雑学的好奇心に満ちたツーリングレポート

好奇心から調べたネタや、ルートやスポット・ランチを紹介します。
関わっているクラブの告知やツーレポも投稿します。

春爛漫、富士と桜のツーリング

2022-04-15 23:47:15 | ツーリング

4月10日に所属しているツーリング・クラブ「HARD&GENTLE」の4月定例ツーリングに行ってきました。
春を通り越して初夏の陽気となったこの日、どこまでも澄みきった青空のもと、真っ白に雪化粧をした富士山の静岡県側をめぐりながら、随所で桜の名所に立ち寄り、春爛漫を十分に堪能した贅沢なツーリングとなりました。

東名高速下り鮎沢PAに8時集合、左ルートからしかアクセスできませんが、参加17台が無事集合(初参加1台)。
本線に合流するとすぐに真っ白な富士山が見え隠れ。



朝のうちは冷え込みましたが、足柄スマートICで東名を降りて最初の立ち寄り場所である「富士霊園」に着く頃には、雲ひとつ無い春の日差しが順調に気温を上げていき、暖かくなってきました。

富士山に抱かれた230万m2の聖地公園である「富士霊園」ですが、園内の桜は「日本さくら名所100選」に選ばれてるほどの桜の名所で、参道にはソメイヨシノ、山桜など約8000本の桜が植えられています。満開のこの日には、多くの花見客で賑わっていました。
霊園参道は奥へ行く程標高があるので、長い間素晴らしい桜の花のトンネルを楽しむことができるそうです。

富士霊園を後にすると、次は須走の東口本宮冨士浅間神社(須走浅間神社)へ。
富士五湖や甲府以西の山梨や長野ツーリングの際には必ずその前を通過する神社ですが、立ち寄ったのは初めて。


富士山須走口登山道の起点に位置するこの神社からは富士山東口(須走口)本宮として、古来より崇敬を集めているそうです。
この場所からは、向かって左側に宝永火口が存在を主張する富士山で、一週間前の降雪で麓まで真っ白な雪の覆われていました。

この日は、このあたりから間近に富士山を仰ぎ見て走る富士山ツーリングとなりました。
須走を出発すると、ちょうど一年前の4月10日に開通した国道138号(須走道路・御殿場バイパス(西区間))を水土野ICを降りて富士山スカイラインへ。
このバイパスの開通により、富士山を自動車専用道路だけで一周できるようになりました。

走って行くと、富士山が正面に右に左に見え隠れしながら、次第に大きく迫ってきます。
途中正面に大きく富士山が見える開けた道路にバイクを駐めて撮影タイム。
この日メンバー全員がいったい何枚の富士山の写真を撮ったことでしょう。

さて再出発すると、次の休憩場所の水ヶ塚駐車場へ向かいました。
二合目に相当するこの場所は標高が1450m、マイカー規制があるため、新五合目から富士登山を目指す登山客が車を駐車する登山基地となっています。
駐車場には2016年7月にOPENした観光複合施設「森の駅富士山」もあり、宝永火口が大きな口を開けて正面に見える抜群のロケーションを楽しむことができます。

休憩後は次第に富士山を背にしつつ富士山スカイラインを富士宮へ。
この日2ヶ所目の浅間神社「富士山本宮浅間大社」へ着きました。
日本全国には約1300社もの浅間神社があるそうですが、ここはその総本社です。
ご祭神は、美の象徴として知られる木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)で、安産や縁結びなどにご利益があり、女性のパワースポットめぐりにぴったりな場所と言われています。
ここの桜は満開を過ぎ散り始めていましたが、風に舞う花びらが美しく、富士山の豊かな湧水に降り注いで花筏となって流れていきました。

お昼は、道の駅富士川楽座・東名富士川SAで一旦解散し、各自で昼食となりました。
本当は富士宮やきそばなど地元のB級グルメを味わいたいところですが、コロナ禍で密を避けるためにサービスエリア・パーキングエリアや道の駅など複数の食事場所がある場所で、各自昼食を食べて再集合する方式を取っています。
この時間には暑いくらいに気温が上がったので、「ピリ辛のシラスと桜えびの冷やしラーメン」を頂きました。

ちなみに富士宮では「むめさん」という富士宮やきそば・お好み焼きを食べさせてくれるお店で何回か食事をしていますが、家庭的な雰囲気で好きなお店です。
店名はこの店のおばあさんの名前だそうです。
https://www.mume-san.com/

 

