ー 男子、厨房に入らず ー
「ねぇ、お皿を洗うのに何を使うの?」
「そうねぇ、いろいろ試してみたけど、やっぱりうちの主人を使うのが一番いいみたいよ。」(ユーモア英語表現法 トミー植松 玉川大学出版部)。
古来、男子、厨房に入らず、という。
意味は、男は外で大きな仕事をするもので、台所に入って料理などすべきでないこと(広辞苑 web )。
欧米にも男はハウスをつくり、女はホームをつくる、ということばがあると聞いたことがある。
昔、多くの家では家計は夫が働くだけで賄えた。男には自分が女房子供を食わしてやっているという自負があった。
一方、女にとって結婚はなによりも大事な人生の目的であり、食いっぱぐれなしの永久就職だった。そのため、多くの女は結婚相手として第一にサラリーマンを望んだ。
自然、夫は台所に立つ気などこれっぽちもなく、自分がご飯を炊いているなどと人に言うのさえ気恥ずかしかった。沽券にかかわるものだった。女も台所と子守りさえやっていれば文句を言われることはなかった。
そこでは上のジョークが通じたのである。ーお断りするまでもないが、妻が伏せっていたり、父と子だけの家では沽券の出る幕はない。ー
ところが、最近は風向きが変わってきた。妻が働いていなくても、イクメンなどと称して夫に台所を強いたり、子どものお守りを押し付ける風潮が出てきた。ジョークが通じなくなった。男と女はなんでも平等、対等であるべきだと考えているのだろうか。
平等、対等が2で割って説明できるようなものなら、夫の方も妻に自分と同じ稼ぎを要求していいことになる。もちろん、妻が義父母の世話をしてくれているなどの格別の事情があれば話は別である。そういう家では夫はむしろ感謝し、進んで台所にも立ってくれるし、子守りをしてくれるに違いない。ひいては定年後も夫の協力を期待することができるのではないだろうか。