ー 少子化プラスもやしっ子化 ー
産経新聞 2022.9.18
中学生の頃、父親が「近頃の若い者は根性がない」と言ったのを覚えている。怒って言ったのではない。ぼそっと口にしたのである。
自分が年をとった今、同じように「近頃の若い者は根性がない」と思う。「根性がない」の二段落ちである。そう思うのには理由がある。
第一、昇進忌避。役場や区役所で昇進したくない職員が増えているという。かっては係長への試験の競争率が7倍強という自治体もあったというのに、2021年、川崎市では受験率が45.7%まで下がった。(朝日新聞デジタル2022.11.7)。
第二、結婚意欲減退。
少子化が騒がれているというのに、「一生結婚するつもりはない」未婚者は2000年以来増加。2022年には男の17.3%、女の14.6%が一生結婚するつもりはないと言っている。(国立社会保障・人口問題研究所 2022.9.9公表)
第三、低調な国防意識。
世界100カ国近くの社会学者が2017~2020年に「戦争になった場合、国のために進んで戦いますか」と質問したところ、「はい」と答えた30~49歳の日本人は最低の7.8%(産経2022.8.13 世界価値観調査より)。
前に、就活中の学生に「給料はいくら欲しい?」と聞いたことがある。そうしたら「食べられるだけでいいです」と小さな声が帰ってきた。
子どもは段々少なくなる、おまけに生まれた子は根性なし、無気力の “ もやしっ子 ” ばかりというのでは踏んだり蹴ったりである。
この子たちが将来親になったら「近頃の若い者は根性がない」というのだろうか? 噴飯ものである。それでどうする?と問われても妙案などあるはずもない。思案投げ首。