昼食後、本隊は富士川スマートICから東名高速に入りましたが、初参加のメンバーさんのバイクにETCが搭載されていないため、自分を含めて3台は別行動で富士IC経由で東名高速へ。
午後は東名~伊豆縦貫道~国道1号で箱根越えし、アネスト岩田ターンパイクで神奈川に戻ることになっていたので、ターンパイク箱根小田原本線入り口の大観山駐車場で合流しました。

箱根外輪山の南東に位置する大観山。
北側の展望台からは、外輪山の山々、カルデラ内の芦ノ湖や後期中央火口丘の駒ヶ岳、二子山、前期中央火口丘の屏風山や浅間山が一望のもとに見渡せるだけでなく、天気の良い日は背後に富士山、遠く南アルプスの山々まで見通すことが出来ます。南側の展望台からは、伊豆の天城山、大室山、伊豆七島の大島、神津島などが見えます。

明治時代に活躍した著名な日本画家である横山大観。
富士山を好んで描いたと言われる横山大観にちなんで、「大観山」と名付けられました 。
大観が描いた場所が現在の大観山(タイカンザン)となったそうです。

さて、ここで再集合したクラブのメンバーは今日最後のハイライト、ターンパイクの桜井のトンネルへ向かいました。
ターンパイク箱根の沿線にはソメイヨシノ、ヤマザクラ、マメザクラ(箱根桜)など約1,000本の桜が植樹されており、箱根小田原本線の2km地点から7km地点に「桜のトンネル」を駆け抜けることができます。
桜のトンネルのある「御所の入駐車場」にバイクを駐め、この日最後の立ち寄りスポットで桜を満喫しました。

富士山と桜、日本らしい風景の最強コラボでした。


山梨県旧秋山村を駆け抜ける県道35号線と雛鶴姫伝承

2021-03-10 20:03:16 | ツーリング

日本で最も水不足が起こりにくいとされる神奈川県最大の貯水量を誇る宮ヶ瀬ダム。
そのダムによって蓄えられた宮ヶ瀬湖を一望できる県立自然公園の景勝地「鳥居原園地」は、湖畔エリアとの連絡路となっている「虹の大橋」などが一望でき、岬の展望台などからは宮ヶ瀬湖周辺で一番美しい景観が楽しめます。

隣接する農林産物直売所「鳥居原ふれあいの館(いえ)」では、四季折々の産地直送野菜などを販売されていて、多くの観光客で賑わいます。
9時になると屋根の上の鐘が鳴り、開店を周囲に知らせます。

その鳥井原園地には、土日祝日の午前中にもなるとツーリングの待ち合わせや休憩場所として、おびただしい数のバイクが集結します。

集まったバイクの行き先は、通称「道志みち」と言われる国道413号。山梨県富士吉田市から神奈川県相模原市緑区に至る一般国道で、多くのバイクは信号少なく適度なアップダウンとコーナーが続くこの道を走って、道の駅「どうし」や山中湖などの富士五湖方面を目指します。

鳥井原園地から県道64号を北上すると道志みちに合流できますが、今回のブログで紹介する旧秋山村を走る県道35号へは道志みちを横切るように進みます。


やがて牧馬峠(まきめとうげ、標高410m)に差し掛かります。
峠の両端には、幅員2m制限のゲートがあって、大型車の通行が禁止されている狭隘な道ですが、峠の周辺には、環境省のレッドリストで絶滅危惧種Ⅱ類に指定されているギフチョウが生息しているそうで、東京都心から50km圏内では貴重な生息域であるため保護活動が行われています。

峠にはギフチョウの生息地であることを示す説明板も。

牧馬峠を下り、信号のないT字路を左折すると「山のはちみつ」という名のはちみつの直売所があり、サイクリストやライダーが自転車やバイクを駐めています。
お目当ては、最近密かな評判になっている「はちみつたいやき」。
皆美味しそうに、たいやきを頬張っています。



牧野(まぎの)の集落を抜けると、山梨県道・神奈川県道35号四日市場上野原線の上野原市秋山(旧秋山村)に入ります。
県境の境橋には、旧秋山村にはたくさんの民話が伝承されていたことを説明する案内板が設置されています。

この県道35号は中央道・国道20号と国道413号(道志みち)の間の農村地域を快走できるツーリングルートとして、所属するHARD&GENTLEツーリングクラブのメンバーには道志みちに劣らない人気があり、甲信方面へのツーリングの帰り道に中央道・国道20号の渋滞を避けたり、あるいは渋滞していなくても好んで帰路に使うルートでもあります。

道沿いには目立った観光スポット的なものは無く、途中に都留市と旧秋山村を結ぶ新雛鶴(ひなづる)隧道があります(旧トンネルは車両通行不可)。
※下の写真は上野原市・都留市境の新雛鶴隧道

トンネルの両側には、それぞれ同じ名前の雛鶴神社があります。

また、トンネルを下るとリニアモーターカー実験線の車両基地(下の写真)があり、試験走行日には空気を切り裂いて疾走するリニアモータカーを見ることもできます。

ちなみに、県道35号を抜けた先の都留市内にはリニアモーターカーの見学施設(山梨県立リニア見学センター、どきどきリニア館)があり、試験走行が行われている日には時速500km/hで疾走するリニアモーターカーを目の前で見ることができます(リニア走行試験の運転予定は、通常毎週金曜日夕方に翌週土曜日までの予定が発表となります)。
試験走行予定はこちらです↓
https://www.linear-museum.pref.yamanashi.jp/calendar/2021/04/


こちらの話題は、また別のブログで触れたいと思います。

さて、いつも気持ちよく走り抜けてしまう旧秋山村ですが、奥多摩をソロツーリングで走った帰りに時間があったので、旧村内に点在する18あるという集落の一つ、富岡集落を走ってみたことがあります。

道教観音像があるT字路を曲がり、秋山大橋で秋山川を渡ると「秋山温泉」などの施設がある富岡地区に入ります。

集落の東側を大回りして走っていくと、安寺沢(あてらざわ)川に沿って山を登っていく安寺沢林道に出ます。
林道は道幅1.5車線程度、所々で舗装が切れてダートもあり深い山奥まで続いていますが、かなり登っていっても民家が点在しているのには少し驚きました。

沢に沿って登っていく道なので、眺望はきかず単調な風景が続きますが、それでもピークが近づく頃には富士山が見えたり麓が見下ろせるようになってきました。

林道の最高点は「厳道峠」(がんどうとうげ・標高786m)で旧秋山村と道志村の境になっていました。
この峠は元々同じ読みで「強盗峠」と呼ばれていたらしいのですが、強盗では聞こえが悪いと近年、改称されたようです。
山奥の人里離れた峠ですから、中世には旅人や流通する物資を狙った強盗や追いはぎの類がいたのでしょうか。
写真の狭い切り通しの部分が厳道峠です。

旧秋山村は桂川や険しい山に囲まれた陸の孤島のような地区だったそうで、厳道峠のような山道は旧秋山村と近隣の村とを結ぶ貴重な物流ルートでした。
また、モノだけではなく婚姻などの行き来もあったようです。

厳道峠から先には分岐があり、そのまま進むと、下るのをちょっと躊躇してしまうようなするような急な下り坂で2本の道があり、どちらも落石が多かったりダートもあったりしますが、1kmあまり坂を下りきると国道413号(道志みち)に出ました。

※2021.4.8現在、近年の風水害の影響で「安寺沢林道」や接続する「原野林道」などは路肩崩壊や落石で通行できません。

ちょっとした冒険心を満足させることができた旧秋山村ですが、民話や伝承の宝庫であったり、国の重要無形文化財に指定されている踊り念仏を主体とした伝統行事である「無生野の大念仏」など、好奇心をそそる話題が幾つかあり調べてみました。

此処から先は「信忠と松姫」に続く、ツーリングブログ的ヒストリア第2弾です。

護良親王と雛鶴姫のお話
鎌倉時代末期、後醍醐天皇の皇子で大塔宮・護良親王(おうとうのみや・もりながしんおう)という人がいました。
皇族でありながら幼少より英明で勇猛、武芸に秀でて豪胆、知略の優れた人物で、鎌倉幕府倒幕に活躍したそうです。
倒幕が成り、後醍醐天皇による「建武の新政」が始まると征夷大将軍に任ぜられました。
鎌倉幕府時代、源氏の嫡流が三代将軍実朝公で途絶えると、実権を握った北条氏は京から形だけの宮将軍を迎えて政治を行っていましたが、武士以外で征夷大将軍の座を実力で勝ち取った唯一の人物ではないかと思います。

しかし倒幕後の主導権争いで、室町幕府を興した足利尊氏との政争に破れ、父後醍醐天皇とも対立した護良親王は失脚し、讒言によって捉えられて尊氏の弟・直義の監視下で鎌倉・東光寺の土牢に幽閉されてしまいます。

やがて北条の残党が「中先代の乱」を起こし、関東各地で足利軍が北条軍に敗れると、護良親王を北条の残党に奉じられることを恐れた直義により、親王暗殺の命を受けた淵辺義博という武士に殺害されてしまいました。

『太平記』によると、淵辺は土牢の中で護良親王を組み伏せ、太刀で喉元を刺そうとしました。
親王は首をちぢめて剣先を咥え歯で噛み折りました。
そうして必死に抵抗した親王ですが、8ヶ月に渡った幽閉生活で弱っていた体では、やがて力尽き討ち取られてしまいます。享年は数えで28歳でした。

格闘の末にようやく御首を取った淵辺が御首を持ち外に出て月あかりで見ると、両眼を見開き歯には刀の先をくわえたままの凄惨な形相でした。
本来は御首を直義の届けて報告をしなければならなかったところ、淵辺はあまりの恐ろしい形相に恐れをなし、御首を竹藪に投げ捨ててしまったのだそうです。

淵辺が竹やぶに投げ捨てた御首を探し出したのは雛鶴姫という女性でした。
雛鶴姫の素性については諸説がありますが、確かであったのは護良親王の寵姫であったことと、親王が殺害された時に、姫は親王の子を宿していた事でした。

親王の御首を抱いた姫は、深い悲しみに打ちのめされますが、足利の支配する関東から脱出し、京の都かあるいは自分の生まれ故郷である関西方面に御首を運んで葬ることを決意します。
現在の横浜市戸塚区にあった四つ杭の井戸で御首を清め、東海道を西に向かおうとしました。

しかし、足利方の兵で溢れる東海道で京に向かうことは難しく、相模川に沿って北上し甲斐から都へ向かおうとしましたが、途中、身重の体で御首を運ぶ姫は病気になり、津久井の青山の寺で養生しました。

回復した姫たち一行は青野原から険しい牧馬峠を越え牧野を通って12月も押し詰まった頃、秋山村に着きました。
ここで姫が産気づいてしまい、供のものが近くの農家に助けを求めましたが、秋山村は足利家の勢力が及ぶ地、後難を恐れる村人たちには、姫たち一行を助けることができませんでした。
やむを得ず供の者たちは秋山嶺の頂に登り、松の枝を折ってしとねをつくり産所として、姫は皇子を産みました。
しかし、季節は冬で山間の風も冷たい。
寒さと疲労の為に、供の懸命な看病も空しく、姫も皇子も亡くなってしまいました。
姫は22歳の若さでした。
姫が臨終の際に悲しみのあまり、「ああ無情...」と嘆いたことから、この地が無情の野と呼ばれるようになり、無情野、そして無生野という地名になったと伝えられているそうです。
また、姫が亡くなった秋山嶺は雛鶴峠と呼ばれるようになり、青山から秋山までの道を雛鶴街道と呼ばれるようになりました。

姫の最期を哀れに思った村人たちが、姫たちを祀った雛鶴神社を創建しました。


前述したように、雛鶴峠を挟んで何故か2つの雛鶴神社があります。
旧秋山村側の雛鶴神社は無生野地区の県道沿いにあります。

こちらには旅姿と思われる雛鶴姫の石像が建てられています。

都留市側の雛鶴神社は県道から600mほど山道を登った山中にあります。
県道には「護良親王妃 雛鶴姫終焉の地」という看板があり、こちらには姫を慕い殉死した数人の従者の墓に植えられた「お供の松」の跡と近年建てられたと思われる雛鶴姫の墓がありました。

「無生野の大念仏」の起源・発祥の由来については、護良親王の悲劇にまつわる雛鶴姫と姫に仕えた人々の霊を慰めるために始まったものと伝えられています。

都留市にある石船神社では、護良親王の首級と伝えられる首が祭られており、毎年1月15日に行われる祭礼当番引き継ぎの神事の際に開帳されています。

明治天皇は、武士から天皇へ国政が移譲した「建武の新政」と「大政奉還」を重ねられていたようです。
そして父後醍醐天皇を助けて建武中興に尽くし、非業の最期を遂げられた護良親王に対して、その御意志を後世に伝えることを強く望まれたそうで、親王終焉の地である東光寺跡に神社造営の勅命を発せられて、自ら宮号を「鎌倉宮」と名づけられました。
日本の歴史で、たった一か所だけの天皇が自ら命じ創建した神社です。

鎌倉宮には土牢が再現されています。

鎌倉宮最寄りのバス停は、その名も「大塔宮」です。


春の房総とアリランラーメン

2021-02-27 21:30:55 | ツーリング

所属するHARD&GENTLEツーリングクラブの活動は3月~12月で毎年1・2月はお休み。
今年も3月スタートですが、過去のツーリングを紐解くと3月は温暖な房総半島へ出掛けている回数が最も多いようです。
今回のブログは、そんな房総ツーリングの中から過去の1ページをめくってみます。

房総ツーの集合は、たいていアクアライン・海ほたるPA。
朝の海ほたるからは、順光で東京・神奈川方面がキレイに見えます。

早めに着いて周囲の景色を楽しんだり、パーキングエリア内でコーヒーを飲んだりして集合時間を待ちます。
海ほたるを出発すると、海に飛び込んでいくような感じの下り坂で隊列を整えて木更津に上陸。

木更津JCTから館山自動車道・君津PAで休憩し、スマートICで降りてマザー牧場方面に向かい、神野寺の前を通り、鹿野山九十九谷(くじゅうくたに)展望公園に寄りました。
展望台は鹿野山の山頂にあり、ここから見える景色は千葉眺望100景に選ばれていて、山並みが幾重にも連なり墨絵のように霞むさまを総称して九十九谷と呼ばれているそうです。

九十九谷を出発して、通り道にあったJR久留里線小櫃駅の駅前で休憩。
無人駅ですが綺麗なトイレもあり、のんびりとした駅舎に癒やされました。
この時期の房総は、そこかしこに菜の花が咲いています。

この日は立ち寄りスポットが多く、次は小湊鉄道線・飯給(いたぶ)駅に向かいました。
小櫃駅と同様に無人駅ですが、飯給駅に何があるかというと、世界一広いトイレ“Toilet in Nature”があるんです。
正確に説明すると「敷地が世界一広いガラス張りの女子トイレ」
女性メンバーさんに協力してもらって無事撮影できました。

千葉は難読地名(匝瑳市「そうさし」、城下「ねごや」、海士有木「あまありき」、市新「しむら」など)の宝庫で、飯給もそのたぐいですが、地名にまつわる伝承として、この付近には壬申の乱に敗れてこの地に落ち延びたとされる弘文天皇(大友皇子)にまつわる伝説があります。
飯給駅前の白山神社は弘文天皇を祭神としています。
「飯給」という地名も、この地の人々が天皇一行に食事を捧げたことから、弘文天皇の3人の皇子が飯を給わったという意味の「飯給」の名を与えたとされているそうです。

飯給駅は桜・菜の花の名所となっており、駅にある桜の木や菜の花が咲き乱れることから、春には列車と花などをモチーフとした写真を撮影するため多くの人が訪れるそうです。
すると到着して10分ほどで、運良くキハ200形気動車が到着しました。

午前中から2ヶ所の立ち寄りスポットを楽しみ、お昼は房総(千葉)三大ラーメンに数えられているという、「アリランらーめん」のらーめん八平へ。
ちなみに、他の2つは「勝浦タンタンメン」と「竹岡式ラーメン」。
今後のブログで取り上げていきたいと思います。

11時30分頃には到着したのですが、すでにたくさんの人が並んでいました。
その時点ではそれほど待たずに食べられるだろうと思っていたのですが...
お店に入れたのが1時間半後、注文してラーメンが出てきたのが更に30分後。
これほど待つとは思わなかったけれど、玉ねぎをベースに、豚肉・にんにく・ニラ・ネギを使ったピリ辛のスープと、自家製の中太麺との相性が抜群で、一度食べたら忘れられないというのも大げさではない感じ。
待った甲斐がある美味しさでした。
写真は注文した「アリランチャーシュー」


さて、アリランらーめんの由来はお店のHPによると、
・その昔、韓国に「アリラン峠」という峠があり、その峠にまつわる物語の歌があったそうです。
そこで、当店の場所も峠であり、「昔の峠越えというのは非常に困難で元気を出さなければ越えられなかったはず」そんなときに体力のつくものを・・・というイメージで考案されたそうです。
https://ariranramen.com/r-hachibee/

充実したランチのあとは、メインの目的地「太東崎」を目指しますが、その前に知る人ぞ知る?「ポッポの丘」に寄りました。
養鶏場の経営者が、いすみ鉄道の社長に「鉄道車両を200万円で買わないか」と話を持ち掛けられ、「自動車を買う感覚」で購入したのが開園のきっかけとなったとか。
今は養鶏事業から撤退し、希少な鉄道車両も数多く展示されたスポットとして、鉄道マニアには人気の場所のようです。
この日は家族連れも多く見かけました。

ポッポの丘への入場は無料ですが、2020年3月20日から駐車料金でバイク1台500円、乗用車1台1000円を徴収することになりました(それ以前は駐車料金も無料でした)。
無料はありがたいですが、維持費がかかる以上は仕方ないですね。
https://www.popponooka.com/

太東埼は、九十九里浜の最南端に位置します。
ここからの景色は太平洋の水平線を一望することができ、まさに絶景です。
元旦の日の出スポットとしても有名なんだそうです。
下の写真の後方は九十九里浜の海岸線。

太東埼灯台は、白亜塔形(円形)の中型灯台で、高さは15.9mあり、灯台の光は22海里(約41Km)先まで照らして、海の安全を守っています。
「新年最初の花の便りは爪木崎から」のブログで書かせていただいた「恋する灯台プロジェクト」にも認定されていて、「岬には恋のヴィーナス岬の愛称があり、愛と美の女神の名にふさわしく灯台周辺は緑の木々に囲まれ、植えられたスカシユリや水仙などの花々が来た人を和ませる。サーフスポットして有名な太東海岸もあり、恋する二人でゆったりとした時間を過ごせる場所だ。」とプロジェクトから紹介されています。

この日の予定では、最後の立ち寄りスポットとして御宿の「月の沙漠記念公園」で月の砂漠記念像(ラクダ像)を見物する予定でしたが、アリランらーめんで時間を使いすぎてしまい、またの機会に譲ることとなりました。

恒例のソフトクリームは道の駅「つどいの郷むつざわ」で食べました。
このときのツーリングは2016年3月11日に実施したもので、当時の「つどいの郷むつざわ」は駐車場も狭く物販中心の小さな道の駅だったのですが、2019年9月1日に「道の駅むつざわ・つどいの郷」となっていニューアルし、温浴施設、レストラン、ドッグラン、BBQ施設、芝生広場もある房総屈指の大規模な道の駅に生まれ変わりました。
癒しの温泉、地場産食材の料理、新鮮食材の買い物などを楽しめる複合施設です。

上はかつての「つどいの郷むつざわ」。下は現在の「道の駅むつざわ・つどいの郷」

房総は山の標高がそれほど高くなく、山間部はタイトなコーナーが続き信号も少ないので、適度なアップダウンとワインディングで、快適なドライブやツーリングが楽しめる道がたくさんあります。
この日は圏央道市原舞鶴ICからアクアライン経由で神奈川に戻りました。
新鮮な海の幸も美味しいですが、三大ラーメン制覇を目指し、房総で車やバイクを走らせてみませんか!


曽我の梅と海鮮のテーマパーク

2021-02-02 21:15:23 | ツーリング

今年の節分は、37年ぶりに日付が変わって2月2日だったそうですが、暦が節分・立春をすぎると曽我梅林の「小田原の梅まつり」がそろそろ始まるかなと気になり始めます。
コロナ禍で、今年は「梅まつり」ではなく「梅さんぽ」という名称に変更され、飲食関係の営業や露店も出店しなかったり、「流鏑馬」や「寿獅子舞」などのイベントも中止で寂しい感じもしますが、梅の花は例年通り人の目を楽しませてくれるはずです。

曽我梅林への一般的なアクセスは東名・大井松田ICから国道255号経由、小田原厚木道路・小田原東ICから国道255号・県道717号経由、西湘バイパス・国府津ICからは県道717号経由で県道72号を目指します。
県央からは、中井を経由して広域農道「やまゆりライン」でアクセスしたり、東名側道で中井から大井町に抜けてアクセスします。
どちらも距離は短いですが、プチツーリング的に信号の少ないルートを快走することが出来ます。

曽我には県道72号沿いに、別所梅林・原梅林・中河原梅林に3万5千本の梅が栽培されています。
白梅(白加賀・十郎)が中心なので、「曽我の梅は華やかさに欠ける」という人もいますが、白梅が多いのは加工用の梅の栽培が主流であったことが理由ですので、曽我の里の人たちの生活を支えてきたことの証なのです。
そんな成り立ちを頭に入れて鑑賞すると、白梅もさらに味わい深いものがありますし、少なからず紅梅もあって白梅を彩り、見事なしだれ梅も見応えがあります。

間近に迫る箱根連山や富士山を背景に梅林の中に入って写真を撮るのが定番ですが、県道72号・田島石橋交差点からやまゆりラインの坂を800mほど登ったところにある信号のない交差点を左折すると、曽我の里を見下ろす道路に出ます。
左手に相模湾、正面に箱根、右手には富士山、そして足もとには美しい梅林が広がっています。

東側の山は、地図を見ると高山という表記があり、急な斜面にはみかんが栽培されています。
みかん畑の間の道は狭く急坂で、二輪車や軽トラック以外で入るのが難しい道ですが、頑張って山頂付近まで走ると、ここにも梅がたくさん咲いていて、相模湾を広く眺めることが出来ました。

海の後方は真鶴半島と伊豆半島です。

曽我梅林の近くの県道72号沿いには、小田原牧場アイス工房の売店があり、梅の時期に限らず近くを通ると時々寄リます。
「新鮮で低カロリーなイタリアンジェラート」がウリのようで、手作りのジェラートはまろやかで自分好みです。
開成町の「あじさい祭り」などの地元や近隣のイベントにも出店しています。
http://www.pcm777.com/ice/

自宅から近いので、この辺りでわざわざランチを食べたりすることはめったに無いのですが、話題のランチスポットとして紹介するとしたら、国道135号沿い小田原新港に一昨年オープンした国内初だという「漁港の駅TOTOCO小田原」かなと思います。
魚食のテーマパークとして人気上昇中のようです。

入り口には、小田原名産のかまぼこが景品のUFOキャッチャーがお出迎え。

1階は海産物やその加工品を中心とした販売スペース。

海産物ではありませんが、柑橘類の栽培が盛んな小田原でもあり、今の時期は果肉がジューシーな「はるみ」が並んでいました。


2階は魚介類をたっぷり使ったイタリアンの「バル リゾディビーノ」と、魚介と楽しさが集まる台所という「とと丸食堂」

3階は海鮮好きなら是非トライして欲しい「おさしみ天国小田原海鮮ゴーゴー」。
お刺⾝は⼩⽥原漁港内の⿂市場で仕⼊れたお⿂をメインに、常時約25種類が⽤意されています!
3種類のサイズから丼を選び、自分でお刺身をトッピングしてオリジナル「あなたにおまかせ海鮮丼」を作るシステムです。

テラス席からは相模湾が一望!



2021年2月時点の営業時間です。
漁港の駅TOTOCO小田原 9:00~17:00
2階 バル リゾディビーノ 10:00~ Lラストオーダー15:00
2階 とと丸食堂・3階 おさしみ天国小田原海鮮ゴーゴー10:00~ ラストオーダー16:00
漁港の駅 TOTOCO小田原 (totoco-odawara.com)

午前中は、箱根や富士山を背景に順光で梅の写真を撮ることができるので、まず梅林を見物・散策してTOTOCO小田原でランチ。
午後はターンパイクや椿ライン・湯河原パークウェイで箱根に登り芦ノ湖スカイラインや箱根スカイラインを走って御殿場ICから東名で帰るのが、オススメのドライブ・ツーリングルートでしょうか。

このエリアでは、曽我梅林と同時期に見頃になる、足柄平野を見下ろし相模湾から富士箱根が一望できる松田町の「西広畑公園」の河津桜。
西広畑公園より半月ほど遅れて富士山を背景に170本の河津桜が見頃になっていく「おおいゆめの里」。
3月中旬に見頃になる南足柄市の川沿いに咲き乱れる「春めき桜」と、ソメイヨシノが咲く前から花の便りが続いていきます。
写真は西広畑公園から、さらに登ったところにある「あぐりパーク嵯峨山園」。
河津桜や寒緋桜、春めき桜と菜の花が咲き乱れています。

※残念ながら 2月6日(土)から2月28日(日)にかけて開催を予定されていた「第23回まつだ桜まつり」は、コロナ禍で中止となり駐車場も閉鎖されました。

新年最初の花の便りは爪木崎から

2021-01-16 21:50:43 | ツーリング

年が明けると、春の訪れを少しでも早く感じたくて、花の便りを追ってツーリングに出かけるのですが、トップバッターに伊豆・爪木崎の水仙を選ぶことが多いです。
1月下旬は厳冬期ですが、一日も早く春を感じたい気持ちが先走ります。

関東には南房総鋸南町に日本三大水仙群生地の一つに数えられる「江月水仙ロード」「をくづれ水仙郷」と2ヶ所の水仙の名所がありますが、神奈川県西部からは日没が早いこの時期、陸続きで相模湾沿いに南下して行ける伊豆下田・須崎半島の景勝地、爪木崎に気持ちが向かいます。

西伊豆側の海岸線は海面から高い場所を縫うように走る道路が主体ですが、東伊豆側は大室山の溶岩が海岸線に達した城ヶ崎などを除いては、海を間近に感じる場所を通っています。
房総の九十九里有料道路を通称「波乗り道路」と表現しますが、東伊豆にも熱海ビーチラインのように距離はそこまでありませんが、海沿いの快走路がたくさんあります。
下の写真は熱海ビーチラインから見た熱海の中心部です。

爪木崎の水仙は、12月下旬〜1月には海岸の段丘一帯、10万平方メートルのエリアに300万本以上の水仙が咲き、伊豆下田観光協会のサイトで開花状況もチェックできます。
ただ、この開花状況は花が咲き始めると割と早い時期から「見頃」という表示が付きますが、実際には1月中旬以降が、花も十分な数が咲いていると思います。

