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田舎ぐらし(160)

 ー ホモ・サピエンス ー

 

  「サピエンス全史」
   ユバル・ノア・ハラリ 柴田 裕之 訳 河出書房新社 

  新年、おめでとうございます。昨年はたくさんのご訪問、ありがとうございました。

 いい年をして、人間ってなんだ? と思う時がある。
高校生みたいだと笑われそうだが、実際答えを見つけていないんだから仕様がない。

 およそ250万年前、アフリカに猿人から進化した人類がはじめて姿を現した。このホモ属に分類される人類はその後ホモ・エレクトス、ホモ・ネアンデルターレンシス、ホモ・サピエンスなど多くの種に分化しながらおよそ1万年前まで世界各地で同時に生存してきた。

 その後長い時間を費やして直立歩行をし、道具を作り、火を使うように進化したが、食べ物といえば木の実を採ったりジャッカルの食べ残しを漁ったり、食物連鎖の中ほどで細々暮らしていた。

 だがおよそ7万年前、ホモ・サピエンスはアフリカを離れて他の人類種を駆逐しながらヨーロッパと東アジアに達し、4万5000年ほど前にはオーストラリア大陸に達した。

 ホモ・サピエンスがなぜこれほどの短期間に他の種を滅ぼし、海を渡るほどの能力を身につけたか。

 ことばを使うようになったからである。ヒトはことばでものを考える。
最初は「気を付けろ! ライオンだ!」という事実についての警報しか発することができなかったのが、「気を付けろ! ライオンだ! こっちへ来るかもしれないぞ!」と、現実に見たことがないもの、つまり虚構について語る能力を身につけた。7万年前から3万年前のことである。「認知革命」とよばれる。

 なぜ認知革命が起きたか。たまたま遺伝子に突然変異が起こり、脳内の配線が変わったからだという。虚構について語る能力はその後のホモ・サピエンスに目覚ましい発展をもたらした(以上 上掲「サピエンス全史」参照)

 会社は虚構だ。法律が認めた人だから法人とよばれ、人と同じように商売ができる。

 金も虚構だ。世の中のみんながただの紙切れに価値を認めているから、紙きれを出せば米を売ってくれる。

 こうしてホモ・サピエンスはありとあらゆる虚構を創り出し、繁栄してきた。ヒトがアフリカに出現したのが250万年前。言語を取得したのがわずか数千年前。言語がいかに進歩に寄与したかがわかる。

 結局、先の、人間ってなんだ? に対する答えは、ヒトがただの運のいい生き物だったということだろう。はじめて野球を見に連れてきてもらった子どもが満員の観覧席で、たまたま自分のところへ飛んできたホームランボールをキャッチしただけのこと。
 ことばを話す能力はヒトではなくサルの頭に宿ってもよかった。そうしたら、地球は今頃サルの惑星だ。動物園で檻の中にいるのはヒト。エサをくれるのはサル。
 

 






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