょうか。