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田舎ぐらし(172)

 ー 100歳の誕生日に100メートル走る ー
 
 
 

 近くのグラウンドを歩くのを日課のひとつにしている。
早めに歩いたり、ゆっくり歩いたり。インターバル速歩というらしい(写真はインターバル速歩を勧める 「ニュートン」 2021.7)
 傍を歩いている山の神に「100歳までやれるかな」と言ったら、「私たち、ほかに頼る人がいないんだからがんばらなくちゃね」と返してきた。

  7年ほど前、足を骨折し松葉杖をついた。その時の歯がゆさと心細さはなんとも形容の仕様がない。たかだか10メートルが10キロにも感じられた。山の神も骨折を経験している。だから自在に歩けることの有難みは身に沁みている。

 その、ほかに頼る人がいないということばが妙に現実味を帯びて聞こえた。二人でいる今、そして一人になった時も頼る人がいないということである。
 しかし、と気を取り直す。一人になってもシャキッと背筋を伸ばして街中を歩ける。そうしたら、「あーあ、一人になっちゃった」なんて気持ちが萎えることはなかろうと。

 少し前に、定年後はお金、友だち、健康のうちどれが一番大事だと思いますかと問いかける文庫が出た。著者は自分が調査したところ友だちを挙げる人が多かったと書いていた。

 なるほど、気が向いた時、あるいはちょっと落ち込んだ時に電話でなんの気がねもなく話せる友がいるのはいいものだ。実際話をしなくともあいつがいる、あの人がいると思えるだけで気持ちが安らぐ。たまに気の利いた飲み屋か喫茶店でとりとめのない話ができたらこれはもう言うことはない。

 どれを大事に思うかは自分がどんな道を歩いてきたかによって違うだろう。また現実に置かれている環境によっても違うと思う。私たちは上のような訳で健康大事と考えている。100歳の誕生日に100メートル走ろうと思う。
 


 
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