《薬剤師1万人を推進委員にとは》
先日都内の薬局に処方箋を持っていった。
以前受付で「マイナ保険証はお持ちですか」と聞かれ「作っていません」と返答した。
今回は「お薬手帳」を出したので何も聞かれなかった。
しかし、後から来た人ほぼ全員に「マイナ保険証をお持ちですか」と聞いていた。
薬局は混んでいて、薬を貰うまで50分も待った。
暇なので「マイナ保険証をお持ちですか」と何人に声掛けするか数えてみた。
なんと21人だった。
来る人すべてに声掛けする大変さに同情してしまったが、これは薬剤師ら1万人を「デジタル推進委員」にしているからだ。
本来の目的のデジタル推進委員とはデジタル庁が任命した、デジタルに不慣れな人をサポートするボランティアで携帯電話会社の職員を中心に4万5千人がいる。
これに新たに薬剤師ら1万人を加えたのだ。
東京新聞(6/28)よると推進委員は、患者に利用を勧めたり機器の使い方の相談に応じたりする。
これを始めると業務が回らなくなったと云う。
患者に尋ねられると説明に時間がとられ、次の人への対応が遅れてしまうことも多く、待ちきれずに帰ってしまう人もいたとか。
取材に応じた薬局の女性は「強引な普及策で迷惑がかかるのは患者さんたち。推進委員にはなりたくない、
利用促進よりも患者さんの健康を考えるのに時間を割きたい」とコメントしたが、このような現場の声を河野デジ大臣や政治家は謙虚に受け止めるべきである。
《薬剤師はマイナ保険証のセールスマンなのか》
また、ある薬剤師は「推進委員はボランティア」であり薬局をマイナ保険証の普及に駆り立てる政府のやり方に、
「私たちはマイナ保険証のセールスマンではない」と話したが、「本部からの指示」でありやらざるを得ないとのことだった。
薬局内の壁には「12月2日から現行の保険証は発行されなくなります」のチラシが張ってある。
このチラシは後期高齢者である私の保険証が来た封書の中にもあったが、裏ページの下段に「マイナンバーカードを保有していない方には、
申請されなくても『資格確認書』が交付され、引き続き医療を受けることができます。」
の文言があった。
不安を除く為にもこれを一番先に書いておくべきだ。
40万円の支援金を餌にして、マイナ保険証の利用率を上げることに躍起となっている河野デジ大臣だが、
患者と真摯に向き合っている医療現場の看護師や薬剤師を本来の業務から遠ざけている愚かさを知るべきである。
《改正マイナンバー法の危険な罠に注視しよう》
7/3付け日刊ゲンダイで斎藤貴男氏は語る。
「5月末に可決・成立した改正マイナンバー法は、マイナンバーカードの全機能をスマホに搭載することを可能にした。
12月には現行の保険証の発行が停止される。カードとの紐づけを拒む者から医療を受ける権利をはく奪するのが最終目的だ。
既に複数の自治体が予防接種や医療機関の診察券、介護保険証などとの一体化を推進。年度内に運転免許証も例外でなくする意向だ。
私たちはマイナンバーカード機能が載ったスマホを絶えず持ち歩いていないと何もできず、生きていけない様にされようとしている。
東京と大阪の地方議員が偽造カードでスマホを乗っ取られる被害も起きた。
今後、マイナ保険証を携帯していない患者を後回しにとか、既に医療費を高くするなど差別も始まっている。」
政府とマイナンバーカードにうごめく巨大資本に、国民は支配・監視されている社会が目の前にあることを知らなければならない。
2024/7/27
<デジタル弱者でささやかな抵抗を 「デラシネ」>