ー ルーティーン ー
朝
定年になって連日、なんの縛りもない時間を過ごしている。
ふと、ルーティーンということばが頭に浮かんだ。英和辞典を引いてみたら、「お決まりの順序」、「月並み」,「日課」というような訳が並んでいる。「マンネリ化した」という形容詞もある。全体として、わくわくするような感じは湧いてこない。
現役の頃は出勤、退社時刻をはじめ、仕事の中身、勤務地まで勤め先が決めた。ル―ティーンは決められていた。 それでも毎日を月並みと思ったことはなかったし、ましてマンネリなど感じたこともなかった。転勤だけでもせわしなかった。九州から北海道まで10回以上転勤ているしている。それを重ねて数十年、毎朝鏡に映す今の顔ができた。
毎日をどう過ごすか。会社と縁が切れたら自分で決めなくてはならない。なにもしないのは痴ほうの元だと自分で決めている。
田舎に越した時、前の畑が草茫々だったのは幸いだった。家庭菜園としては手頃な広さの畑を草刈り機をはじめ、スコップ、備中鍬、とうとう耕耘機まで動員してちゃんとした畑にした。
耕し、肥料をやり、畝をつくり、種をまく・・・、現役時代には思いもしなかった日常になっている。
野菜を育てるという仕事は楽しい。次々と新しい発見がある。露地だから強い野菜ができる。キャベツは青々としてごついし、ニンジンは香りが強く、いつまでも腐らない。去年9月に採ったニンジンは事務室の棚でミイラになっている。
今のところ、マンネリ化したルーティーンはない。
( 次回は ー 生きかはり死にかはりして打つ田かな ー )