ネタバレになりますが、旅の途中で息子は既に亡くなっている事を知り頓挫となる。その後、ゲイパートナーだった男性のもとを訪ね真実を知る。
実話だけにリアリティのある話の流れと、主演のジュディ・デンチの悲しみや狼狽、困惑の表情がとても素晴らしかった。
10代の予期せぬ妊娠はほとんど祝ってもら
えないもの。特にカトリックの教えからは罪人扱いとなり、強制的に修道院に送られ、そこで出産。その後修行のように毎日働かされ、幸せといえば、合間に子どもと触れ合うことのみ。ほとんど刑務所と変わらない処遇。過酷だなあ。
ある日、何の前触れもなく里子に出される息子。必死で追いかけるも、固く閉ざされた門から出れず泣き崩れるヒロインを遠目に冷酷な眼差しで見ているシスター。胸が痛くなるシーンだ。
余命いくばくもない息子が修道院を訪ねて来た事も隠蔽していた。もちろん息子にも母であるヒロインが探していた事を伝えていない。
アメリカの資産家へ養子の斡旋をする事でキックバックがあり、それを覆うためにボヤを出して記録を消滅させていた恐ろしい事実。
それを知り怒りまくるジャーナリストと憎しみを胸に押し殺すヒロインの対照的な姿。私ならば絶対許せない。善意の仮面を被りながら、私服を肥やしていた修道院に憎しみを感じてしまうけど。
長い修道院での禁欲的な生活で、自分の本音やどろどろした気持ちを抑えてしまったのか。
意見の相違から、一時気まずい関係になりつつ、結局真実を世の中に伝えたいとジャーナリストに伝える。そしてそれが本となり、映画化された。
息子はエイズに罹患し、自ら生まれた修道院の墓に入りたいと希望し埋葬。生きているうちに会わせてあげたかったよね。
「事実は小説より奇なり」この映画からまさにそんな印象を受けました。