むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所 厳選短編小説 ある中国人の作品

2019-01-20 12:02:34 | 日記

この機山という中国人は、地球板の1940年前後から日本人の未来へと呼びかけている。超IQ研究所では機山がつくった千文字の短編小説を80編ほど解読して完成させた。これは似た内容の原稿を持っている人が日本にかなりいると考えられる。そこででき損ないの部類ではあるが機山の作品をもう一編紹介しましょう。

 昭和一四年八月未明。北京で錠前屋の店主が、マイクスタンドで胸を刺されて死ぬという事件が起きた。店主が白銅貨をにぎりしめて死んでいることから、客に釣り銭を渡そうとして、客に刺されたみたいだ。公安は「こういう事件は思いや考えを入れない方がいい」と直感した。公安に通報してきたのは、錠前屋の番頭だったけど番頭は身長が1m90㎝ぐらいあって、いまにも殴りかかってきそうな雰囲気がある。公安がマイクスタンドについて聞くと、「鳥かごやバンドネオン(ドイツ製のアコーディオン)を持ってくる客がいるから気にならなかったんだろう」と言った。公安が「バンドネオンにどうやってかぎをつけるんだ」と聞いたら、番頭は「『空気を出し入れする鍵盤に、小型の南京錠をつけると音色に重厚感が増す』と言うから特別につくったよ」と技術者らしく答える。公安は、なにか誓っていたような気がするけど忘れて、子供がいる歌手といない歌手の違いを考えながら、「いつも店主が接客してるのか」と聞いたら、番頭は「ドアに錠前をとりつける工事はかなり高額なので店主が応対してるけど」と言う。現場を調べるとマイクスタンドはマイクがもぎとられるような形で折れて店主に突き刺さっている。マイクにコードがついていて販売カウンター手前のフックにひっかかると、スタンドがカウンターのなかへ飛び込むようだ。犯人は南京錠かなにかを買ってマイクスタンドのマイクとコードだけ持って帰ったんだろう。公安は「事象が短絡したような現象だ」と思いながらマイクスタンドの業者を張り込んで、買いにきた「世界革新集団」のメンバーを名乗る男から、事情を聞く。男は世界革新集団の資材係で「メンバーが急増して勝手にマイクスタンドを持ち出すから、錠前をつけようとしたんだけど」と言う。公安はもぎとられたマイクを確認してから、男を逮捕した。公安がマイクスタンドに錠前をつけるとどうなるか聞いたら、男は「言論にかぎをかけると時間がとまる」と言う。公安が「思考が停止する手変わりのある金貨に、直撃されたときに役立たないだろうか」と思いながら、「時間をとめて、なにをやるんだ」と、聞いたら男は「音楽に聴き入る」と答えた。公安の脳裏にバンドネオンと称して別な楽器を演奏している男が浮かんだ。きっとバンドネオンは高級な楽器なのだろう。
 おわり