むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター64

2019-09-06 13:58:55 | 小説
昭和五年六月未明。北京の漢方薬店で店主が、金属製の三段ヌンチャク(棒を組み合わせた武器)を持った男に撲殺される事件が起きた。ヌンチャクには手加減しながら相手を死傷させる威力がある。つまりカーブした剣のように急所へ衝撃を与える力だ。公安(中国の警察)が奥さんから事情を聞くと、「古代ミイラの売り物があって、主人が大量に仕入れてました」と言う。公安は場所を聞いてそこへ行く。 倉庫で遺跡の出土品を、生きる喜びのように即売していた。公安が責任者に事情を聞くと、「午後から壺のオークションをやるから戻ってくるよ」と答える。しばらくしてから自動車がやってきて、三段ヌンチャクを持った男がおりてきた。長さ四〇㎝ほどの金属棒が三つと、つなぐ鎖が九㎝ぐらい。公安が「漢方薬店の店主を殺しただろ」と聞いたら、「『店にきて』と言ってたから殺した」と言う。男が三段ヌンチャクの二段目をつかんで、一段目と三段目を曲芸みたいに回転させ始めた。公安が挑発的にキックで顔面を狙うと男は、ヌンチャクの一段目と二段目を両手で、つかんでキックを受けとめる。男が一段目だけをつかんで、腕とヌンチャクを大きく振りまわし始めた。公安はヌンチャクの先端をかわしてから、飛び蹴りを食らわせたが、男はすばやく二段目をつかんで、一段目と二段目で公安のつま先をはさみつける。公安はもう片方の足で着地してすぐキックしたが、三段目ではじき飛ばされた。男が一段目をつかんで、肩口を狙って大きく振ってくる。公安は、「なにか違うだろう」と思いながら、二段目と三段目の、間の鎖を一瞬つかんだがすぐ引き戻された。男が一段目と三段目をつかんで突進してくる。公安は飛びはねて反撃しようとしたが二段目で太ももを打たれて倒された。公安は打たれた太ももを下にしてこらえる。男が目をつり上げて、一段目と三段目をつかんで振り上げて公安の、反対側の太ももを二段目で打つ。男が公安の後ろにまわり込んで、二段目を公安の首にかけて、ヌンチャクを三角形の形にして締め上げようとしている。公安は二段目をつかんでこらえた。男は一段目と三段目を重ねてつかむようにして、腰の高さまで引き上げて公安を左右に振る。オークションの客が目を輝かして見ていた。最初に打たれた足の感覚が戻ってくる。公安が回復した足で男の軸足を払うと、男はプロペラのように回転して、頭を地面にぶつけてから、ヌンチャクを離した。公安は男を逮捕する。


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