6、免疫力のまとめ
「ノラ先生。免疫力のまとめをお願いします」
「わかった。人間の免疫の60%は、腸の免疫力に依存している。腸の働きが鈍ると、消化吸収力や排泄力が鈍るだけではなく、免疫力も衰えてしまう。だから腸にやさしい食事を摂って免疫細胞を元気にすることと便秘を根本的に治すことと、ストレスを減らし、睡眠を十分にとることが重要になる。最近、免疫力を上げるのに、ビタミンDの重要性が話題になっている」
「ビタミンDですか。何に含まれているのですか?」
「日光浴をすればいいのだ」
「紫外線ですか。しわやシミ予防に、日焼け止めクリームを塗っていますが」
「真夏の太陽は避けた方がいい。それ以外は積極的にとった方がいい。免疫力だけでなく、カルシュウムを吸収するのに不可欠だ。もしビタミンDが不足すると、骨粗しょう症になる」
「骨粗しょう症は年寄りの病気でしょう。若い女性には関係ないのではありませんか」
「馬鹿言っちゃ、いかん。年取って、突然になる病気ではない。若い時からの積み重ねで発症するのだ」
「肌の美しさと、免疫力と骨粗しょう症との選択ですね」
「そういうことになるな」
「ノラ先生。腸に悪い食事を教えてください」
「肉類、牛乳、乳製品と精製した穀類(白米、麺類)は最も腸に負担をかけやすい食品だ。新谷弘実博士が内視鏡のドクターとして過去35万人を超える患者の腸を観察してきた事実を基にした結果だ。野菜や果物、海藻、キノコ類が、腸をきれいにする食べ物である」
「なぜ動物性たんぱくが良くないのですか?」
「アンチエイジングの世界的権威の吉川敏一先生が言っておられる。戦後の常に飢えと隣り合わせだった環境が、現在では一変し、たんぱく質があふれる時代になった。そのおかげで、日本人の基礎体力は一気に向上し、結核などの感染症で亡くなる人が激減した。動物性たんぱく質は良質な蛋白源されている。これはある面では正しいが、別の面で間違っている。
牛乳を例に説明する。
子供にとって、効率よく成長を促してくれる牛乳は体にいいのかもしれない。しかし大人になってからも、さらに成長を喚起し、どんどん大きくなる必要があるのか?大きくなるということは、少し見方を変えれば細胞の数を増やす、細胞の分裂を促すことを意味する。大人は、むしろ細胞はあまり分裂しなくていい。なぜなら、一番恐れられているがん細胞は、細胞が分裂するときに、うまく分裂できないのがきっかけで発生することが多い。これは非常に重要なことだ。
炎症や活性酸素の大量発生なども、細胞を壊してしまうので、新たな細胞分裂を促す。その結果がん細胞を発生させてしまう。
牛乳にはインスリン様成長因子やカゼインがたくさん含まれている。インスリン様成長因子は乳がん細胞や卵巣がん細胞や前立腺がん細胞の増殖を促進する。カゼインはインスリン様成長因子を効率よく体内に吸収させるばかりか、体内においてそれを余計に作らせる。
これらは肉類についても同様なことが言える。
さらに、魚介類以外の動物性の脂肪は飽和脂肪酸と言い悪玉コレステロールを増やす。悪玉コレステロールの増加は、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる動脈硬化を促すため、悪い脂肪と言われている。
これに対して、魚介類やオリーブオイルは不飽和脂肪酸と言い、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やしてくれるので、良い脂肪と言われている。中でもイワシやサバなどの青魚にはDHA やEPA を含み、悪玉コレステロールを下げるばかりでなく、血液中の中性脂肪を減らす働きも強く持っている。
こうした魚介類よりもさらに腸にやさしいのが、植物性食品である豆類だ。特に大豆は、発酵食品である納豆、味噌、醤油、豆腐、豆乳などがあり、積極的に取り入れる
べきだ」