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田舎ぐらし(141)

ー オーバードーズー

 
  
  

 オーバードーズ、先日の新聞に出ていたことばである。
ドーズは薬の一回あたりの服用量。これをオーバーするのだから薬の飲みすぎのこと。

 見出しには「市販薬過剰摂取 8割女性」等とあり、記事中には厚労省の調査結果として、令和3年5月から同4年12月の間、市販の解熱鎮痛剤、咳止め、風邪薬等を服用した122人が吐き気や意識障害、錯乱などの症状で医療機関に救急搬送された。購入先は実店舗が6割強。服用の理由は自分を傷つけようとした、死のうと思ったが7割強。(2023.8.17 産經 要旨)

 搬送が間に合わなかったらどうなっていたかわからないということだろう。
薬には必ず副作用がある。
 数週間前、筋肉痛で貼り薬を買いに行った際、カウンターでぜん息になったことがあるかと聞かれた。ない、と答えたがぜん息を患ったことがある人間がこれを貼ったらどうなるのか、うっかり聞きそびれた。

 最悪の副作用はサリドマイドと言われている。
1957年、妊婦の睡眠不足を解消しようとドイツでつくられた睡眠薬である。服用した母親からは手足に重い障害を負った子が多数生まれた。

 クスリに限らず、日本では化学物質に対する使う側、買う側の用心がひどく足りないように思う。ここで化学物質というのは人間が合成したもので、人や植物の体に入り込むものをいう。
 上記貼り薬のこともあるから大きなことは言えないが、用心が足りないから何百種類というクスリの市販を放置したり、殺虫剤や除草剤、化学肥料をまき散らす。

 合成肥料で育てられた野菜はまずい。その上ひ弱である。これは経験でわかった。
以前、スーパーで買ってきたニンジンとたい肥で育てたニンジンを机の上に並べて放っておいたら、スーパー組は1週間で腐り始めたのに対し、たい肥組はやがて枯れてカチカチのミイラになった。

 人に対してであれ植物に対してであれ、化学物質は良い方向には働かないと思っている。人間の知恵がはるかに及ばない所、何千年、何万年という時間をかけてつくられた精密極まりない人や植物の体に手を突っこんでなんとかしようとするのは人間の浅知恵、思い上がりである。

 それに、なにか新しいものが出てくると、とかく主作用ばかり喧伝されて副作用はなおざりにされる。
 
 詰まるところ,世はすべて自分の選択次第。選択は勉強次第、知恵次第。もう一つ言えば亀の甲次第。

 ※ 上掲写真の本「化学物質はなぜ嫌われるか」佐藤 健太郎  技術評論社 
   は化学物質を肯定する立場からのもの。




 

 
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