江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

「最高裁判所裁判官の国民審査」は、ちゃんと機能しているのか?

2024-11-10 | 随想
先月27日の総選挙と同時に「最高裁判所裁判官の国民審査」も行われた。

過去、一人たりともこの制度で「罷免」された裁判官はいない。
さらに、白票は「信任」とされているし、よくわからないと棄権する有権者も多い。

せっかくの主権者である国民の権利だが、有効に機能しているとはいいがたい。




今回の投票にあたっては、いま一つ「判断に迷う」ところがあったので、初めて選挙公報と共に送られた「国民審査広報」を読んでみた。
すると、二つのことに気が付いた。

一つは、審査対象の6人の裁判官のうち二人について、「最高裁判所において関与した主要な裁判」の項目に「最高裁判事就任後日が浅いため、特に記すべきものはありません。」と記載されていたことだ。
これでは、国民に的確な判断材料を提供したことにならないではないか。

少なくとも、彼らは、地裁・高裁とキャリアを積み上げ(=出世して)最高裁判事になったわけだから、せめて「高裁」で関与した裁判とどのような判決を出したのかは、知らされるべきではないだろうか?


もう一つは、「裁判官としての心構え」の項目を読むと、ほとんどの裁判官は、「憲法」について全く触れていない。
その一人も「憲法と法律によって最高裁に与えられた権限と責任は、非常に重いものがあります」と述べるにとどまっている。

これは驚くべきことではないのか!
「憲法に則って判断をする」「憲法を守ることは、この国の法的安定性を担保するもの」という言葉すらないのだ。


なるほど「憲法の番人」ではなく「内閣の番犬」に成り下がっているはずだ、と納得してしまった次第である。




ーK.Hー

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