水仙まつりは毎年12月20日から1月31日まで。期間中は下田太鼓の実演や郷土料理「池之段煮味噌鍋(いけんだみそなべ)」が振る舞われたりします。
ちなみに「池之段煮味噌鍋」は、爪木崎の浜で漁師たちが朝早く獲った磯の魚や貝を豪快に鍋に投入し、ワカメや野菜と一緒に煮立て、自家製の味噌で味付けした素朴な漁師鍋。
穫れたての魚介を煮込んだ一杯が、体を芯から温めてくれます。

淡く白い水仙とともに見頃になる赤いアロエが彩りを添えています。
オフシーズンの海は透明度が高くとてもきれいで、冷たい空気と相まって心が洗われる思いがします。

さて遊歩道を突端まで歩くと爪木崎灯台にたどり着きます。
爪木崎灯台は「恋する灯台プロジェクト」に認定された灯台です。
これは、日本ロマンチスト協会と日本財団が共同で実施するプロジェクトで、灯台を「ふたりの未来を見つめる場所」として定義することで「ロマンスの聖地」へと再価値化していき、日本全国の灯台からロマンスの聖地にふさわしい灯台を「恋する灯台」として、灯台がある地域を「恋する灯台のまち」として認定、地域の観光資源としての灯台の価値を見直すことで、灯台に訪れる老若男女を増やして海への関心を高めていくことを目的としているそうです。
https://romance-toudai.uminohi.jp/

爪木崎灯台からは伊豆諸島が一望できます。左から大島・利島・鵜渡根島・新島・式根島・神津島。
東伊豆の海岸線からは伊豆諸島を臨むスポットがたくさんありますが、爪木崎からは島々がより近くに見えるように思います。
運良く空気の透明度がとても高い日に訪れることができると、新島の左側に三宅島が、新島越しに御蔵島が見えることがあります。
国道135号線沿いで河津と白浜の間にある「尾ヶ崎ウイング」や、稲取の伊豆アニマルキングダム手前を右折してすぐの保育園を左折、狭路の急坂を登ったところにある「東伊豆町風力発電所」の展望台からも伊豆諸島はよく見えます。

下は尾ヶ崎ウイングから見下ろした伊豆白浜。

東伊豆町風力発電所付近より、背景は伊豆大島

観光案内などには伊豆諸島を伊豆七島と表記しているものもあり、江戸時代の主な有人島が伊豆大島・利島・新島・神津島・三宅島・御蔵島・八丈島の7島だったことに由来します。
その後、八丈小島のように無人島になった島や明治以降に移住が進んだ式根島などがありますが、実際の有人島はそれ以上あって7島以外の島に対しては差別的だという意見がありました。
特に青ヶ島村は機会あるごとに各団体に名称変更を陳情してきたそうです。この結果「伊豆七島観光連盟」は「東京諸島観光連盟」に改名されたりしています。

爪木崎近くのランチスポットとしては下田市内を真東に流れる稲生沢川(いのうざわがわ)河口近くの「勝(かつ)」に度々立ち寄ってお昼を頂いています。
もとはお寿司屋さんだったようで、お刺身や種類豊富な海鮮丼、甘くて舌触りの良い穴子が自慢のお店です。
http://izu-katsu.com/

また、道の駅「開国下田みなと」の向かい側、下田魚市場の食堂「金目亭」では金目煮付けや炙り金目など金目鯛が主役の料理を食べることが出来ます。
金目鯛が美味しい時期は12月から2月だそうで、金目鯛も生息場所によって3種類(キンメダイ・フウセンキンメ・ナンヨウキンメ)あるらしく、下田で水揚げされる大島近辺の脂が載った上質のキンメダイが『地金目』『トロ金目』と呼ばれて、ブランド化された高級金目とされています。
先日に立ち寄ったときは炙り金目を頂きましたが、刺し身より美味しかったです。

炙り金目丼

ツーリング恒例のアイスクリーム・ソフトクリームは「伊豆高原ケニーズハウス」がオススメです。
伊豆のフレッシュな牛乳のみを使用したミルクソフトが看板で、伊豆半島各所や都内のサンシャイン池袋・豊洲に売店やカフェを展開しています。
よく寄るのは「旅の駅グランバルポート店」
http://www.kennys-house.com/

温暖な伊豆は2月になると、熱海や修善寺などの梅園から花の便りが届きはじめ、河津や南伊豆からは早咲きの河津桜が咲き始めます。
ソメイヨシノの開花が待てない方は、伊豆へ一足早い花見に出かけてはいかがですか。